食料安全保障

グラツィアーノ国連食糧農業機関(FAO)事務局長の訪日

平成29年5月15日

  • (写真1)岸田外務大臣表敬
  • (写真2)薗浦外務副大臣との記念撮影
  • (写真3)ふくしまスイーツ賞味会

 5月9日(火曜日)から12日(金曜日)まで,グラツィアーノ・ダ・シルバ国連食糧農業機関(FAO)事務局長が訪日したところ,評価並びに主要な日程及び行事の概要は以下のとおり。

評価

  • (1)政府は,食料・農業分野の国連専門機関の筆頭であるFAOの重要性に鑑み,日・FAO関係の抜本的強化に取り組んでおり,本年1月には日・FAO年次戦略協議を初めて開催した。これに続き,今般のグラツィアーノFAO事務局長の4年ぶりの訪日は,日・FAO関係の更なる強化の契機となった。
  • (2)滞在中,グラツィアーノ事務局長は,岸田外務大臣をはじめとした政府要人との会談,東京都内での各種行事への出席,岐阜県における世界農業遺産(GIAHS)視察,各種メディアインタビュー等を通じて,FAOの活動とその重要性について積極的に対外発信し,日本国内におけるFAOの認知度向上に貢献した。特にグラツィアーノ事務局長が訪日を機に任命した日本初のFAO親善大使2名はこれに更に寄与することが期待される。
  • (3)また,FAOにおける邦人職員の増強に向けて,グラツィアーノ事務局長は上智大学での講演を通じて,FAOが世界規模での食料増産や栄養改善,持続可能な農林水産業の促進に果たしている役割や,FAOで勤務する魅力とやりがいを日本の若者に伝え,潜在的なFAO職員候補者の動機付けに貢献した。
  • (4)さらに,外務省が主催したふくしまスイーツ賞味会において,福島市産果物を使ったスイーツを賞味したグラツィアーノ事務局長は,日本の安全でおいしい農産物を評価するとともに,現在福島産食品については安全性が確保されており全く懸念を持つ必要がない旨述べ,東日本大震災後の風評被害を払拭する観点から,福島の復興支援に貢献した。

主要日程

5月9日

  • マローン国連大学学長代理(同学政策センターのレベッカ・ブルベイカー氏)との会談及び国連大学対談シリーズへの登壇

5月10日

  • FAO議員連盟設立総会
  • 上智大学における講演及びジョブ・セミナー
  • 外務省主催ふくしまスイーツ賞味会(薗浦外務副大臣出席)
  • FAO主催FAO親善大使発表イベント(薗浦外務副大臣出席)
  • 山本農林水産大臣への表敬

5月11日

  • 岐阜県の世界農業遺産(GIAHS)認定地域視察

5月12日

  • 北岡JICA理事長との会談
  • 岸田外務大臣への表敬
  • 山口公明党代表への表敬
  • 民間企業との意見交換会

概要

1 岸田文雄外務大臣表敬(5月12日午後)

  • (1)冒頭,岸田大臣から,グラツィアーノ事務局長がTICAD V開催に際して初来日した2013年以来の再会を歓迎するとともに,グラツィアーノ事務局長がふくしまスイーツ賞味会に参加し,福島の食に懸念を持つ必要はなく,安全であると発信したことが国内でも広く報道され,復興支援と風評被害克服の一助となった旨述べた。
  • (2)これに対し,グラツィアーノ事務局長から,FAOとして日本政府の透明性のある対応を評価しており,福島産食品の安全性には何ら懸念を持つ必要がないと確信している,未だ輸入規制措置をとっている国に対してもこの点を明確にしていきたい旨述べるとともに,先進国の中でも低い日本の肥満率を評価し,健康な食生活など日本の知見と経験を活かした連携を進めていきたい旨述べた。
  • (3)また,岸田大臣から,FAO親善大使の任命を歓迎するとともに,引き続き邦人職員の積極的な採用を求めた。両者は,日・FAO関係の更なる進展に向けて協力していくことを確認した。

2 ふくしまスイーツ賞味会(5月10日午後)

  • (写真4)試食写真
  • (写真5) スイーツ
  • (1)本行事(案内(PDF)別ウィンドウで開く)は東京都内において外務省が主催し,グラツィアーノ事務局長参加の下,薗浦副大臣,長沢広明復興副大臣,矢倉克夫農林水産大臣政務官,小林香福島市長,石本仁福島県農林水産部食産業振興監,日本有数の料理人20名超,報道機関,国際機関,在京大使館,民間企業及びNGOの関係者など計約150名が出席した。
  • (2)冒頭,薗浦副大臣から,開会挨拶(全文(PDF)別ウィンドウで開く)において,外務省は東日本大震災に伴う福島県産をはじめとする日本産食品の風評被害対策として,復興庁,農林水産省など関係省庁と連携し日本産食品の安全性及び魅力の海外への情報発信,輸入規制の撤廃・緩和への働きかけなどに努めている旨紹介した。また,中立的な立場から技術的・専門的知見を提供し,食品安全等に関する国際基準の策定に貢献しているFAOの重要性に触れ,グラツィアーノ事務局長の本イベントへの参加を歓迎した。
  • (3)グラツィアーノ事務局長からは,日本政府の被災地への支援と透明性ある取組の結果,現在福島産食品については安全性が確保されており,全く懸念を持つ必要がない旨挨拶があった。続いて,小林福島市長から,福島市の東日本大震災からの復興に向けた取組について紹介があった。
  • (4)その後,福島市から提供された同市産果物(りんご及び和なし)を使って一流パティシエが手がけたスイーツ2種類と,福島県から提供されたももジュースが参加者に振る舞われ,参加者からは味も見た目も食感も素晴らしいと大好評であった。
  • (5)続いて,長沢復興副大臣,矢倉農林水産大臣政務官からの挨拶,及び今回のふくしまスイーツ賞味会に協力した有名ホテルの総料理長や一流パティシエ,その他関係者の紹介があり,官民が一体となって福島の復興を支援し盛り立てた。
  • (6)なお,本行事に先立ち,薗浦副大臣はグラツィアーノ事務局長と意見交換を行い,今後も日・FAO年次戦略協議,関係者間の連携,FAOにおける邦人職員の増強等を通じ,FAOとの関係を一層強化していきたい旨述べた。これに対し,グラツィアーノ事務局長から,FAOの重要なパートナー国である日本との更なる連携に向け,日本国内でのFAOの認知度向上や邦人職員の積極的な採用に取り組んでいきたい旨述べた。加えて,FAO違法漁業防止寄港国措置協定など国際条約・国際規範の普及促進や,世界農業遺産(GIAHS),さらに,栄養改善,フードロス,ICTの活用などの日本として重視している課題についても意見交換を行った。

