世界貿易機関(WTO)
政府調達に関する協定
令和3年5月19日
第十五条 入札書の取扱い及び落札
入札書の取扱い
- 1 調達機関は、全ての入札書を、調達の過程の公正性及び公平性並びに入札書の秘密性を保証する手続に従って受領し、開札し、及び取り扱う。
- 2 調達機関は、入札書の受領のために指定した日時の後に入札書が到着した場合において、その遅延が専ら当該調達機関の取扱いの誤りによるものであるときは、当該入札書を提出した供給者を不利に取り扱ってはならない。
- 3 調達機関は、開札から落札までの間に故意でない様式の誤りを訂正する機会を一の供給者に与える場合には、参加する全ての供給者に対し同一の機会を与える。
落札
- 4 落札の対象とされるためには、入札書は、書面で提出されたものでなければならず、開札の時に公示及び入札説明書に定める基本的要件に適合したものでなければならず、かつ、参加のための条件を満たした供給者から提出されたものでなければならない。
- 5 調達機関は、契約を締結することが公共の利益にならないと決定する場合を除くほか、契約の条件を履行することができると当該調達機関が認めた供給者であって、公示及び入札説明書に定める評価基準のみに照らして次のいずれかの条件を満たす入札を行ったものを落札者とする。
- (a)
- 最も有利であること。
- (b)
- 価格が唯一の基準である場合には、最低価格を提示すること。
- 6 調達機関は、他の入札書に記載された価格よりも異常に低い価格を記載した入札書を受領した場合には、当該入札書を提出した供給者が参加のための条件を満たし、かつ、契約の条件を履行することができることについて、当該供給者に確認を求めることができる。
- 7 調達機関は、この協定に基づく義務を回避する目的で、選択権の利用、調達の取消し又は締結された契約の変更を行ってはならない。
第十六条 調達に関する情報の透明性
供給者に提供される情報
- 1 調達機関は、入札に参加した供給者に対し、当該調達機関の落札の決定を、供給者から要請があったときは書面により、速やかに通知する。調達機関は、次条2及び3の規定に従うことを条件として、要請に応じ、落札者とされなかった供給者に対し、当該調達機関がその供給者の入札を選択しなかった理由及び落札した供給者の入札の相対的な利点を説明する。
落札情報の公示
- 2 調達機関は、附属書IIIに掲げる適当な紙面又は電子的媒体により、この協定の適用を受ける落札の決定の後七十二日以内に公示を行う。当該調達機関が電子的媒体のみにより当該公示を行う場合には、その情報は、合理的な期間、引き続き容易に閲覧することができるようにする。当該公示には、少なくとも次の情報を含める。
- (a)
- 調達された物品又はサービスについての説明
- (b)
- 調達機関の名称及び所在地
- (c)
- 落札した供給者の名称及び住所
- (d)
- 落札価額又は落札の決定に当たり考慮された最高及び最低の入札価額
- (e)
- 落札の日
- (f)
- 用いられた調達方法及び第十三条の規定に従って限定入札を用いた場合にはその利用の根拠となった状況についての説明
文書、報告書及び電子的な履歴の保持
- 3 調達機関は、落札の日から少なくとも三年間、次のものを保持する。
- (a)
- 対象調達に関連する入札の手続及び落札に関する文書及び報告書(第十三条の規定により必要とされる報告書を含む。)
- (b)
- 電子的手段による対象調達の実施に関する履歴を適切に確認するためのデータ
統計の収集及び報告
- 4 締約国は、この協定の適用を受ける契約に関する統計をとり、委員会に報告する。各報告は、一年分を対象とし、及び報告期間の終了後二年以内に提出されるものとし、次の事項を含む。
- (a)
- 付表1に掲げる調達機関に関しては、
- (i)
- 当該調達機関全体について、この協定の適用を受ける全ての契約の件数及び総額
- (ii)
- 当該調達機関のそれぞれについて、この協定の適用を受ける全ての締結された契約であって、国際的に認められた単一の分類制度に基づく物品群別及びサービス群別に区分されたものの件数及び総額
- (iii)
- 当該調達機関のそれぞれについて、この協定の適用を受ける契約であって、限定入札により締結された全てのものの件数及び総額
- (b)
- 付表2及び付表3に掲げる調達機関に関しては、全ての当該調達機関によって締結されたこの協定の適用を受ける契約であって、付表別に区分されたものの件数及び総額
- (c)
- (a)及び(b)の規定により必要とされるデータを提供することができない場合には、その概算及び用いた算定方式についての説明
