食料安全保障
国連食糧農業機関(FAO)第41回総会
1 概要
2019年6月22日から29日,国連食糧農業機関(FAO)第41回総会がローマのFAO本部において開催され,我が国からは,松島農林水産審議官(当時)及び片上駐イタリア大使兼FAO常駐代表を政府首席代表とする代表団が出席した。総会は,FAOの最高意思決定機関として2年に1度開催される。今次総会にはFAOの192加盟国及び1加盟組織(EU)から100人を超える閣僚級の代表を含む政府代表団に加え,国連世界食糧計画(WFP),国際農業開発基金(IFAD)など関係国際機関が参加した。
2 主要結果概要
(1)世界の食料と農業の現状に関する各国政府代表演説
2019年のテーマは「移住,農業と農村開発」。我が国からは,松島農林水産審議官が,我が国の経験や課題に基づき,農村地域での六次産業化や農福連携による雇用の創出,農泊や世界農業遺産による活性化,スマート農業などの新技術の活用,また我が国が議長を務めたG20新潟農業大臣会合での成果を通じた世界の食料安全保障への貢献について演説した。
(2)改訂中期計画(2018~21年)及び次期事業予算計画(2020~21年)
FAOの長期的な活動方針を定める戦略枠組み(現行枠組みは,2017年に改訂。次期見直しは2021年)に基づく2018年から21年の改訂中期計画について,戦略目標と持続可能な開発目標(SDGs)の整合を評価し承認された。2020年から21年の次期事業予算計画は,これに先立つ本年4月の第161回理事会で承認された予算案について本総会で投票の結果,2018~19年比名目ゼロ成長となる1,005.635百万米ドルにて全会一致で決定。我が国は第3位の分担金拠出国(分担率8.565%)となる。
(3)事務局長選挙
本総会において,グラツィアーノFAO事務局長(2012年に就任,2015年に再選され,2期8年を務め,2019年7月末をもって退任)の後任となる次期事務局長の選出選挙が行われ,チュー・ドンユィ(屈冬玉)氏(中国)が選出された。同氏の任期は2019年8月1日から23年7月31日まで(任期4年)となる。
(4)理事国選挙
全49議席のうち,2019年6月30日(今次総会終了時)及び2020年6月末で3年の任期が終了する33議席について改選が行われた。議席は7つの地域毎に割り当てられており,今次選挙では全ての地域においてコンセンサスが成立したことから,理事国は無投票により改選された。なお,我が国は1965年以降継続して理事国を務めており,2017年7月の第40回総会で改選され,現任期は第42回総会(2021年6月)まで(今次総会では改選対象外)。