世界貿易機関(WTO)

平成28年9月5日

オーストラリア連邦、ベルギー王国、ブラジル合衆国、ビルマ、カナダ、セイロン、チリ共和国、中華民国、キューバ共和国、チェッコスロヴァキア共和国、フランス共和国、インド、レバノン、ルクセンブルグ大公国、オランダ王国、ニュー・ジーランド、ノールウェー王国、パキスタン、南ローデシア、シリア、南アフリカ連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国の政府は、

貿易及び経済の分野における締約国間の関係が、生活水準を高め、完全雇用並びに高度のかつ着実に増加する実質所得及び有効需要を確保し、世界の資源の完全な利用を発展させ、並びに貨物の生産及び交換を拡大する方向に向けられるべきであることを認め、

関税その他の貿易障害を実質的に軽減し、及び国際通商における差別待遇を廃止するための相互的かつ互恵的な取極を締結することにより、これらの目的に寄与することを希望して、

それぞれの代表者を通じて次のとおり協定した。

第一部

第一条 一般的最恵国待遇

  1. いずれかの種類の関税及び課徴金で、輸入若しくは輸出について若しくはそれらに関連して課され、又は輸入若しくは輸出のための支払手段の国際的移転について課せられるものに関し、それらの関税及び課徴金の徴収の方法に関し、輸入及び輸出に関連するすべての規則及び手続に関し、並びに第三条2及び4に掲げるすべての事項に関しては、いずれかの締約国が他国の原産の産品又は他国に仕向けられる産品に対して許与する利益、特典、特権又は免除は、他のすべての締約国の領域の原産の同種の産品又はそれらの領域に仕向けられる同種の産品に対して、即時かつ無条件に許与しなければならない。
  2. 前項の規定は、輸入税又は輸入に関する課徴金についての特恵で、4に定める限度をこえずかつ次に掲げるところに該当するものの廃止を要求するものではない。
    1. 附属書Aに掲げる地域のうちの二以上の地域の間にのみ有効な特恵。ただし、同附属書に定める条件に従わなければならない。
    2. 千九百三十九年七月一日に共通の主権又は保護関係若しくは宗主権関係によつて結合されていた二以上の地域で、附属書B、C及びDに掲げるものの間にのみ有効な特恵。ただし、それらの附属書に定める条件に従わなければならない。
    3. アメリカ合衆国とキューバ共和国との間にのみ有効な特恵
    4. 附属書E及びFに掲げる隣接国の間にのみ有効な特恵
  3. 1の規定は、以前オットマン帝国の一部であり、かつ、千九百二十三年七月二十四日に同帝国から分離した諸国間の特恵には適用しない。ただし、その特恵は、この点について第二十九条1の規定に照らして適用される第二十五条5(a)の規定に基いて承認されなければならない。
  4. 2の規定に基いて特恵を許与される産品に対する特恵の限度は、この協定に附属する該当の譲許表に特恵の最高限度が明示的に定められていない場合には、次のものをこえてはならない。
    1. 前記の譲許表に掲げる産品に対する輸入税又は課徴金については、その譲許表に定める最恵国税率と特恵税率との間の差。特恵税率が定められていない場合には、特恵税率は、この4の規定の適用上、千九百四十七年四月十日に有効であつたものとし、また、最恵国税率が定められていない場合には、その限度は、千九百四十七年四月十日における最恵国税率と特恵税率との間の差をこえてはならない。
    2. 該当の譲許表に掲げられていない産品に対する輸入税又は課徴金については、千九百四十七年四月十日における最恵国税率と特恵税率との間の差
    附属書Gに掲げる締約国の場合には、(a)及び(b)の千九百四十七年四月十日という日付は、同附属書に定めるそれぞれの日付と置き替える。

