食料安全保障
グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長の訪日(結果)
令和2年1月27日


1月21日から23日まで,ダニエル・グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長が訪日し,第4回日・FAO年次戦略協議をはじめとする各種行事に出席したところ,主要な日程及び行事の概要は以下のとおり。
主要日程
1月21日(火曜日)
- 中山外務大臣政務官表敬
- 第4回日・FAO年次戦略協議
- 藤木農林水産大臣政務官表敬
1月22日(水曜日)
- グスタフソン事務局次長による公開講演会・ジョブセミナー(於:東京農工大学)
1月23日(木曜日)
- 国際農林水産業研究センター(JIRCAS),及び農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)視察
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)訪問,FAOとJAXAとの地球観測衛星データ利用等に関する連携協定の署名及び筑波宇宙センター視察
主な行事の概要

1 中山外務大臣政務官表敬(1月21日)
- (1)冒頭,中山外務大臣政務官から,グスタフソン事務局次長の訪日を歓迎するとともに,2019年8月のチュー事務局長就任後,TICAD7での協力を含め,FAOとの連携が強化されていることを歓迎した。また,日本で本年12月に開催する東京栄養サミット2020の成功に向け,食料と農業に関する専門機関であるFAOと協力していきたい旨述べた。
- (2)これに対し,グスタフソン事務局次長から,日本のFAOへの協力に謝意を表するとともに,同サミットにはFAOとしても協力していきたい旨述べた。また,東日本大震災後の日本の食品の安全性について,FAOとして引き続き発信していきたい旨述べた。
- (3)また,両者は,FAOにおける邦人職員の増強を含む日・FAO関係の更なる進展に向けて協力していくことを確認した。
2 第4回日・FAO年次戦略協議(1月21日)

- (1)本協議は,外務省において開催され,日本政府を代表して髙林宏樹外務省経済局経済安全保障課長及び郷達也農林水産省国際部国際機構グループ参事官,FAOを代表してグスタフソン事務局次長が出席した。
- (2)両者は,昨年1月の前回協議からの両者の取組を振り返り,日本のFAOへの財政貢献,日本国内におけるFAOの活動及び成果の認知度向上,FAOにおける日本人職員による貢献等の進捗状況を確認し,両者のパートナーシップを更に前進させることで一致した。
- (3)更に,両者は,昨年8月のTICAD7を振り返るとともに,本年日本で開催される栄養サミットについて意見交換を行い,持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け,更なる協力を深めることとした。また,農林水産分野におけるデジタル・イノベーションテクノロジーなどについて意見交換を行い,宇宙航空研究開発機構(JAXA)や民間などの幅広いセクターとの連携の強化に取り組んでいくことを確認した。
3 グスタフソン事務局次長による公開講演会・ジョブセミナー(於:東京農工大学)(1月22日)


- (1)本行事
は,FAO及び東京農工大学の共催により東京農工大学において開催され,大学生・大学院生を中心に約200名が参加した。
- (2)第1部では,大野弘幸東京農工大学長,髙林宏樹外務省経済局経済安全保障課長及び郷達也農林水産省国際部国際機構グループ参事官からの挨拶に続き,グスタフソン事務局次長から,「飢餓をゼロに:世界の食料安全保障,栄養の改善,持続可能な農業の達成に向けて」をテーマとする講演が行われた。同講演において,食料安全保障における世界の現状を報告するとともに,FAOが食料・農業分野の国連の専門機関として取り組む,農村地域の雇用創出や,開発途上国における栄養改善の重要性について説明があった。また,飢餓と貧困の撲滅をはじめとするSDGsの達成に向けて,今後の行動が非常に重要である旨述べた。続いて,山田祐彰東京農工大学教授から,ガーナにおけるFAOと同大学の連携プロジェクトについて紹介があった。
- (3)第2部のジョブセミナーでは,チャールズ・ボリコFAO駐日連絡事務所長より,FAOのインターンシップ及びボランティアの制度や,求める人材について説明があった。続いて,インターンシップを経験した同大学の宮嵜絢子さんとモハンマド・マルダニコラニさんが登壇し,自身の経験が共有された。また,外務省国際機関人事センターから,若手日本人の国際機関への就職を後押しするJPO派遣制度等の支援制度が紹介された。登壇者と参加者の間では,FAOでの勤務に必要とされる専門性や職務経験等について,活発な質疑応答が行われた。
4 宇宙航空研究開発機構(JAXA)訪問,FAOとJAXAとの地球観測衛星データ利用等に関する連携協定の署名式及び筑波宇宙センター視察(1月23日)


- (1)グスタフソン事務局次長は,宇宙航空研究開発機構(JAXA)訪問し,JAXA筑波宇宙センターにおいて,FAOとJAXAが連携し,衛星データを用いて世界の森林やマングローブの監視し,各国の森林や土地利用管理能力を向上させることにより気候変動への緩和や適応等の取組を進める,「地球観測衛星データ利用等にかかる連携協定」を締結
した。
- (2)締結式では,グスタフソンFAO事務局次長は,各国が気候変動に関するコミットメントを達成する上で,衛星由来の情報が重要な役割を果たす旨述べ,JAXAとの協定書に署名
を行った。
- (3)その後,グスタフソン事務局次長は,筑波宇宙センターを視察し,宇宙技術の利用に関する理解を深めた。