- 5 締約国は、4に規定する要件に適合する方法で統計を公式ウェブサイトで公表する場合には、その統計を閲覧し、及び利用するために必要な説明を付して当該ウェブサイトのアドレスを委員会に通報することをもって、4の規定に基づくデータの提出に代えることができる。
- 6 締約国は、2の規定に基づく落札に関する公示を電子的に行うことを要求する場合において、当該公示がこの協定の適用を受ける契約について分析することのできる様式による単一のデータベースを通じて公衆の閲覧に供されているときは、そのデータを閲覧し、及び利用するために必要な説明を付して当該データベースに係るウェブサイトのアドレスを委員会に通報することをもって、4の規定に基づくデータの提出に代えることができる。
第十七条 情報の開示
締約国への情報の提供
- 1 締約国は、他の締約国の要請に応じ、調達が公正かつ公平に及びこの協定に従って行われたか否かを判断するために必要な情報(落札とされた入札の特色及び相対的な利点についての情報を含む。)を速やかに提供する。当該情報の公表が将来の入札における競争を害することとなる場合には、当該情報を受け取った締約国は、当該情報を提供した締約国と協議の上その同意を得た場合を除くほか、いずれの供給者に対しても当該情報を開示してはならない。
情報の不開示
- 2 この協定の他の規定にかかわらず、締約国(その調達機関を含む。)は、特定の供給者に対し供給者の間の公正な競争を害するおそれのある情報を提供してはならない。
- 3 この協定のいかなる規定も、秘密の情報の開示が次のいずれかの場合に該当するときは、締約国(その調達機関、当局及び審査機関を含む。)に対し当該秘密の情報の開示を求めるものと解してはならない。
- (a)
- 法令の実施を妨げることとなる場合
- (b)
- 供給者の間の公正な競争を害するおそれのある場合
- (c)
- 特定の者の正当な商業上の利益(知的財産の保護を含む。)を害することとなる場合
- (d)
- その他公共の利益に反することとなる場合
第十八条 国内の審査のための手続
- 1 締約国は、時宜を得た、効果的な、透明性のある、かつ、無差別な行政上又は司法上の審査のための手続であって、供給者が関心を有し、又は有していた対象調達に関する次の事項について苦情を申し立てることができるものを定める。全ての苦情申立ての手続に関する規則は、文書により定め、かつ、一般に入手可能なものとする。
- (a)
- この協定の違反
- (b)
- 当該供給者が締約国の国内法上この協定の違反を直接の対象とする苦情を申し立てる権利を有しない場合には、この協定の実施のための締約国による措置の不遵守
- 2 供給者が関心を有し、又は有していた対象調達について1に規定する違反又は不遵守があった旨の苦情を申し立てる場合には、当該対象調達を実施する調達機関が属する締約国は、当該調達機関及び当該供給者に対し協議により当該苦情を解決するよう奨励する。当該調達機関は、当該供給者の現在又は将来の調達への参加及び行政上又は司法上の審査のための手続の下で是正措置を求める権利を妨げないように、当該苦情について公平な、かつ、時宜を得た考慮を払う。
- 3 供給者は、苦情申立ての準備をし、これを行うための十分な期間を与えられるものとする。その期間は、苦情申立ての原因となった事実を供給者が知り、又は合理的に知り得た時から十日未満であってはならない。
- 4 締約国は、対象調達に関する供給者からの苦情申立てを受理し、審査するため、自国の調達機関から独立した少なくとも一の公平な行政当局又は司法当局を設置し、又は指定する。
- 5 4に規定する当局以外の機関が最初に苦情申立てを審査する場合には、締約国は、供給者が当該機関の原決定に対して当該苦情申立ての対象である調達に係る調達機関から独立した公平な行政当局又は司法当局に上訴することができることを確保する。
- 6 締約国は、審査機関(裁判所でないもの)について、その決定を司法上の審査の対象とすること又は次の手続を有することを確保する。
- (a)
- 調達機関が苦情申立てに対して書面により回答し、及び当該審査機関に対して全ての関連文書を開示すること。
- (b)
- 審査の手続への参加者(以下「参加者」という。)が苦情申立てについての当該審査機関による決定に先立ち意見を述べる権利を有すること。
- (c)
- 参加者が代理人及び補佐人を出す権利を有すること。
- (d)
- 参加者が全ての審査の手続に参加することができること。
- (e)
- 参加者が審査の手続を公開で行うこと及び証人の出席が認められることを要求する権利を有すること。
- (f)
- 当該審査機関がその決定又は勧告を適時に書面により行うこと及び当該決定又は勧告にその根拠に関する説明を含めること。
