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世界貿易機関(WTO)

令和3年5月19日

 この協定の締約国(以下「締約国」という。)は、

 国際貿易の一層の自由化及び拡大を図り、かつ、国際貿易を規律する枠組みを改善するため、政府調達に関する効果的な多角的枠組みの必要性を認め、

 政府調達に係る措置は、国内の供給者、物品若しくはサービスに保護を与えるように、又は外国の供給者、物品若しくはサービスの間に差別を設けるように立案され、制定され、又は適用されるべきでないことを認め、

 政府調達制度の信頼性及び予見可能性が、公的資金の効率的かつ効果的な管理、締約国の経済の良好な運営及び多角的貿易体制の機能にとって不可欠であることを認め、

 この協定に基づく手続上の約束は、各締約国の個別の状況を考慮に入れるため十分に柔軟であるべきであることを認め、

 開発途上国、特に後発開発途上国の開発上、資金上及び貿易上のニーズに留意する必要を認め、

 政府調達に係る措置が透明性を有すること、透明性のある、かつ、公平な方法で調達を実施すること並びに腐敗の防止に関する国際連合条約等の適用のある国際文書に従って利益相反及び腐敗した慣行を回避することの重要性を認め、

 この協定の適用を受ける調達のために電子的手段を使用すること及びその使用を奨励することの重要性を認め、

 この協定の締約国でない世界貿易機関の加盟国によるこの協定の受諾及びこの協定への加入を奨励することを希望して、

 ここに、次のとおり協定する。

第一条 定義

 この協定の適用上、

(a)
「商業上の物品又はサービス」とは、政府に係る目的以外の目的で、一般に商業市場において政府以外の買手に販売され、又は販売のために提供され、かつ、当該買手により通常購入される種類の物品又はサービスをいう。
(b)
「委員会」とは、第二十一条1の規定によって設置される政府調達に関する委員会をいう。
(c)
「建設サービス」とは、その手段のいかんを問わず、国際連合の暫定的な中央生産物分類第五一区分に基づく土木工事又は建築物の工事の実施を目的とするサービスをいう。
(d)
「国」には、この協定の締約国である独立の関税地域を含む。この協定において「国」を含む表現(例えば、「内国民待遇」、「国内法令」)は、この協定の締約国である独立の関税地域については、別段の定めがある場合を除くほか、当該関税地域に係るものとして読むものとする。
(e)
「日」とは、暦日をいう。
(f)
「電子オークション」とは、供給者が新たな価格又は価格以外の入札の要素(数値化することができ、かつ、評価基準に関連するもの)に係る新たな数値のいずれか又は双方を提示するための電子的手段の使用を伴う反復的な手続であって、その結果により入札の順位を決定し、又は更新するものをいう。
(g)
「書面」とは、文言又は数字による表記であって、読むことができ、複製することができ、かつ、後に伝達することができるものをいう。当該表記には、電子的に送付され、及び保存される情報を含めることができる。
(h)
「限定入札」とは、調達機関が、自己が選択した供給者と折衝する調達方法をいう。
(i)
「措置」とは、対象調達に関する法令、手続、行政指導若しくは行政上の慣行又は調達機関による行為をいう。
(j)
「常設名簿」とは、供給者として調達に参加するための条件を満たしていると調達機関が判断した供給者の名簿であって、調達機関が複数回使用する意図を有するものをいう。
(k)
「調達計画の公示」とは、調達機関が関心を有する供給者に参加申請書、入札書又はその双方を提出することを招請するために行う公示をいう。
(l)
「調達の効果を減殺する措置」とは、国内の物品若しくは国内のサービスを組み入れること、技術の使用を許諾すること、投資を行うこと、見返貿易を行うこと又はこれらと同様の措置をとり、若しくは要求すること等、締約国内の開発を奨励し、又は締約国の国際収支を改善する条件又は約束をいう。
(m)
「公開入札」とは、関心を有する全ての供給者が入札を行うことのできる調達方法をいう。
(n)
「者」とは、自然人又は法人をいう。
(o)
「調達機関」とは、附属書Iの締約国の付表1から付表3までに掲げる機関をいう。
(p)
「資格を有する供給者」とは、調達に参加するための条件を満たしていると調達機関が認める供給者をいう。
(q)
「選択入札」とは、資格を有する供給者のみが調達機関から入札を行うよう招請される調達方法をいう。
(r)
「サービス」には、別段の定めがある場合を除くほか、建設サービスを含む。
(s)
「任意規格」とは、物品若しくはサービス又は関連の生産工程若しくは生産方法についての規則、指針又は特性を一般的及び反復的な使用のために規定する、認められた機関が承認した文書であって遵守することが義務付けられていないものをいう。任意規格は、専門用語、記号、包装又は証票若しくはラベル等による表示に関する要件であって物品、サービス又は生産工程若しくは生産方法について適用されるものを含むことができ、また、これらの事項のうちいずれかのもののみでも作成することができる。
(t)
「供給者」とは、物品又はサービスを提供し、又は提供し得る者又は集団をいう。
(u)
「技術仕様」とは、次の事項について規定する入札の要件をいう。
(i)
調達される物品又はサービスの特性(品質、性能、安全及び寸法を含む。)又は生産若しくは提供の工程及び方法
(ii)
物品又はサービスについて専門用語、記号、包装又は証票若しくはラベル等による表示に関する要件が適用される場合には、当該要件

