オーストリア共和国

令和6年10月17日

 10月14日から10月16日まで、柘植外務副大臣はオーストリア共和国を訪問し、OSCEアジア共催会議に出席したほか、同会議に出席した各国要人及びオーストリア政府関係者等と会談等を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 欧州安全保障協力機構(OSCE)アジア共催会議への出席

OSCEアジア共催会議に出席した柘植副大臣
ウィーン開催のOSCEアジア共催会議
  1. 10月15日、柘植副大臣は、欧州安全保障協力機構(OSCE)本部のあるウィーンで開催されたOSCEアジア共催会議に出席し、開会セッションにおいて、共に共同議長を務めるディミトロフスキ北マケドニア外務・貿易副大臣の挨拶に続いて挨拶を行いました。
  2. 柘植副大臣は、その中で、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障がより一層不可分に、そして厳しくなっているとの認識を示した上で、力による一方的な現状変更の試みは、世界のどこであれ許されるべきではない旨述べました。また、柘植副大臣は、自らの経験を交えながら直接の対話の重要性に言及しつつ、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の悪化といった困難な情勢下で、全ての参加国が頻繁に集まり対話の場を成すOSCEの重要性を指摘し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のため、日本としてOSCEと引き続き連携していく旨述べました。
  3. なお、同共催会議には、OSCE参加国及びパートナー国、国際機関やNGO関係者約100名が出席し、WPS、気候安全保障、法の支配と人権等の課題、今後の欧州及びアジアにおける平和と安全保障、OSCE参加国及び他のパートナー国との協力につき、活発な議論が行われました。

(参考)OSCEアジア共催会議
 OSCEのアジア・パートナー国が毎年OSCEとの共催の下で開催する国際会議で、本年、日本はアジア・パートナー議長国として本会議を共催した。

2 OSCEアジア共催会議開催記念レセプションへの出席

レセプションへの出席した柘植副大臣
  1. 10月15日、柘植副大臣は、OSCEアジア共催会議の開催に当たり、レセプションを主催し、日本政府を代表して挨拶を行いました。
  2. 柘植副大臣は、その中で、同共催会議の準備に携わった関係者への謝意を表明するとともに、衆議院総選挙が公示された同日に外務副大臣が同共催会議に派遣されていることこそ、日本が最古のアジア・パートナーとしてOSCEとの協力を重視している証である旨述べました。また、柘植副大臣は、自身の経験を交えながら、外交の基盤は人と人とのつながりであるとの考えを示した上で、同共催会議を筆頭に、アジアとOSCEとの間で様々な形でつながりを豊かにすべく、アジア・パートナーの議長国として、引き続き緊密な連携をしていきたい旨述べました。

3 フィアロンOSCE事務総長代行との会談

柘植副大臣と握手するフィアロンOSCE事務総長代行
柘植副大臣とフィアロンOSCE事務総長代行との会談風景
  1. 10月15日、柘植副大臣は、ケイト・フィアロンOSCE事務総長代行(Ms. Kate FEARON, Officer in Charge, Secretary General of the Organization for Security and Co-operation in Europe(OSCE))と会談しました。
    (注)現在、OSCE事務総長は空席
  2. 柘植副大臣は、日本として、対話の場を提供する信頼醸成機構としてのOSCEの役割を重視しており、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との認識が広がる中、アジアで最も歴史の長いOSCEパートナーとしてOSCEとの連携を継続していく考えである旨述べた上で、ウクライナ支援、国境管理及び選挙監視等を始めとしたOSCEの活動に日本として引き続き貢献していきたい旨述べました。
  3. これに対し、フィアロン事務総長代行からは、日本のこれまでのOSCEとの協力に対する深い謝意の表明があったほか、OSCEの取組について紹介があり、両者は、アジア共催会議が実り多きものとなるとの確信を共有した上で、引き続き日本とOSCEの間の協力を推進していくことを確認しました。
  4. また、両者は、ウクライナ情勢を含む地域情勢について意見交換を行い、柘植副大臣から、17日からスイスで開催される「ウクライナにおける地雷対策に関する国際会合」に次期主催国として出席し、日本の地雷対策に関する取組を発信していく旨述べ、フィアロン事務総長代行からは、この分野における日本のイニシアティブに敬意を表する旨の発言がありました。