3 FAO親善大使発表イベント(5月10日午後)

  • (写真6)親善大使任命
  • (写真7)薗浦副大臣挨拶
  • (1)本行事は,ふくしまスイーツ賞味会に続き同会場においてFAO主催により開催された。始めにチャールズ・ボリコFAO駐日連絡事務所長からFAOの活動について映像とともに紹介があり,グラツィアーノ事務局長から,日本で初めてのFAO親善大使として,フレンチ料理人の中村勝宏氏とジャーナリストの国谷裕子氏の2名の任命が発表され,それぞれに任命状が手渡された。
  • (2)薗浦副大臣からは,日・FAO関係強化にあたって重要な日本国内でのFAOの認知度向上において,両親善大使の活躍への期待と激励の言葉を送るとともに,政府としてFAO駐日連絡事務所を通じて両親善大使と連携していきたい旨述べた。
  • (3)また,中村親善大使及び国谷親善大使からそれぞれの抱負が述べられるとともに,特に日本としてフードロスの低減等の取組を進めるべきであり,持続可能な開発の実現に向けてFAOと連携していきたい旨発言があった。

4 上智大学における講演・ジョブセミナー(5月10日午前)

  • (写真8)グラツィアーノ事務局長講演
  • (写真9)会場の様子
  • (1)本行事(プログラム(PDF)別ウィンドウで開く)は,上智大学及びFAOの主催により上智大学において開催され,大学生・大学院生を中心に約300名が参加した。
  • (2)第1部では,杉村美紀上智大学グローバル化推進担当副学長からの挨拶に続き,グラツィアーノ事務局長から「食料安全保障,栄養改善と持続可能な農業の達成に向けて」というテーマの講演において,FAOが実施する食料・農林水産分野のルールメイキングや開発途上国に対する技術協力を通じた持続可能な開発目標(SDGs)の達成支援などの活動とともに,日本からの拠出による連携協力事業の事例を紹介した。また,日本は国民の肥満度が圧倒的に低く,FAOとしても日本の健康な食生活や食育などの知見・経験を高く評価しており,これを世界に広めていきたい旨述べた。さらに,日本の若者にもっとFAOの活動を知ってもらい,ぜひFAOの職員となって世界を舞台に活躍していただきたい旨期待を述べた。
  • (3)第2部では,植木安弘上智大学国際協力人材育成センター長をモデレーターとして,ボリコFAO駐日連絡事務所長からFAOでのキャリア形成に関する具体的なアドバイスと,白石外務省経済安全保障課事務官からFAOでのインターンシップ経験が共有された。

5 岐阜県の世界農業遺産(GIAHS)認定地域視察(5月11日)

  • (写真10)美濃和紙漉き見学
  • (写真11)長良川の鵜飼鑑賞
  • (1)世界農業遺産(GIAHS)は,社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた伝統的な農林水産業と,それに関わって育まれた文化,ランドスケープ,生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムをFAOが認定する仕組で,世界で16か国37地域,日本で8地域が認定されている。
  • (2)グラツィアーノ事務局長は,2015年12月に認定された岐阜県のGIAHS「清流長良川の鮎」を視察し,美濃市において長良川の清流を利用した美濃和紙漉きや鮎の魚苗生産を見学するとともに,夜は関市において,古田肇岐阜県知事らとともに今季の初日を迎えた伝統的な小瀬(おぜ)鵜飼を鑑賞した。
  • (3)グラツィアーノ事務局長は,古田知事,武藤鉄弘美濃市長,尾関健治関市長及び日置敏明郡上市長と意見交換を行い,岐阜県のGIAHSの取組に関し,鮎を中心として鵜飼の文化の継承,食産業や観光・サービス業の発展など一体的な地域振興に貢献しており,鮎の稚魚生産・放流を通じて人間が自然を手助けすることにより,自然のサイクルを守りつつ持続可能な天然資源の利用が図られていることを高く評価するとともに,この経験を世界と共有していただきたい旨述べた。これに対し,古田知事から,GIAHSは進化する「生きた遺産」であり,今後もGIAHSに関する様々な取組を展開していきたい,また,FAOを通じて岐阜県の経験を発信していきたい旨述べた。

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