第二条 適用範囲

協定の適用

  • 1 この協定は、対象調達(その全部又は一部が電子的手段により行われるか否かを問わない。)に係る措置について適用する。
  • 2 この協定の適用上、「対象調達」とは、政府に係る目的のための調達であって次の(a)から(e)までの要件を満たすものをいう。
    (a)
    次の(i)及び(ii)の要件を満たす物品、サービス又はこれらの組合せの調達であること。
    (i)
    当該物品又は当該サービスが附属書Iの締約国の付表に掲げられていること。
    (ii)
    当該調達が、商業的販売若しくは商業的再販売を目的として、又は商業的販売若しくは商業的再販売のための物品若しくはサービスの生産若しくは供給において用いるために行われるものでないこと。
    (b)
    購入、借入れ(購入を選択する権利の有無を問わない。)等の契約により行われること。
    (c)
    第七条の規定に従って公示を行う時点において、6から8までの規定により見積もられた価額が、附属書Iの締約国の付表において特定する基準額と同額であるか、又はこれを超えること。
    (d)
    調達機関により行われること。
    (e)
    3の規定又は附属書Iの締約国の付表の規定により適用範囲から除外されていないこと。
  • 3 この協定は、附属書Iの締約国の付表に別段の定めがある場合を除くほか、次のものについては適用しない。
    (a)
    土地、既存の建築物その他の不動産又はこれらについての権利の取得又は借入れ
    (b)
    契約上の取決め以外の取決め又は締約国が供与するあらゆる形態の援助(協力のための取決め、贈与、借款、出資、保証及び財政による奨励を含む。)
    (c)
    国庫に係る取引の代行又は預託のサービス、規制された金融機関の清算及び管理に係るサービス並びに公債(貸付け及び政府が発行する債券、利付証書その他の証券を含む。)の売却、償還及び分配に関連するサービスの調達又は取得
    (d)
    公共部門への雇用契約
    (e)
    次に掲げる調達
    (i)
    国際的な援助(開発援助を含む。)を供与することを明確な目的として行われる調達
    (ii)
    軍隊の駐留に関連する国際取極又は署名国による一の計画の共同での実施に関連する国際取極に定める特別の手続又は条件により行われる調達
    (iii)
    国際機関の特別の手続若しくは条件により行われる調達、又は国際的な贈与、借款その他の援助により供与された資金で行う調達であって適用される手続若しくは条件がこの協定に適合しないもの
  • 4 各締約国は、附属書Iの自国の付表において次に掲げる情報を特定する。
    (a)
    付表1においては、その調達がこの協定の適用を受ける中央政府の機関
    (b)
    付表2においては、その調達がこの協定の適用を受ける地方政府の機関
    (c)
    付表3においては、その調達がこの協定の適用を受けるその他の全ての機関
    (d)
    付表4においては、この協定の適用を受ける物品
    (e)
    付表5においては、この協定の適用を受けるサービス(建設サービスを除く。)
    (f)
    付表6においては、この協定の適用を受ける建設サービス
    (g)
    付表7においては、一般的注釈
  • 5 調達機関が、附属書Iの締約国の付表に掲げられていない者に対し、対象調達に関連して当該者が行う調達を特定の要件に従って行うよう求める場合には、当該要件について第四条の規定が準用される。

評価

  • 6 調達機関は、調達が対象調達であるか否かを確認するために調達価額を見積もるに当たり、
    (a)
    調達をこの協定の適用の対象から全面的又は部分的に除外する意図の下に、当該調達を分割してはならず、また、調達価額を見積もるための特定の評価の方法を選択し、又は使用してはならない。
    (b)
    次に掲げるものを含む全ての形態の報酬を考慮の上、調達の全ての期間にわたる調達価額の最大限の見積総額によるものとする(契約を締結する供給者が一又は二以上のいずれであるかを問わない。)。
    (i)
    特別報酬、料金、手数料及び利子
    (ii)
    選択権を行使する可能性がある調達の場合には、当該選択権を行使したときの総額
  • 7 一の調達のために、二以上の契約又は区分した契約(以下「一連の契約」という。)を締結する場合には、最大限の見積総額は、次の(a)又は(b)のいずれかに基づいて算定する。
    (a)
    当初の契約の締結前十二箇月の間又は当該契約が締結される調達機関の会計年度の前会計年度に締結された一連の契約であって、同種の物品又はサービスに係るものの価額(可能な場合には、当初の契約の締結後十二箇月の間に調達される物品又はサービスの数量又は価額の予想される変動を考慮に入れて調整した価額とする。)
    (b)
    当初の契約の締結後十二箇月の間又は当該契約が締結される調達機関の会計年度に締結される一連の契約であって、同種の物品又はサービスに係るものの見積価額
  • 8 物品若しくはサービスの借入れによる調達の場合又は価格の総額が特定されない調達の場合における評価の基礎は、次のとおりとする。
    (a)
    期間の定めのある契約の場合には、
    (i)
    その期間が十二箇月以下のときは当該期間における契約の最大限の見積総額
    (ii)
    その期間が十二箇月を超えるときは見積残存価額を含む当該期間における契約の最大限の見積総額
    (b)
    期間の定めのない契約の場合には、一箇月当たりの支払見積額に四十八を乗じて得た額
    (c)
    期間の定めのある契約となるか否か確かでない場合には、(b)の規定を用いる。

第三条 安全保障のための例外及び一般的例外

  • 1 この協定のいかなる規定も、締約国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要と認める措置又は情報であって、武器、弾薬若しくは軍需品の調達又は国家の安全保障のため若しくは国家の防衛上の目的のために不可欠の調達に関連するものにつき、その措置をとること又はその情報を公表しないことを妨げるものと解してはならない。
  • 2 この協定のいかなる規定も、締約国が、次のいずれかの措置を講ずること又は実施することを妨げるものと解してはならない。ただし、それらの措置が、同じ条件の下にある締約国間において恣意的若しくは不当な差別の手段となるような態様で、又は国際貿易に対する偽装した制限となるような態様で適用されないことを条件とする。
    (a)
    公衆の道徳、公の秩序又は公共の安全の保護のために必要な措置
    (b)
    人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置
    (c)
    知的財産の保護のために必要な措置
    (d)
    障害者、慈善団体又は刑務所労働により生産される物品又は提供されるサービスに関する措置