4 ディミトロフスキ北マケドニア外務・貿易副大臣との会談

握手する柘植副大臣とディミトロフスキ北マケドニア外務・貿易副大臣
柘植副大臣とディミトロフスキ北マケドニア外務・貿易副大臣との会談風景
  1. 10月15日、柘植副大臣は、ゾラン・ディミトロフスキ北マケドニア外務・貿易副大臣(H.E. Mr. Zoran Dimitrovski, Deputy Minister of Foreign Affairs and Foreign Trade of the Republic of North Macedonia)と会談を行いました。
  2. 柘植副大臣は、OSCEアジア共催会議の開催に当たり、共同議長国である北マケドニアの協力に謝意を強調するとともに、日・北マケドニア外交関係樹立30周年の本年、基本的価値を共有する重要なパートナーである北マケドニアとの連携を一層強化していきたい旨述べました。
  3. また、柘植副大臣から、日本として、「西バルカン協力イニシアティブ」の下、北マケドニアを含む西バルカン地域との間で、防災や環境、経済、人的交流といった分野で民族融和や域内協力の促進に向けた取組を継続的に実施している旨述べた上で、引き続き、様々な分野で二国間関係の強化のために連携していきたい旨述べました。
  4. これに対し、ディミトロフスキ副大臣から、OSCEにおける日本の貢献を評価するとともに、日本からの技術支援・経済支援等への謝意が述べられ、経済関係をはじめとした二国間関係の更なる発展に対する期待が示されました。
  5. 両者は、ウクライナ情勢を含む地域情勢につき意見交換を行い、国際場裡の課題にも引き続き両国間で連携して取り組んでいく旨確認しました。

5 日系企業関係者との意見交換

日系企業関係者と意見交換する柘植副大臣

 10月15日、柘植副大臣は、夕食会を主催し、オーストリアに進出する日系企業関係者との懇談を行いました。懇談において、柘植副大臣は、各企業の事業の状況や事業において抱える課題等について聴取するとともに、オーストリアやEU域内におけるビジネス環境の更なる改善のために必要な取組などについて意見交換を行い、長年オーストリアで現地に溶け込みつつ両国の経済関係の着実な進展を支える存在となっている出席者を激励しました。

6 マルシック・オーストリア欧州・国際関係省事務次官との会談

握手する柘植副大臣とマルシック・オーストリア欧州・国際関係省事務次官
柘植副大臣とニコラウス・マルシック・オーストリア欧州・国際関係省事務次官との会談風景
  1. 10月16日、柘植副大臣は、ニコラウス・マルシック・オーストリア欧州・国際関係省事務次官(Dr. Nikolaus Marschik, Secretary-General of the Ministry for European and International Affairs of the Republic of Austria)と会談を行いました。
  2. 柘植副大臣から、オーストリアは価値と原則を共有する重要なパートナーである旨述べた上で、国際秩序が挑戦を受ける中、同志国間での連携はこれまで以上に重要であり、二国間関係、さらには日EUの連携を一層強化していきたい旨述べました。
  3. また、柘植副大臣から、オーストリアが来年の大阪・関西万博に向け着々と準備を進めていることを歓迎したほか、同日からオーストリア・グラーツにて開催される「将来の課題のための日・オーストリア委員会第26回会合」にも触れ、様々な分野において二国間関係をより強化していきたい旨述べました。
  4. これに対し、マルシック事務次官から、「将来の課題のための日・オーストリア委員会」は時宜を得たテーマについて有意義な意見交換が行われる場であり重視している旨応じつつ、経済関係や人的交流の強化をはじめ、二国間関係の更なる進展に対する期待が示されました。
  5. また、両者は、ウクライナやインド太平洋地域をはじめとする地域・国際情勢について意見交換を行い、柘植副大臣から、17日からスイスで開催される「ウクライナにおける地雷対策に関する国際会合」に次期主催国として出席し、日本の地雷対策に関する取組を発信していく旨述べ、マルシック事務次官からは、ウクライナ情勢を始め、国際社会の様々な課題に取り組む日本の貢献に対して敬意を表する旨の発言がありました。

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