経済外交
国連食糧農業機関(FAO)第38回総会の概要
平成25年6月22日
1.概要
平成25年6月15日から22日,第38回総会がローマのFAO本部にて開催され,我が国からは,江藤拓農林水産副大臣,河野雅治駐イタリア大使兼FAO常駐代表を政府首席代表とする代表団が出席した。総会は,FAOの最高意思決定機関として2年に1度開催される。今次総会には約180加盟国及び欧州連合(EU)のほか,国連世界食糧計画(WFP)など10国際機関が参加した。
2.結果概要
(1) 「世界の食料と農業の現状」についての各国政府代表演説
我が国からは,江藤農林水産副大臣が,以下を内容とする演説を行った。
- ア 食料安全保障を確保するため,最も脆弱な人々への影響を回避することが必要。
- イ 世界の環境条件の多様性と農業の有する多面的機能を考慮した上で,各国が持続可能な農業生産の増大と生産性の向上を促進すべき。
- ウ 「責任ある農業投資」の策定や農業市場情報システム(AMIS)を活用した情報の共有が必要。
- エ 世界農業遺産(GIAHS)国際会議,第5回アフリカ開発会議(TICADV),及び我が国の農業政策を紹介しつつ,我が国は多様な農業の共存や世界の食料安全保障の確保に貢献していく。
(2)2014-2015年事業予算計画
次期通常予算については,通常計画予算の予算規模を1,028.1百万ドル(前期比2.2パーセント増)とすることが,全会一致で決定された。
(3) 理事国選挙
全49議席のうち,我が国は1965年以降連続で理事国を務めている。今次総会では,2013年及び2014年末で3年の任期が満了する32議席について理事国が選出された(我が国の任期は2015年末までであり,今次は改選対象外。)
(4)食料安全保障に関するマクドゥーガル記念講演
フランク・マクドゥーガル(オーストラリア国籍)は,FAOの創設者の一人。FAO総会では,農業や飢餓撲滅の分野での著名人によりマクドゥーガル記念講演が行われる。今次総会では,ノーベル経済学賞受賞者アマルティ・セン氏が記念講演を行い,飢餓を克服するためには,食料生産増大だけに重点をおくのではなく,飢餓の全ての原因,とりわけ貧困の問題に同時に対処する必要があると述べた。
(5)新規加盟国の承認
今次総会において,ブルネイ・ダルエスサラーム,シンガポール及び南スーダンの加盟が承認された。これにより,FAO加盟国は194ヶ国のほか1加盟機関(EU)及び2準メンバー(フェロー諸島及びトケラウ諸島)となった。