第二条 譲許表

    1. 各締約国は、他の締約国の通商に対し、この協定に附属する該当の譲許表の該当の部に定める待遇より不利でない待遇を許与するものとする。
    2. いずれかの締約国の譲許表の第一部に掲げる産品に該当する他の締約国の領域の産品は、その譲許表が関係する領域への輸入に際し、その譲許表に定める条件又は制限に従うことを条件として、その譲許表に定める関税をこえる通常の関税を免除される。これらの産品は、また、輸入について又は輸入に関連して課せられるその他のすべての種類の租税又は課徴金で、この協定の日付の日に課せられているものをこえるもの又はその日にその輸入領域において有効である法令によりその後課することを直接にかつ義務的に要求されているものをこえるものを免除される。
    3. いずれかの締約国の譲許表の第二部に掲げる産品に該当するもので、その譲許表が関係する領域への輸入に際して特恵待遇を受ける権利を前条の規定によつて与えられている領域の産品であるものは、その輸入領域への輸入に際し、その譲許表に定める条件又は制限に従うことを条件として、その譲許表の第二部に定める関税をこえる通常の関税を免除される。これらの産品は、また、輸入について又は輸入に関連して課せられるその他のすべての種類の租税又は課徴金で、この協定の日付の日に課せられているものをこえるもの又はその日にその輸入領域において有効である法令によりその後課することを直接にかつ義務的に要求されているものをこえるものを免除される。この条のいかなる規定も、特恵税率による産品の輸入のための適格要件については、締約国がこの協定の日付の日に存在する要件を維持することを妨げるものではない。
  1. この条のいかなる規定も、締約国が産品の輸入に際して次のものを随時課することを妨げるものではない。
    1. 同種の国内産品について、又は当該輸入産品の全部若しくは一部がそれから製造され若しくは生産されている物品について次条2の規定に合致して課せられる内国税に相当する課徴金
    2. 第六条の規定に合致して課せられるダンピング防止税又は相殺関税
    3. 提供された役務の費用に相応する手数料その他の課徴金
  2. 締約国は、課税価額の決定の方法又は通貨換算の方法をこの協定に附属する該当の譲許表に定める譲許の価値を減ずるように変更してはならない。
  3. 締約国が、この協定に附属する該当の譲許表に掲げるいずれかの産品の輸入の独占を、正式に又は事実上、設定し、維持し、又は認可するときは、その独占は、その譲許表に別段の定がある場合又は直接に当該譲許を交渉した当事国の間に別段の取極がある場合を除くほか、その譲許表に定める保護の量を平均してこえるように運用してはならない。この項の規定は、締約国がこの協定の他の規定により認められるいずれかの形式の援助を国内生産者に与えることを制限するものではない。
  4. 締約国は、他の締約国が、いずれかの産品に対して、この協定に附属する該当の譲許表に定める譲許によつて意図されていると考えられる待遇を与えていないと認めるときは、その問題について直接にその締約国の注意を喚起しなければならない。その締約国が、注意を喚起した締約国の要求に同意はするが、その締約国の関税に関する法律に基いてこの協定に意図された待遇を許与するように当該産品を分類することができないと裁判所その他の権限のある機関が裁定したためにその待遇を許与することができないと宣言するときは、これらの二締約国及び実質的に利害関係を有するその他の締約国は、その問題の補償的調整のための交渉を直ちに開始しなければならない。
    1. 国際通貨基金の加盟国たる締約国の譲許表に含まれている従量税及び従量課徴金並びにそれらの締約国が維持する従量税及び従量課徴金に関する特恵の限度は、この協定の日付の日に同基金が受諾し又は暫定的に認めた平価における該当の通貨により表示する。したがつて、その平価が国際通貨基金協定に従つて二十パーセントをこえて引き下げられる場合には、その従量税及び従量課徴金並びに特恵の限度は、その引下げを考慮して調整することができる。ただし、締約国団(第二十五条の規定に従つて共同して行動する締約国をいう。)が、その調整の必要性又は緊急性に影響を及ぼすすべての要素を考慮に入れた上、その調整が該当の譲許表又はこの協定の他の部分に定める譲許の価値を減じないものであることに同意することを条件とする。
    2. 同基金の加盟国でない締約国は、同基金の加盟国となる日又はその締約国が第十五条に従つて特別為替取極を締結する日から、(a)の規定の適用を受ける。
  5. 協定附属譲許表は、この協定の第一部の不可分の一体をなす。

世界貿易機関(WTO)へ戻る