エネルギー安全保障

令和5年1月17日

 1月14日及び15日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを訪問中の髙木啓外務大臣政務官は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA: International Renewable Energy Agency)第13回総会に出席するとともに、ラカメラIRENA事務局長及び各国要人との会談等を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 髙木外務大臣政務官のIRENA第13回総会への出席

総会の集合写真撮影の様子
総会でスピーチする髙木外務大臣政務官

 IRENA第13回総会が、14日から15日に開催され、146の国・地域、民間企業、市民社会が参加しました。
 日本から、髙木政務官が出席し、14日午後のセッションにおいて、再生可能エネルギーの更なる普及拡大に向けた日本の方針や取組に関するスピーチを行いました。
 このスピーチでは、再生可能エネルギーがエネルギー安全保障確保のための最も重要な選択肢であることを強調した上で、各国、地域の事情を踏まえた現実的なエネルギー移行を通じて、世界規模での脱炭素社会の実現を追求すべきことを指摘しました。また、髙木政務官は、脱炭素社会の実現に向けた課題として、再生可能エネルギー関連機器及びそれに必要な重要鉱物資源のサプライチェーンの問題や再生可能エネルギー関連機器の廃棄の問題等を挙げて、環境、社会、ガバナンス(ESG)等の公正で実効的なルール作りの必要性について指摘し、IRENAの場で議論して、加盟各国で協調して課題解決していきたい旨述べました。最後に、髙木政務官は、日本は今年G7議長国を務めるに当たり、再生可能エネルギーの普及やその課題解決についても取り組む、IRENAからの一層の協力を期待する旨述べました。
 15日、髙木政務官は、東南アジアのエネルギー移行のセッションにおいてパネリストを務めました。髙木政務官は東南アジアが、経済及び地理的事情により、再生可能エネルギーの普及への難しさがある中にもかかわらず、脱炭素化に向けて取り組んでいることを評価する旨述べました。その上で、髙木政務官は日本も島国として、その特性に応じたエネルギー移行の知見や再生可能エネルギー導入に資する技術面で、東南アジアのエネルギー移行を引き続き支援していく旨発言しました。
 また、髙木政務官は、再生可能エネルギー移行のための重要鉱物資源のセッションで、重要鉱物資源の強靭なサプライチェーンの必要性に改めて言及するとともに、リサイクル・リユースの一層の活用、再生可能エネルギー機器に使用される素材の使用量低減のための技術開発の必要性について述べました。これらについて、髙木政務官はIRENAでの議論に日本が貢献していきたい旨述べました。

2 IRENA事務局長及び各国要人との会談

 髙木政務官はこの機会をとらえ、IRENA事務局長及び各国要人と会談し、再生可能エネルギーの普及に向けた課題やエネルギー情勢について、非常に有益な意見交換を行いました。

(1)ラカメラIRENA事務局長との会談

IRENA事務局長と握手する髙木外務大臣政務官
ラカメラ事務局長との会談の様子

 髙木政務官は、15日、フランチェスコ・ラカメラIRENA事務局長(Mr. Francesco La Camera, Director-General, IRENA)との会談を行いました。
 髙木政務官から、脱炭素化のための再生可能エネルギーの活用に関する課題に言及した上で、IRENAの役割に期待するとともに、IRENAと引き続き協力したい旨述べました。
 これに対し、ラカメラ事務局長から、日本のIRENAに対する貢献への謝意が伝えられるとともに、日本が指摘したサプライチェーンの強靭化やESGの強化やライフサイクル評価といった再生可能エネルギー普及に関する課題に真剣に取り組む必要があるとして、今年G7議長国の日本との間での更なる協力関係の強化を期待する旨発言がありました。

(2)ケリー米気候問題担当大統領特使との懇談

ケリー特使と写真撮影する髙木外務大臣政務官
ケリー特使との立ち話の様子

 髙木政務官は、14日、ジョン・ケリー米気候問題担当大統領特使(The Honorable John F. Kerry, Special Presidential Envoy for Climate)と短時間懇談しました。
 髙木政務官から、日本は今年G7議長国として脱炭素化の議論をリードしていきたいと述べたところ、ケリー特使から、G7での議論に期待したい、また、原子力発電所再稼働を含む日本のエネルギー政策を支持する旨発言がありました。

(3)ヴェンツェル独経済・気候保護省政務次官との会談

ヴェンツェル独経済・気候保護省政務次官との会談の様子

 髙木政務官は、14日、シュテファン・ヴェンツェル経済・気候保護省政務次官(Mr. Stefan Wenzel, Parliamentary State Secretary)との会談を行いました。
 髙木政務官から、昨年のG7議長国のドイツの築いた成果を評価した上で、エネルギー危機の中、エネルギー安全保障を確保する形で、脱炭素化を実施する取組みを行う必要がある旨述べました。
 これに対し、ヴェンツェル政務次官から、エネルギー危機に対応していくために、今後もG7の緊密な協力が必要であり、今年のG7議長国である日本と協力していきたい旨の発言がありました。

(4)シン電力、新・再生可能エネルギー省大臣との会談

シン大臣と握手する髙木政務官
シン大臣との会談の様子

 髙木政務官は、14日、ラージ・クマール・シン・インド電力、新・再生可能エネルギー省大臣(H.E. Mr. Raj Kumar Singh, Minister of Power & New and Renewable Energy)と会談を行いました。
 髙木政務官から、日本はG7議長国を、インドはG20議長国をそれぞれ務めることから、G7・G20の双方を通じて、現下のエネルギー危機の教訓を踏まえた今後のグローバルなエネルギー政策の方向性を世界に打ち出していきたい旨述べました。
 これに対し、シン大臣から、エネルギー危機に対応していくために、G7・G20の緊密な連携が必要であり、グリーン水素・アンモニア等の新エネルギーの分野で、二国間・多国間での協力を推進していきたい旨の発言がありました。

(5)アリフィン・エネルギー・鉱物資源大臣との会談

アリフィン大臣との会談の様子

 髙木政務官は、14日、アリフィン・タスリフ・インドネシア・エネルギー・鉱物資源大臣(H.E. Mr. Arifin Tasrif, Ministry of Energy and Mineral Resources, Republic of Indonesia)との会談を行いました。
 髙木政務官から、エネルギー安全保障を損なわない現実的なエネルギー移行が必要であり、今年日本はG7議長国を、インドネシアはASEAN議長国をそれぞれ務める中で、両国の歴史的な友好関係に基づいて一層協力していきたい旨述べました。
 これに対し、アリフィン大臣から、天然ガスの安定供給や再生可能エネルギーの分野において、引き続き二国間・多国間で協力していきたい旨の発言がありました。

(6)ニャム・エネルギー市場監督庁長官との懇談

ニャム長官との懇談の様子

 髙木政務官は、15日、ニャム・エネルギー市場監督庁長官(Mr. Ngiam Shih Chun, Chief Executive of the Energy Market Authority)と短時間懇談しました。
 髙木政務官から、アジア地域におけるエネルギーの安定供給確保に向けて両国間で協力していきたい旨述べました。
 これに対し、ニャム長官から、今後もグリーン水素・アンモニア等に関する協力を推進していきたい旨の発言がありました。


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