第四条 一般原則

無差別待遇

  • 1 各締約国(その調達機関を含む。)は、対象調達に関する措置について、他の締約国の物品及びサービスに対し並びに他の締約国の供給者であって締約国の物品及びサービスを提供するものに対し、即時にかつ無条件で、次の物品、サービス及び供給者に与える待遇よりも不利でない待遇を与える。
    (a)
    国内の物品、サービス及び供給者
    (b)
    当該他の締約国以外の締約国の物品、サービス及び供給者
  • 2 締約国(その調達機関を含む。)は、対象調達に関する措置について、次のことを行ってはならない。
    (a)
    国内に設立された供給者を、当該供給者が有している外国企業等との関係(所有関係を含む。)の程度に基づいて、国内に設立された他の供給者より不利に取り扱うこと。
    (b)
    国内に設立された供給者を、当該供給者が特定の調達のために提供する物品又はサービスが他の締約国の物品又はサービスであることに基づいて差別すること。

電子的手段の利用

  • 3 対象調達を電子的手段により実施する場合には、調達機関は、次のことを行う。
    (a)
    当該対象調達が、一般に利用可能な情報技術システム及びソフトウェア(情報の認証及び暗号化に関するものを含む。)であって、他の一般に利用可能な情報技術システム及びソフトウェアと相互運用性のあるものを利用して行われることを確保すること。
    (b)
    参加申請及び入札の信頼性(受領の日時の確定及び不適当なアクセスの防止を含む。)を確保する仕組みを維持すること。

調達の実施

  • 4 調達機関は、対象調達を次の(a)から(c)までの要件を満たす透明性のある、かつ、公平な方法により実施する。
    (a)
    公開入札、選択入札、限定入札等を用いた、この協定に適合する方法であること。
    (b)
    利益相反を回避すること。
    (c)
    腐敗した慣行を防止すること。

原産地に関する規則

  • 5 締約国は、対象調達のために他の締約国から輸入され、又は供給される物品又はサービスに関し、同一の時点における当該他の締約国からの同一の物品又はサービスの輸入又は供給であって通常の貿易として行われるものについて適用する原産地に関する規則と異なる規則を適用してはならない。

調達の効果を減殺する措置

  • 6 締約国(その調達機関を含む。)は、対象調達について、調達の効果を減殺する措置を求め、考慮し、課し、又は強制してはならない。

調達に固有ではない措置

  • 7 1及び2の規定は、輸入について又は輸入に関連して課される全ての種類の関税及び課徴金、これらの徴収の方法その他の輸入に関連する規則又は手続並びにサービスの貿易に影響を及ぼす措置(対象調達を規律する措置を除く。)については、適用しない。

第五条 開発途上国

  • 1 締約国は、この協定への加入に関する交渉において並びにこの協定の実施及び運用に当たり、開発途上国及び後発開発途上国(以下、別に明示する場合を除くほか、「開発途上国」と総称する。)の開発上、資金上及び貿易上のニーズ及び事情について、それらが国ごとに著しく異なることがあることを認識しつつ、特別の考慮を払う。締約国は、この条の規定に従い、かつ、要請に応じ、次に掲げる国に対して特別のかつ異なる待遇を与える。
    (a)
    後発開発途上国
    (b)
    後発開発途上国以外の開発途上国。ただし、当該特別のかつ異なる待遇が当該開発途上国の開発上のニーズを満たす場合において、そのために必要な範囲内に限る。
  • 2 締約国は、開発途上国のこの協定への加入に際し、この協定の下における適当な機会の均衡を維持するために当該締約国と当該開発途上国との間で交渉された条件に従い、当該開発途上国の物品、サービス及び供給者に対し、当該締約国が附属書Iの自国の付表に従って他の締約国について認めている最も有利な適用範囲を直ちに認める。
  • 3 開発途上国は、その開発上のニーズに基づき及び他の締約国の同意を得て、経過期間中に、附属書Iの当該開発途上国の関連する付表に定める表に従い、他の締約国の間に差別を設けないような態様で適用される次の一又は二以上の経過措置を採用し、又は維持することができる。
    (a)
    価格に関する優遇措置に係る計画。ただし、次のことを条件とする。
    (i)
    当該計画が、当該優遇措置を適用する開発途上国を原産地とする物品若しくはサービス又は当該開発途上国が特恵的な取極に基づき内国民待遇を与える義務を負う他の開発途上国を原産地とする物品若しくはサービスを含む入札の部分に限り、当該優遇措置を提供するものであること。ただし、当該他の開発途上国がこの協定の締約国である場合には、この待遇が委員会の定める条件に従うことを条件とする。
    (ii)
    当該計画が透明性のあるものであり、かつ、当該優遇措置の内容及び当該優遇措置が調達において適用されることが調達計画の公示において明確に記述されること。
    (b)
    調達の効果を調達の効果を減殺する措置。ただし、調達計画の公示において、当該調達の効果を減殺する措置を課することに係る要件又は当該調達の効果を減殺する措置を課することが考慮されることが明確に示される場合に限る。
    (c)
    特定の機関又は分野の段階的な追加
    (d)
    当該開発途上国の通常の基準額よりも高い基準額
  • 4 締約国は、この協定への加入に関する交渉において、加入する開発途上国によるこの協定(前条1(b)の規定を除く。)に基づく特定の義務の適用を、当該開発途上国が当該特定の義務を履行するまでの間、遅らせることについて合意することができる。当該特定の義務の履行のための期間は、次のとおりとする。
    (a)
    後発開発途上国については、この協定への加入の後五年
    (b)
    後発開発途上国以外の開発途上国については、当該特定の義務を履行するために必要な期間に限るものとし、三年を超えないものとする。
  • 5 4の規定に基づき義務の履行のための期間について交渉した開発途上国は、合意された当該履行のための期間、当該履行のための期間の対象となる特定の義務及び自国が当該履行のための期間中に従うことに同意した暫定的な義務を附属書Iの自国の付表7に掲げる。
  • 6 委員会は、開発途上国についてこの協定の効力が生じた後、当該開発途上国の要請に応じ、次のことを行うことができる。
    (a)
    3の規定に基づいて採用され、若しくは維持された措置に関する経過期間又は4の規定に基づいて交渉された履行のための期間を延長すること。
    (b)
    加入の過程において予見されなかった特別な状況において、3の規定に基づく新たな経過措置を採用することを承認すること。
  • 7 3若しくは6の規定に基づく経過措置、4の規定に基づく履行のための期間又は6の規定に基づく延長につき交渉した開発途上国は、経過期間又は履行のための期間が終了する時点において自国がこの協定を遵守していることを確保するため、これらの期間中に必要な措置をとる。当該開発途上国は、委員会に対しそれぞれの措置を速やかに通報する。
  • 8 締約国は、開発途上国による技術協力及び能力の開発の要請であって、当該開発途上国のこの協定への加入又はこの協定の実施に関連するものに妥当な考慮を払う。
  • 9 委員会は、この条の規定を実施するための手続を作成することができる。この手続には、6の規定に基づく要請についての決定に関する投票のための規定を含めることができる。
  • 10 委員会は、この条の規定の運用及び実効性について五年ごとに検討する。

