漁業

平成29年12月5日

1 経緯

  • (1)近年,気候変動により一部の北極海氷が融解し,一定の期間にわたり水面が露出するようになったことを受け,北極海沿岸5か国(米,加,露,ノルウェー,デンマーク)の排他的経済水域(EEZ)に囲まれている北極海公海において将来的に無規制漁業が行われる懸念が高まった。
  • (2)2015年7月に北極海沿岸5か国が署名した「北極海公海における無規制漁業の防止に関する宣言」を端緒に,2015年12月から本年3月までに,我が国,中国,韓国,アイスランド,EUを加えた10か国・機関間で,北極海公海における漁業規制に関する協定について5回の交渉会合が開催されてきた。
  • (3)我が国は,2015年10月16日総合海洋政策本部決定「我が国の北極政策」(注)に基づき,北極の環境に配慮するとともに,現時点では北極海公海における漁業は行われていないものの,将来的に可能となった場合に備えて,北極海の漁業資源の持続可能な利用を図るために必要な枠組みを構築する必要があるとの方針にて対応してきた。

2 第6回交渉会合の概要

  • (1)本年11月28日から30日まで,第6回交渉会合が米国(ワシントンD.C.)において開催され,無規制な漁業を防止する暫定保存管理措置の策定,共同科学調査の策定,及び将来的なプロセスとして,漁業の可能性を調査する開発漁業の実施,地域漁業管理機関の設立の検討等についての規定を盛り込んだ協定案について大筋合意に至った。
  • (2)今後は,法的・技術的な観点から本協定案の確認等を行う会合が開催される予定。

(注)「我が国の北極政策」関連部分(抜粋)

  • これまでのところ,北極圏諸国は北極における領有権問題や海洋境界画定問題について,国際法に基づき平和的に対応しており,引き続きこうした「法の支配」に基づいた対応が確保されることが重要である。
  • 北極海における未利用生物資源の開発については,沿岸国と協力し,科学的根拠に基づく資源の持続性を確保しつつ,食料安全保障確保のためのニーズとバランスを取りつつ進めることが必要である。
  • 今後,海洋生物資源の開発が行われる際は,北極の環境に配慮し,科学的根拠に基づく,持続可能な利用のための保存管理の枠組みを関係国と連携して検討する。

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