- 7 締約国は、次の事項を定める手続を採用し、又は維持する。
- (a)
- 供給者が調達に参加する機会を維持するための迅速な暫定的措置に関すること。当該措置の結果として、調達の過程が停止されることがある。当該手続は、当該措置を適用すべきか否かを決定するに当たり、公共の利益等関係者の利益に及ぼす著しい悪影響を考慮することができることを定めることができる。当該措置を適用すべきでないことを決定する場合には、その正当な理由を書面により提供する。
- (b)
- 審査機関が1に規定する違反又は不遵守があった旨決定する場合における是正措置又は損失若しくは損害に対する賠償に関すること。当該賠償については、入札の準備に係る費用又は苦情申立てに係る費用のいずれか又は双方に限定することができる。
第十九条 適用範囲の修正及び訂正
修正の提案の通報
- 1 締約国は、附属書Iの自国の付表に関する訂正、一の付表から他の付表への機関の転記、機関の削除その他の修正(以下「修正」という。)の提案を委員会に通報する。修正を提案する締約国(以下「修正締約国」という。)は、次に掲げる事項を通報に含める。
- (a)
- 機関の対象調達に対する政府による監督又は政府の影響が実効的に排除されたことを理由として、自国の権利の行使として附属書Iの自国の付表から当該機関を削除することを提案する場合には、当該監督又は影響が実効的に排除されたことの証拠
- (b)
- その他の修正を提案する場合には、この協定に定める相互に合意された適用範囲が変更されることにより見込まれる影響に関する情報
通報に対する異議
- 2 1の規定に従って通報された修正の提案によりこの協定に基づく自国の権利が影響を受ける締約国は、当該修正の提案への異議を委員会に申し立てることができる。この異議は、締約国に対し通報が回章に付された日から四十五日以内に申し立てるものとし、その理由を明示するものとする。
協議
- 3 修正締約国及び異議を申し立てた締約国(以下「異議申立締約国」という。)は、当該異議に係る問題を協議によって解決するようあらゆる努力を払う。当該協議において、修正締約国及び異議申立締約国は、修正の提案について次の基準に従って検討する。
- (a)
- 1(a)に規定する修正の提案の通報の場合には、機関の対象調達に対する政府による監督又は政府の影響が実効的に排除されたことを示す8(b)に規定する基準
- (b)
- 1(b)に規定する修正の提案の通報の場合には、権利及び義務の均衡並びにこの協定に定める相互に合意された適用範囲につき当該通報の前の水準と同等の水準を維持するために当該修正に関連して提供されるべき補償的な調整の水準に関する8(c)に規定する基準
修正の変更
- 4 修正締約国及び異議申立締約国がその異議に係る問題を協議によって解決した場合において、当該修正締約国が当該協議の結果として自国の修正の提案を変更するときは、当該修正締約国は、1の規定に従い委員会に通報するものとし、変更された修正は、この条に定める要件を満たした後にのみ効力を生ずる。
修正の実施
- 5 提案された修正は、次のいずれかの場合にのみ効力を生ずる。
- (a)
- いずれの締約国も1の規定に基づく修正の提案の通報が回章に付された日から四十五日以内に当該修正の提案に対する異議を書面により委員会に申し立てない場合
- (b)
- 全ての異議申立締約国が修正の提案への異議を撤回する旨を委員会に通報した場合
- (c)
- 1の規定に基づく修正の提案の通報が回章に付された日から百五十日が経過し、かつ、修正締約国が当該修正を実施する意図を書面により委員会に通報した場合
実質的に同等の適用範囲の撤回
- 6 5(c)の規定に基づいて修正が効力を生じた場合には、異議申立締約国は、実質的に同等の適用範囲を撤回することができる。第四条1(b)の規定にかかわらず、この6の規定に基づく撤回は、修正締約国との関係においてのみ実施することができる。異議申立締約国は、当該撤回が効力を生ずる日の少なくとも三十日前に、当該撤回について書面により委員会に通報する。この6の規定に基づく撤回は、8(c)の規定に基づき委員会が採択する補償的な調整の水準に関する基準に適合するものとする。
異議に係る問題の解決を促進するための仲裁手続
- 7 委員会が8の規定に基づき異議に係る問題の解決を促進するための仲裁手続を採択した場合には、修正締約国又は異議申立締約国は、修正の提案の通報が回章に付された日から百二十日以内に当該仲裁手続を援用することができる。
- (a)
- その期間内にいずれの締約国も当該仲裁手続を援用しなかった場合においては、
- (i)