第六条 調達制度に関する情報

  • 1 締約国は、次のことを行う。
    (a)
    法令、司法上の決定、一般に適用する行政上の決定、法令で義務付けられ、かつ、公示又は入札説明書において示されている標準契約条項及び手続であって対象調達に係るもの並びにそれらの修正を、公衆に広く周知され、その後も容易に閲覧することができる公式に指定された電子的媒体又は紙面により、速やかに公表すること。
    (b)
    要請に応じ、(a)に規定する事項について他の締約国に対して説明を行うこと。
  • 2 締約国は、次のものを附属書に掲げる。
    (a)
    附属書IIにおいて、1に規定する情報を公表するために用いる電子的媒体又は紙面
    (b)
    附属書IIIにおいて、次条、第九条7及び第十六条2の規定により必要とされる公示を行うために用いる電子的媒体又は紙面
    (c)
    附属書IVにおいて、次の(i)又は(ii)を公表するために用いるウェブサイトのアドレス
    (i)
    調達に関する当該締約国の統計であって、第十六条5の規定に基づくもの
    (ii)
    締結された契約に関する当該締約国の公示であって、第十六条6の規定に基づくもの
  • 3 締約国は、附属書IIから附属書IVまでに掲げる自国の情報についての修正を速やかに委員会に通報する。

第七条 公示

調達計画の公示

  • 1 調達機関は、第十三条に規定する場合を除くほか、対象調達ごとに、附属書IIIに掲げる適当な紙面又は電子的媒体により調達計画の公示を行う。それらの媒体は、広く周知されるものとし、調達計画の公示は、少なくとも当該調達計画の公示に示された期間の満了の時まで、引き続き公衆が容易に閲覧することができるようにする。調達計画の公示は、
    (a)
    付表1に掲げる調達機関については、少なくとも附属書IIIに規定する最小限の期間においては、電子的手段により単一の窓口を通じて無償で閲覧することができるようにする。
    (b)
    付表2又は付表3に掲げる調達機関については、電子的手段により閲覧することができる場合には、少なくとも、無償で閲覧することができるゲートウェイ電子サイトのリンクを通じて提供されるようにする。
    締約国(当該締約国の付表2又は付表3に掲げる調達機関を含む。)は、調達計画の公示を電子的手段により単一の窓口を通じて無償で行うことが奨励される。
  • 2 この協定に別段の定めがある場合を除くほか、調達計画の公示には、次の事項に関する情報を含める。
    (a)
    調達機関の名称及び所在地その他調達機関に連絡し、公示された調達に関連する全ての文書を入手するために必要な情報、並びに当該文書が有償の場合にはその費用及び支払条件
    (b)
    公示された調達についての説明(調達されるべき物品又はサービスの特質及び数量(数量が不明な場合には、数量の見積り)を含む。)
    (c)
    一連の契約については、可能な場合には、次回以降の調達計画の公示の見込まれる時期
    (d)
    選択権についての説明
    (e)
    物品の納入若しくはサービスの提供の期間又は契約の期間
    (f)
    用いる調達方法及び交渉又は電子オークションを行う意図の有無
    (g)
    公示された調達について参加申請書の提出を求める場合には、その提出の場所及び最終期日
    (h)
    入札書の提出の場所及び最終期日
    (i)
    入札書又は参加申請書の作成に用いることができる言語(調達機関の属する締約国の公用語以外の言語で提出することが可能な場合に限る。)
    (j)
    供給者が参加するための条件の一覧表及び簡潔な説明(供給者が当該条件に関連して提出すべき特定の文書又は証明書についての要件を含む。ただし、当該調達計画の公示と同時に関心を有する全ての供給者による入手が可能とされる入札説明書に当該要件が含まれていない場合に限る。
    (k)
    調達機関が第九条の規定に基づき限られた数の資格を有する供給者を入札に招請するために選択する意図を有する場合には、その選択に用いる基準及び入札を行うことが認められる供給者の数を制限するときはその制限
    (l)
    公示された調達にこの協定が適用される旨の記述

