経済外交

平成26年4月11日

 グリアOECD事務総長は,4月6日から10日までの日程で訪日したところ,概要及び評価は以下のとおり。

  • 今次グリア事務総長訪日にあたり,「OECD日本加盟50周年記念シンポジウム」や「OECD経済産業諮問委員会(BIAC),OECD労働組合諮問委員会(TUAC),OECD事務局,日本政府間での4者協議」をはじめとする各種行事が開催され,OECDの日本国内でのビジビリティを高める機会となった。また,加盟50周年を記念し各種行事が開催された。
  • 今次訪日に併せて,OECDによる政策提言集「OECD Better Policiesシリーズ 日本 レジリエントな経済と包摂的な成長に向けて 第三の矢を放つ」が発表された。
  • アベノミクスについて,最初の成果はめざましいものがあるが,第三の矢である構造改革が必要である,また,計画どおり2015年に消費税を10%に引き上げるべきとの見解が示された。安倍総理の他に9人の閣僚との間で経済政策,構造改革等について意見交換が行われた。

1 日程

  • (1)7日から10日にかけて,皇太子殿下の御接見,安倍総理表敬,岸田外務大臣他関係9閣僚との会談,また,経済界,労働界の代表等との意見交換を行った。7日に,福島を訪れ復興状況の視察を行った。また,いわき市において,OECD東北スクールの生徒をはじめとする関係者との懇談を行った。さらに,有識者を交えた夕食会を行った。
  • (2)8日に,日本が本年閣僚理事会議長国を務めることを受けて,「OECD経済産業諮問委員会(BIAC),OECD労働組合諮問委員会(TUAC),グリア事務総長以下OECD事務局,日本政府間での4者協議」が行われ,冒頭,三ツ矢外務副大臣より挨拶を行うとともに,長嶺外務審議官が議事進行を務めた。また,原子力機関(NEA)主催原子力安全カンファレンスでは,グリア事務総長及び石原外務大臣政務官が閉会挨拶を行った。さらに,OECD議員連盟発足祝賀会に出席した。同祝賀会では,岸外務副大臣が冒頭挨拶を行った。
  • (3)9日に,「OECD日本加盟50周年記念シンポジウム-アジアとともに,半世紀後の未来に向けて-」(於:日経ホール)(注)が開催され,グリア事務総長は,冒頭挨拶とともに,第一部にゲストスピーカーとして出席した。同シンポジウムでは,安倍総理が冒頭挨拶を行うとともに,木原外務大臣政務官が基調演説を行った。夕方行われた岸田外務大臣主催加盟50周年記念レセプションでは,4月2日に発行された特殊切手「「経済協力開発機構(OECD)加盟50周年」」を岸田外務大臣からグリア事務総長に手交した。

 (注)OECD日本加盟50周年記念シンポジウム(概要別添)

(1)概要
 グリアOECD事務総長の訪日にあわせ,4月9日(水曜日)に日経ホールにて開催(外務省,日本経済研究センター,OECD共催。日経新聞後援)。
(2)テーマ(3部構成)
(ア)50年後の世界–今求められているものは何か(モデレーター:岩田一政日本経済研究センター理事長)
(イ)成長センターとしての東南アジアにおけるOECDの役割(モデレーター:白石隆政策研究大学院大学学長)
(ウ)2014年閣僚理事会議長国としての日本の役割(モデレーター:野上義二日本国際問題研究所理事長)

2 主な表敬・会談

(1)安倍総理表敬(9日午後)
ア 安倍総理より,閣僚理事会では,我が国の加盟50周年の機会に閣僚理事会議長国を務めることができるのは喜ばしい,議長国基調演説では,加盟50年をふり返るとともに,特に新しい成長戦略を通じた日本経済の再生と世界経済への貢献について考えを訴えたい,また,閣僚理事会の重要テーマである東南アジアとの関係強化へ引き続き支援していく旨発言。
イ グリア事務総長より,アベノミクスの最初の成果はめざましいものであるが,第三の矢である構造改革への取組が必要であり,支援したい,基調演説で総理より力強いメッセージをいただけることを楽しみにしている,東南アジアとの関係強化における日本のこれまでの貢献に感謝するとともに,引き続き橋渡し役を担って欲しい旨発言。
(2)岸田外務大臣との会談(9日夕)
ア 岸田大臣より,「しなやかで強靱な経済社会」,「OECDと東南アジアとの関係強化」をテーマとし,充実した議論を行いたい。東南アジア地域プログラムの立ち上げ式典をはじめとする東南アジアに関する取組が有意義なものとなるよう,尽力願いたい旨発言。
イ グリア事務総長より,今回の閣僚理事会のテーマは,東日本大震災からの復興,デフレからの脱却をはじめ,日本が議長国である機会にとり上げるにふさわしいテーマである,また,東南アジアとの関係強化に向けた日本の支援に感謝申し上げるとともに,東南アジア関連のプログラムが盛況なものとなるよう取組を進めたい旨発言。

3 評価

  • (1)本2014年が日本のOECD加盟50周年という節目の年であり,5月にパリで行われるOECD閣僚理事会議長国を日本が務めることから,今次グリア事務総長訪日の際に「OECD日本加盟50周年記念シンポジウム」や「BIAC,TUAC,OECD事務局,日本政府間での4者協議」をはじめとする各種行事が開催され,OECDの日本国内でのビジビリティを高める機会となった。
  • (2)今次訪日にあたり作成された政策提言集「OECD Better Policiesシリーズ 日本 レジリエントな経済と包摂的な成長に向けて 第三の矢を放つ」の中では,アベノミクスの最初の成果はめざましいものであるが,第三の矢である構造改革への取組が必要であり,女性の労働参加促進から,競争の自由化とイノベーションの促進にいたるまでの努力が必要であるとのメッセージが発出された。とりわけ,2015年に消費税率を計画どおりに10%に引き上げるべきとの内容は各紙で報じられた。
  • (3)日本のOECD加盟50周年を記念し,岸田外務大臣主催レセプションが開催され,国会,政府,経済界,労働界,有識者,報道関係者,東北スクール関係者,OECD Student Ambassadorsをはじめ幅広い関係者が出席した。
経済外交へ戻る