- 5(c)の規定にかかわらず、1の規定に基づく修正の提案の通報が回章に付された日から百三十日が経過し、かつ、修正締約国が当該修正を実施する意図を書面により委員会に通報したときは、当該修正は、効力を生ずる。
- (ii)
- いずれの異議申立締約国も、6の規定に基づいて適用範囲を撤回することができない。
- (b)
- 修正締約国又は異議申立締約国が当該仲裁手続を援用した場合においては、
- (i)
- 5(c)の規定にかかわらず、修正の提案は、当該仲裁手続が完了するまで効力を生じない。
- (ii)
- 補償を受ける権利を行使する意図又は6の規定に基づいて実質的に同等の適用範囲を撤回する意図を有する異議申立締約国は、当該仲裁手続に参加する。
- (iii)
- 修正締約国は、5(c)の規定に基づいて修正の効力を生じさせるに当たり、当該仲裁手続の結果に従うべきである。
- (iv)
- 修正締約国が5(c)の規定に基づいて修正の効力を生じさせるに当たり当該仲裁手続の結果に従わないときは、異議申立締約国は、6の規定に基づいて実質的に同等の適用範囲を撤回することができる。ただし、当該撤回が当該仲裁手続の結果と適合するものであることを条件とする。
委員会の責任
- 8 委員会は、次のものを採択する。
- (a)
- 2の規定に基づく異議に係る問題の解決を促進するための仲裁手続
- (b)
- 機関の対象調達に対する政府による監督又は政府の影響が実効的に排除されたことを示す基準
- (c)
- 1(b)に規定する修正に関連して提供されるべき補償的な調整の水準及び6に規定する実質的に同等の適用範囲の水準を決定するための基準
第二十条 協議及び紛争解決
- 1 締約国は、この協定の運用に影響を及ぼす問題に関し他の締約国が行う申立てに好意的な考慮を払うものとし、その申立てに関する協議を行うための機会を十分に与える。
- 2 締約国は、次のことの結果として、この協定に基づき直接若しくは間接に自国に与えられた利益が無効にされ、若しくは侵害されており、又はこの協定の目的の達成が妨げられていると認める場合には、問題の相互に満足すべき解決を図るため、紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(以下「紛争解決了解」という。)に規定する手続を利用することができる。
- (a)
- 他の締約国がこの協定に基づく義務の履行を怠ったこと。
- (b)
- 他の締約国がこの協定の規定に抵触するか否かを問わず何らかの措置を適用したこと。
- 3 紛争解決了解は、この協定に基づく協議及び紛争解決に適用される。ただし、紛争解決了解第二十二条3の規定にかかわらず、この協定以外の紛争解決了解附属書一に掲げる協定の下で生ずるいかなる紛争も、この協定に基づく譲許その他の義務を停止する理由としてはならないものとし、また、この協定の下で生ずるいかなる紛争も、紛争解決了解附属書一に掲げるその他の協定に基づく譲許その他の義務を停止する理由としてはならない。
第二十一条 この協定の機関
政府調達に関する委員会
- 1 各締約国の代表で構成する政府調達に関する委員会を設置する。委員会は、議長を選出するものとし、また、この協定の実施又はこの協定の目的の達成に関する事項について協議する機会を締約国に与えるため、及び締約国により与えられた他の任務を遂行するため、必要に応じ(少なくとも年一回)会合する。
- 2 委員会は、委員会が付与する任務を遂行する作業部会その他の補助機関を設けることができる。
- 3 委員会は、毎年次のことを行う。
- (a)
- この協定の実施及び運用について検討すること。
- (b)
- 一般理事会に対し、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(以下「世界貿易機関設立協定」という。)第四条8の規定に基づく委員会の活動に関する通報並びにこの協定の実施及び運用に係る進展に関する通報を行うこと。
オブザーバー
- 4 この協定の締約国でない世界貿易機関の加盟国は、書面による通報を委員会に提出することにより、委員会にオブザーバーとして出席することが認められる。世界貿易機関のオブザーバーは、委員会にオブザーバーとして出席することについての書面による要請を委員会に提出することができ、委員会は、当該世界貿易機関のオブザーバーに委員会のオブザーバーとしての地位を与えることができる。
第二十二条 最終規定
受諾及び効力発生
- 1 この協定は、合意された適用範囲をこの協定の附属書Iの付表に掲げる政府(注)であって、千九百九十四年四月十五日に署名によってこの協定を受諾したもの又は批准を条件として同日までにこの協定に署名し、その後千九百九十六年一月一日前にこの協定を批准したものについては、千九百九十六年一月一日に効力を生ずる。