公示の概要

  • 3 調達機関は、各調達計画について、調達計画の公示と同時に、世界貿易機関のいずれかの公用語で、公示の概要を容易に閲覧することができる方法で公表する。当該公示の概要には、少なくとも次の情報を含める。
    (a)
    調達の対象事項
    (b)
    入札書の提出の最終期日又は調達に係る参加申請書若しくは常設名簿への記載の申請書の提出を求める場合にはその提出の最終期日
    (c)
    調達に関する文書を入手することができる場所

調達予定の公示

  • 4 調達機関は、各会計年度のできる限り早い時期に、附属書IIIに掲げる適当な紙面又は電子的媒体により将来予定されている調達に関する公示(以下「調達予定の公示」という。)を行うことを奨励される。調達予定の公示には、調達の対象事項及び調達計画の公示の予定日を含めるべきである。
  • 5 付表2又は付表3に掲げる調達機関は、調達予定の公示を調達計画の公示として使用することができる。ただし、当該調達予定の公示に、2に規定する情報のうち調達機関が入手することができる全てのもの及び関心を有する供給者が調達機関に対し予定されている調達への関心を表明すべきである旨の記述が含まれることを条件とする。

第八条 参加のための条件

  • 1 調達機関は、調達への参加のためのいかなる条件も、供給者が当該調達を遂行するための法律上、資金上、商業上及び技術上の能力を有することを確保する上で不可欠なものに限定しなければならない。
  • 2 調達機関は、参加のための条件を定めるに当たり、
    (a)
    供給者が以前に特定の締約国の調達機関と一又は二以上の契約を締結したことを当該供給者が調達に参加するための条件として課してはならない。
    (b)
    調達の要件を満たすために不可欠な場合には、関連する過去の経験を要求することができる。
  • 3 調達機関は、供給者が参加のための条件を満たすか否かを評価するに当たり、次のことを行う。
    (a)
    調達機関が属する締約国の領域の内外双方における当該供給者の事業活動を基礎として当該供給者の資金上、商業上及び技術上の能力を評価すること。
    (b)
    公示又は入札説明書において事前に特定した条件に基づいて評価すること。
  • 4 締約国(その調達機関を含む。)は、裏付けとなる証拠がある場合には、次のような理由により供給者を排除することができる。
    (a)
    破産
    (b)
    虚偽の申告
    (c)
    過去の契約における実体的な要件又は義務に係る著しい又は度重なる不備
    (d)
    重大な犯罪その他の重大な法令違反に関する確定判決
    (e)
    職業上の不当行為又は供給者の商業上の信頼性に悪影響を与える作為若しくは不作為
    (f)
    租税の不払い

第九条 供給者の資格の審査

登録制度及び資格の審査に係る手続

  • 1 締約国(その調達機関を含む。)は、関心を有する供給者が登録し、一定の情報を提供することを要求する供給者登録制度を維持することができる。
  • 2 締約国は、次のことを確保する。
    (a)
    自国の調達機関がその資格の審査に係る手続の相違を最小限にするための努力を払うこと。
    (b)
    自国の調達機関が登録制度を維持している場合には、当該調達機関がその登録制度の相違を最小限にするための努力を払うこと。
  • 3 締約国(その調達機関を含む。)は、その調達への他の締約国の供給者の参加に対する不必要な障害をもたらすことを目的として又はもたらす結果となるように登録制度又は資格の審査に係る手続を採用し、又は適用してはならない。

選択入札

  • 4 調達機関が選択入札を用いる意図を有する場合には、当該調達機関は、次のことを行う。
    (a)
    調達計画の公示に少なくとも第七条2(a)、(b)、(f)、(g)及び(j)から(l)までに規定する情報を含め、並びに供給者に参加申請書を提出するよう招請すること。
    (b)
    入札期間の開始までに、当該調達機関が第十一条3(b)の規定による通知を行った資格を有する供給者に対し、少なくとも第七条2(c)から(e)まで、(h)及び(i)に規定する情報を提供すること。
  • 5 調達機関は、入札を行うことが認められる供給者の数の制限及びその制限された数の供給者を選択するための基準を調達計画の公示に明記した場合を除くほか、資格を有する供給者の全てが特定の調達に参加することを認める。
  • 6 調達機関は、入札説明書が4に規定する調達計画の公示の日から公に入手可能とされない場合には、5の規定に従って選択された資格を有する供給者の全てが同時に当該入札説明書を入手することができるようにすることを確保する。

