捕鯨

平成29年6月11日
  1. 我が国は,平成12年以降,北西太平洋において,第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNII)を実施してきたが,致死的手法を伴う調査が「科学的調査の目的のため」といえるためにはそれが調査目的を達成することとの関係で合理的であることを要する旨を判示した平成26年3月の国際司法裁判所(ICJ)判決(仮訳(PDF))別ウィンドウで開くを踏まえ(注1)平成26年以降は致死的調査の必要性・合理性がより明確になるように調査目的を絞り込み,規模を縮小して実施した。平成28年に同調査が終了したことを受け,我が国は,新たな調査計画案「新北西太平洋鯨類科学調査計画(NEWREP-NP)」を策定した。
    (注1)
  • 「国際捕鯨取締条約(ICRW)の前文は,同条約が持続可能な鯨の捕獲を認める一方で,全ての鯨類の保存を確保するとの目的を追求していることを示している。(中略)付表の修正及び国際捕鯨委員会(IWC)の勧告が条約により追求される目的のいずれか一方を強調することはあっても,条約の趣旨及び目的を変更することはできない。」(判決パラ56)
  • 「プログラムにおける致死的手法の利用が科学的調査の目的のためであるか否かを確認するために,裁判所は,プログラムの設計及び実施の要素が,当該プログラムに記載された科学的目的との関係で合理的であるかを検討する。」(判決パラ88)
  • 「裁判所は,第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)との関連で鯨を殺し,捕獲し及び処理することのために日本により与えられた特別許可書は,条約第8条1に従った「科学的調査の目的のため」のものではないと結論付ける。」(判決パラ227)
  • 「日本は条約第8条の下でのいかなる将来的な許可書を与える可能性を検討する際にも,この判決に含まれる理由付け及び結論を考慮することが期待される。」(判決パラ246)
  1. その後我が国は,ICRWに従って(注2),昨年11月,IWCの科学委員会に新計画案を提出した。本年1~2月,専門家による同計画案の評価会合が開催され,議論の結果,同会合は,同計画案に反映されるべき追加作業を勧告した。
    (注2)
     ICRW付表パラグラフ30は,締約政府は,科学的研究に対する許可計画を,科学委員会が十分に検討し,及び,意見を表明することができるよう,許可書の交付前に十分な時間をもってIWC事務局に提供する旨規定。
  2. これを受けて,我が国研究者は,科学的に妥当な追加作業については対応し,我が国はこれら作業を踏まえて修正した計画案を本年5月のIWCの科学委員会に提出した。我が国は,同計画の科学的合理性について科学委員会にて十分な説明を行った。修正した計画案については,科学委員会において一定の評価が得られたことから,今般,調査計画を最終化し,NEWREP-NPを本年6月から開始した。


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