注:この協定の適用上、「政府」には、欧州連合の権限のある当局を含むものとする。
加入
- 2 世界貿易機関の加盟国は、締約国との間で合意され、委員会の決定において確認される条件により、この協定に加入することができる。加入は、合意された条件を記載した加入書を世界貿易機関事務局長に寄託することによって行う。この協定は、加入する加盟国については、加入書を寄託した後三十日目の日に効力を生ずる。
留保
- 3 締約国は、この協定のいかなる規定についても、留保を付することができない。
国内法令
- 4 締約国は、この協定が自国について効力を生ずる日以前に、自国の法令及び行政上の手続並びに自国の調達機関によって適用される規則、手続及び慣行をこの協定に適合したものとすることを確保する。
- 5 締約国は、この協定に関連を有する自国の法令の変更及びその運用における変更につき、委員会に通報する。
将来の交渉及び将来の作業計画
- 6 締約国は、開放的な調達を阻害する差別的な措置の導入又は継続を避けるよう努める。
- 7 締約国は、二千十二年三月三十日に採択された政府調達に関する協定を改正する議定書の効力発生の日から三年以内に、その後は定期的に、開発途上国のニーズを考慮しつつ、相互主義に基づいてこの協定を改善し、差別的な措置を漸進的に削減し、及び撤廃し、並びに全ての締約国の間におけるこの協定の適用範囲の拡大を可能な限り達成するため、新たな交渉を行う。
- 8 (a)委員会は、次の事項に関する作業計画の採択を通じ、この協定の実施及び7に規定する交渉を促進するため、更なる作業を行う。
-
- (i)
- 中小企業の取扱い
- (ii)
- 統計資料の収集及び提供
- (iii)
- 持続可能な調達の取扱い
- (iv)
- 締約国の付表における適用除外及び制限
- (v)
- 国際的な調達における安全基準
-
- (i)
- 追加的な事項に関する作業計画の一覧表を内容とする決定を採択することができる。当該一覧表については、定期的に検討し、及び更新することができる。
- (ii)
- (a)に規定する個別の作業計画及び(b)(i)の規定に基づいて採択される作業計画に関して行われるべき作業を定める決定を採択する。
-
- 9 締約国は、世界貿易機関設立協定附属書一Aの原産地規則に関する協定に基づいて行われる物品に係る原産地規則の調和のための作業計画及びサービスの貿易に関する交渉の終了の後、第四条5の規定を適宜改正するに当たり、当該作業計画及び交渉の結果を考慮する。
- 10 委員会は、7に規定する政府調達に関する協定を改正する議定書の効力発生の日から五年以内に、第二十条2(b)の規定の妥当性を検討する。
改正
- 11 締約国は、この協定を改正することができる。改正を採択し、締約国による受諾のために提出する決定は、コンセンサス方式によって行う。
- (a)
- 改正は、(b)に規定する場合を除くほか、締約国の三分の二が受諾した時に当該改正を受諾した締約国について効力を生じ、その後は、その他の各締約国について、それぞれによる受諾の時に効力を生ずる。
- (b)
- 改正は、当該改正が締約国の権利及び義務を変更しない性質のものであると委員会がコンセンサス方式によって決定した場合には、締約国の三分の二が受諾した時に全ての締約国について効力を生ずる。
脱退
- 12 締約国は、この協定から脱退することができる。脱退は、世界貿易機関事務局長が書面による脱退の通告を受領した日から六十日を経過した時に、効力を生ずる。締約国は、脱退の通告がされた場合には、委員会の会合を直ちに開くことを要求することができる。
- 13 この協定の締約国は、世界貿易機関の加盟国でなくなった場合には、当該加盟国でなくなった日にこの協定の締約国でなくなる。
特定の締約国間におけるこの協定の不適用
- 14 いずれかの締約国がこの協定を受諾し、又はこの協定に加入した時に、当該いずれかの締約国又は他のいずれかの締約国が、これら二の締約国の間におけるこの協定の適用に同意しなかった場合には、この協定は、これら二の締約国の間においては適用されない。
附属書
- 15 この協定の附属書は、この協定の不可分の一部を成す。
事務局
- 16 この協定に必要な役務は、世界貿易機関事務局が提供する。
寄託
- 17 この協定は、世界貿易機関事務局長に寄託するものとし、同事務局長は、速やかに、締約国に対し、この協定の認証謄本、第十九条の規定に基づくこの協定の訂正又は修正の認証謄本、11の規定に基づくこの協定の改正の認証謄本、2の規定に基づくこの協定への加入の通告書及び12又は13の規定に基づくこの協定からの脱退の通告書を送付する。
登録
- 18 この協定は、国際連合憲章第百二条の規定により登録する。