常設名簿

  • 7 調達機関は、供給者の常設名簿を保持することができる。ただし、附属書IIIに掲げる適当な媒体により、関心を有する供給者に当該常設名簿への記載を申請するよう招請するための公示であって、次の要件を満たすものを行うことを条件とする。
    (a)
    毎年行われること。
    (b)
    電子的手段によって行われる場合には、常に閲覧に供されること。
  • 8 7に規定する公示には、次の事項を含める。
    (a)
    調達について常設名簿が使用され得る物品若しくはサービス又は物品群若しくはサービス群についての説明
    (b)
    供給者が常設名簿に記載されるために満たすべき参加のための条件及び供給者が当該条件を満たしていることを審査するために調達機関が用いる方法
    (c)
    調達機関の名称及び所在地その他調達機関に連絡し、常設名簿に関連する全ての文書を入手するために必要な情報
    (d)
    常設名簿の有効期間及び当該常設名簿を更新し、若しくは失効させる方法、又は有効期間が定められていない場合には常設名簿の失効の公示を行う方法の記述
    (e)
    常設名簿がこの協定の適用を受ける調達について使用され得る旨の記述
  • 9 7の規定にかかわらず、調達機関は、常設名簿の有効期間が三年以下である場合には、7に規定する公示について、次のことを条件として、当該常設名簿の有効期間の開始に当たり一回のみ行うこととすることができる。
    (a)
    当該有効期間及び更に公示が行われない旨が明記されていること。
    (b)
    電子的手段によって行われ、かつ、当該有効期間中、常に閲覧に供されること。
  • 10 調達機関は、供給者がいつでも常設名簿への記載を申請することを認め、資格を有する供給者の全てを適当な短期間内に当該常設名簿に記載する。
  • 11 常設名簿に記載されていない供給者が第十一条2に規定する期間内に常設名簿に基づいて行われる調達に係る参加申請書及び全ての必要とされる書類を提出する場合には、調達機関は、当該参加申請書を審査する。調達機関は、当該調達が複雑であるため、入札書を提出することが認められた期間内に当該参加申請書の審査を完了することができない例外的な場合を除くほか、当該参加申請書を審査するための十分な時間がないことを理由として当該調達において当該供給者を考慮から除外してはならない。

付表2及び付表3に掲げる機関

  • 12 付表2又は付表3に掲げる調達機関は、次のことを条件として、供給者に常設名簿への記載を申請するよう招請するための公示を、調達計画の公示として使用することができる。
    (a)
    当該招請するための公示が7の規定に従って行われ、並びに8の規定により必要とされる情報、第七条2の規定により必要とされる情報のうち入手することができる全てのもの及び当該公示が調達計画の公示を構成する旨又は常設名簿に記載されている供給者に対してのみ当該常設名簿が使用される調達に関する更なる公示が行われる旨の記述を含むものであること。
    (b)
    当該調達機関が、特定の調達に関心を有することを当該調達機関に表明した供給者に対し、当該供給者が当該調達への関心を評価することのできるような十分な情報を速やかに提供すること。この情報には、入手可能な範囲で、第七条2の規定により必要とされる残余の全ての情報を含める。
  • 13 付表2又は付表3に掲げる調達機関は、10の規定に従って常設名簿への記載を申請した供給者が参加のための条件を満たすか否かを審査するために十分な時間がある場合には、当該供給者が特定の調達において入札することを認めることができる。

調達機関の決定に関する情報

  • 14 調達機関は、調達に係る参加申請書又は常設名簿への記載の申請書を提出した供給者に対し、これらの申請に関する自己の決定を速やかに通知する。
  • 15 調達機関は、供給者の調達に係る参加申請若しくは常設名簿への記載の申請を拒否する場合、供給者を資格を有する供給者として認めることをやめる場合又は供給者を常設名簿から除外する場合には、当該供給者に速やかに通知し、及び要請に応じ当該供給者に対してその決定の理由の書面による説明を速やかに提供する。

第十条 技術仕様及び入札説明書

技術仕様

  • 1 調達機関は、国際貿易に対する不必要な障害をもたらすことを目的として又はこれをもたらす効果を有するものとして、技術仕様を立案し、制定し、又は適用してはならず、また、適合性評価手続を定めてはならない。
  • 2 調達機関は、調達される物品又はサービスの技術仕様を定めるに当たり、適当な場合には、次の要件に従う。
    (a)
    当該技術仕様をデザイン又は記述的に示された特性よりも性能及び機能的な要件に着目して定めること。
    (b)
    国際規格が存在するときは当該国際規格、国際規格が存在しないときは国内の強制規格、認められた国内の任意規格又は建築規準に基づいて当該技術仕様を定めること。
  • 3 調達機関は、デザイン又は記述的に示された特性が技術仕様において用いられる場合において、適当なときは、入札説明書に「又はこれと同等のもの」というような文言を付することにより、調達の要件を満たすことが明らかな同等の物品又はサービスの入札を考慮することを示すべきである。
  • 4 調達機関は、技術仕様を定めるに当たり、特定の商標若しくは商号、特許、著作権、デザイン、型式、産地、生産者又は供給者を要件としてはならず、また、これらに言及してはならない。ただし、これらを用いなければ調達の要件の説明を十分に明確な又は理解しやすい方法で行うことができない場合において、調達機関が入札説明書に「又はこれと同等のもの」というような文言を付するときは、この限りでない。
  • 5 調達機関は、特定の調達のための技術仕様の立案又は制定に利用し得る助言を、競争を妨げる効果を有する方法により、当該調達に商業上の利害関係を有する可能性のある者に対し求めてはならず、また、当該者から受けてはならない。
  • 6 締約国(その調達機関を含む。)は、この条の規定に従い、天然資源の保全を促進し、又は環境を保護するために、技術仕様を立案し、制定し、又は適用することができる。

入札説明書

  • 7 調達機関は、供給者がその有効な入札書を準備し、かつ、提出するために必要な全ての情報を含む入札説明書を入手することができるようにする。入札説明書には、調達計画の公示に既に記載されている場合を除くほか、次の事項についての完全な説明を含める。
    (a)
    調達(調達されるべき物品又はサービスの特質及び数量(数量が不明な場合には、数量の見積り)並びに満たすべき要件(技術仕様、適合性評価の証明、設計図、図案又は解説資料を含む。)を含む。)
    (b)
    供給者が参加するための条件(供給者が当該条件に関連して提出することを要求される情報及び文書の一覧表を含む。)
    (c)
    落札に際して調達機関が適用する全ての評価基準、及び価格が唯一の評価基準でない場合にはこれらの評価基準の相対的な重要性
    (d)
    調達機関が電子的手段により調達を実施する場合には、認証及び暗号化の要件その他の電子的手段による情報の提出に関する要件
    (e)
    調達機関が電子オークションを行う場合には、電子オークションの実施に関する規則(評価基準に関連する入札の要素の特定を含む。)
    (f)
    公開の開札が行われる場合には、開札の日時及び場所並びに適当なときは開札に立ち会うことを認められる者
    (g)
    その他の条件(支払条件及び入札書を提出する手段の制限(紙面又は電子的手段のいずれによるか等)を含む。)
    (h)
    物品の納入又はサービスの提供の期日
  • 8 調達機関は、調達される物品の納入又はサービスの提供の期日の設定に当たり、調達の複雑さ、予想される下請契約の範囲並びに製造、在庫の積出し及び供給地点からの物品の輸送又はサービスの提供に実際に要する時間等の要素を考慮する。
  • 9 調達計画の公示又は入札説明書に定める評価基準には、特に、価格その他の費用に係る要素、品質、技術的価値、環境上の特徴及び納入に係る条件を含めることができる。
  • 10 調達機関は、次のことを行う。
    (a)
    関心を有する供給者が有効な入札書を提出するために十分な時間を有することを確保するため、入札説明書を速やかに入手することができるようにすること。
    (b)
    関心を有する供給者に対し、要請に応じ、入札説明書を速やかに提供すること。
    (c)
    関心を有し、又は参加する供給者からの関連情報についての合理的な要請に速やかに応ずること。ただし、その情報は、他の供給者よりも当該供給者に有利となるものであってはならない。

変更

  • 11 調達機関は、落札の前に、参加する供給者に提供した調達計画の公示若しくは入札説明書に定める基準若しくは要件を変更し、又は当該調達計画の公示若しくは入札説明書を修正し、若しくは再度提供する場合には、当該基準若しくは要件の変更又は修正され、若しくは再度提供される当該調達計画の公示若しくは入札説明書を、次の要件に従って書面により送付する。
    (a)
    当該基準若しくは要件の変更又は当該調達計画の公示若しくは入札説明書の修正若しくは再度の提供を行った時に参加していた全ての供給者が判明している場合には、当該全ての供給者に送付すること。その他の全ての場合には、当初の情報を提供したときと同様の方法で送付すること。
    (b)
    適当な場合には、(a)に規定する供給者が入札書を変更し、再提出することができるように十分早い時期に送付すること。

第十一条 期間

通則

  • 1 調達機関は、合理的と認める自己の必要性に基づき、次のような要素を考慮して、供給者がその参加申請書及び有効な入札書を準備し、かつ、提出するために十分な期間を定める。そのような期間(延長される場合には、延長される期間を含む。)は、関心を有し、又は参加する全ての供給者について同一のものとする。
    (a)
    調達の性質及び複雑さ
    (b)
    予想される下請契約の範囲
    (c)
    入札書の送付に電子的手段が用いられない場合には、外国及び国内の地点から入札書を電子的手段以外の手段で送付するために必要な時間

期限

  • 2 選択入札を用いる調達機関は、参加申請書の提出の最終期日を原則として調達計画の公示の日から二十五日目の日以後の日に定める。この提出期間は、調達機関が十分に実証する緊急事態により実際的でなくなる場合には、十日以上の期間に短縮することができる。
  • 3 調達機関は、4、5、7及び8に規定する場合を除くほか、入札書の提出の最終期日を次のいずれかに規定する日から四十日目の日以後の日に定める。
    (a)
    公開入札の場合には、調達計画の公示を行う日
    (b)
    選択入札の場合には、常設名簿を使用するか否かを問わず、調達機関が供給者に入札書の提出を招請することを通知する日
  • 4 調達機関は、次の場合には、3の規定に従って定める入札期間を十日以上の期間に短縮することができる。
    (a)
    調達機関が第七条4に規定する調達予定の公示を調達計画の公示の十二箇月前から四十日前までの期間に行い、かつ、当該調達予定の公示が次の事項を含む場合
    (i)
    調達の説明
    (ii)
    入札書又は参加申請書の提出の最終期日とすることが見込まれる日
    (iii)
    関心を有する供給者が調達機関に対し予定されている調達への関心を表明すべきである旨の記述
    (iv)
    調達に関する文書を入手することができる場所
    (v)
    第七条2の規定により調達計画の公示において必要とされる情報のうち、入手することができる全てのもの
    (b)
    調達機関が、一連の契約に関し、その最初の調達計画の公示において、その後の公示においてこの4の規定に基づく入札期間を定めることを示す場合
    (c)
    調達機関が十分に実証する緊急事態により3の規定に従って定める入札期間が実際的でなくなる場合
  • 5 調達機関は、次の(a)から(c)までの条件の一又は二以上を満たす場合には、3の規定に従って定める入札期間を、当該調達機関が満たす当該条件の数に五を乗じて得た日数短縮することができる。
    (a)
    調達計画の公示を電子的手段により行うこと。
    (b)
    入札説明書の全体を調達計画の公示を行った日から電子的手段により入手することができるようにすること。
    (c)
    当該調達機関が入札書を電子的手段により受領すること。
  • 6 4の規定と併せて5の規定を適用する場合には、いかなるときも、3の規定に従って定める入札期間を調達計画の公示を行った日から十日未満の期間に短縮することとなってはならない。
  • 7 この条の他の規定にかかわらず、調達機関は、商業上の物品若しくはサービス又はその組合せを購入する場合には、調達計画の公示及び入札説明書を電子的手段により同時に公表することを条件として、3の規定に従って定める入札期間を十三日以上の期間に短縮することができる。さらに、当該調達機関は、商業上の物品又はサービスの入札書を電子的手段により受領する場合には、3の規定に従って定める入札期間を十日以上の期間に短縮することができる。
  • 8 付表2又は付表3に掲げる調達機関が全ての又は限られた数の資格を有する供給者を選択する場合には、入札期間は、調達機関と全ての選択された供給者との間の相互の合意により定めることができる。そのような合意が存在しない場合には、当該入札期間は、十日未満であってはならない。

第十二条 交渉

  • 1 締約国は、その調達機関が次のいずれかの場合に交渉を行うことを認めることができる。
    (a)
    第七条2の規定により必要とされる調達計画の公示において当該調達機関が交渉を行う意図を明示した場合
    (b)
    評価を行った結果、調達計画の公示又は入札説明書に定める特定の評価基準によりいずれかの入札が明白に最も有利であると認められない場合
  • 2 調達機関は、次のことを行う。
    (a)
    交渉に参加する供給者の排除が調達計画の公示又は入札説明書に定める評価基準に従って行われることを確保すること。
    (b)
    交渉が終了した場合には、引き続き交渉に参加している供給者が新たな又は変更された入札書を提出するための共通の期限を定めること。

第十三条 限定入札

  • 1 調達機関は、次のいずれかの場合に限り、限定入札を用いること並びに第七条から第九条まで、第十条7から11まで、第十一条、前条、次条及び第十五条を適用しないことを選択することができる。ただし、当該調達機関が、供給者間の競争を避けることを目的として又は他の締約国の供給者を差別し、若しくは国内の供給者を保護するように、この1の規定を適用しないことを条件とする。
    (a)
    次に掲げるいずれかの場合。ただし、入札説明書に定める要件が実質的に変更されないことを条件とする。
    (i)
    入札書が提出されなかった場合又は供給者が参加申請を行わなかった場合
    (ii)
    入札説明書に定める基本的要件に合致する入札書が提出されなかった場合
    (iii)
    参加のための条件を満たす供給者がいなかった場合
    (iv)
    行われた入札がなれ合いによるものであった場合
    (b)
    次のいずれかの理由により、物品又はサービスが特定の供給者によってのみ供給されることが可能であり、かつ、他に合理的に選択される物品若しくはサービス又は他の合理的な代替の物品若しくはサービスがない場合
    (i)
    必要とされるものが美術品であること。
    (ii)
    特許権、著作権その他の排他的権利が保護されていること。
    (iii)
    技術的な理由により競争が存在しないこと。
    (c)
    次のいずれかの理由により、当初の調達には含まれていない物品又はサービスの追加の納入又は提供を当初の供給者から受ける場合
    (i)
    当初の調達により購入された既存の機材、ソフトウェア、サービス又は設備との互換性又は相互運用性の要件その他の経済的又は技術的な理由により、追加の物品又はサービスについて供給者を変更することができないこと。
    (ii)
    追加の物品又はサービスについて供給者を変更する場合には、調達機関に著しい不都合が生じ、又は調達機関が実質的に二重に費用を負担することとなること。
    (d)
    調達機関の予見することができない事態によりもたらされた極めて緊急な理由のため、公開入札又は選択入札によっては必要な期間内に物品又はサービスを入手することができない場合において、真に必要なとき。
    (e)
    調達する物品が商品市場において購入される物品である場合
    (f)
    調査、実験、研究又は独自の開発に係る特定の契約の過程において、かつ、当該契約の対象として、調達機関の要請により開発された原型又は最初の物品若しくはサービスを当該調達機関が調達する場合。最初の物品又はサービスの独自の開発には、実用実験の結果を取り入れるために及び受入れ可能な品質基準に合致する物品又はサービスとして当該物品又はサービスを多量に生産し、又は供給することができることを証明するために限られた生産又は供給を行うことが含まれ得るが、商業的採算を確立し、又は研究開発の費用を回収するために多量に生産し、又は供給することは含まれない。
    (g)
    清算、管財人による管理、倒産等に起因する例外的な処分の際、極めて短い期間においてのみ生ずる例外的に有利な条件の下で購入される場合。ただし、通常の供給者からの日常の購入を含まない。
    (h)
    契約が設計コンテストの受賞者との間で締結される場合。ただし、次のことを条件とする。
    (i)
    当該設計コンテストがこの協定の原則(特に調達計画の公示に関する原則)に合致する方法で行われること。
    (ii)
    当該設計コンテストの参加者が、独立の審査員団によって、受賞者との間で設計契約を締結することを目的として審査されること。
  • 2 調達機関は、1の規定による個々の契約の締結について報告書を作成する。この報告書には、調達を行った調達機関の名称、調達された物品又はサービスの価額及び種類並びに1に規定する状況及び条件のうち当該調達における限定入札の利用の根拠となったものを示す説明を含める。

第十四条 電子オークション

 調達機関は、対象調達を電子オークションを用いて実施する意図を有する場合には、電子オークションを開始する前に各参加者に次の情報を提供する。

(a)
入札説明書に定める評価基準に基づく自動的な評価の方法(数式を含む。)であって、電子オークションにおける自動的な順位の決定又は更新に用いられるものに関する情報
(b)
当該対象調達が最も有利な入札を行ったことを根拠として落札者を決定するものである場合には、当該参加者の入札書に記載された事項の初期評価の結果に関する情報
(c)
電子オークションの実施に関連する他のあらゆる情報

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