G20(金融・世界経済に関する首脳会合)
G20ヨハネスブルグ・サミット
セッション1「誰一人取り残さない包括的で持続可能な経済成長」概要
令和7年11月22日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
高市早苗内閣総理大臣は、現地時間11月22日午前10時35分(日本時間22日午後5時35分)から約6時間15分行われたG20ヨハネスブルグ・サミットのセッション1「誰一人取り残さない包括的で持続可能な経済成長」に出席したところ、概要は以下のとおりです。
本セッションでは、世界経済の不確実性が高まり、国際社会が諸課題に直面する中、世界の包括的で持続可能な成長のため、共通の責任を有するG20が協調して行動することの必要性が強調されました。また、自由で公正な貿易、世界貿易機関(WTO)改革、債務持続可能性に配慮した開発の必要性に加え、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現の重要性、ガザにおける早期の人道状況の改善や復旧・復興の必要性等が指摘されました。
なお、セッション1の前に行われたオープニング・セッションで、「G20南アフリカ・サミット:首脳宣言」が採択されました。
高市総理大臣からは、概要以下を述べました。
1 冒頭
国際社会が複合的な危機に直面する中、今こそ全てのG20メンバーが責任を共有した形で、課題解決やグローバル・ガバナンスの構築を進める必要がある。
2 国際情勢
- 経済成長には平和の実現が不可欠であり、ロシア連邦によるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙である。各国の外交努力により、国際社会の結束の下、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に繋げることが重要である。日本は、世界銀行等の国際機関等とも協力しながら、財務支援や復旧・復興支援を含め、ウクライナに対する力強い支援を継続する。
- 日本は、ガザ情勢に関する安保理決議第2803号の採択を歓迎する。「包括的計画」の前進、人道状況の改善、早期の復旧・復興、さらには「二国家解決」の実現に向け、積極的な役割を果たす。
3 経済の構築、貿易の役割
- 世界経済を巡る不確実性が高い中、世界のGDPの8割以上を占めるG20は、世界の経済成長に大きな責任を有する。過度な経常収支不均衡の背景にある各国経済の不均衡については、経常赤字国は持続可能性確保の取組、経常黒字国は非市場的政策・慣行の廃止により対処すべきである。
- ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を発展させ、世界経済の成長や「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に繋げることが重要である。WTOを中核とする多角的貿易体制は世界経済の基盤である。日本は、意思決定の方法を含むWTO改革の議論に積極的に貢献していく。また、CPTPPの拡大やアップグレードの議論を引き続き主導していく。
4 債務問題を含む国際開発金融
- 経済成長に不可欠である膨大な開発資金ニーズに対応するため、国内資金動員、民間投資の促進、ドナーベースの拡大が必要である。日本は、更なる民間投資を促すために国際協力機構(JICA)の金融手法を拡充し、途上国企業等の債券取得や信用保証を可能にした。日本は、来年3月、国内資金動員の能力構築に焦点を当てた国際会議を東京で開催する。また、日本は、国際開発金融機関の一層の効果的な支援に引き続き協力していく。
- 質の高い成長のためには、包摂性、透明性、公正性といった国際ルール・基準を遵守し、債務持続可能性に配慮したインフラ開発が不可欠である。日本は、2019年の質の高いインフラ投資に関するG20原則に沿った質の高いインフラ投資を推進する。債務問題については、G20「共通枠組」での債務再編の実施改善や債務透明性の向上が必要である。日本は、世界銀行の債務データ共有の取組に、全てのG20メンバーが参加することを呼びかける。
- 初のG20アフリカ開催となる本年、日本は8月にTICAD9を主催し、民間の活力も取り込み、産業力強化、若者・女性を含む人材育成、域内外の連結性強化などを進めるために、「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を立ち上げ、アフリカの諸課題解決のために日本とアフリカが共に取り組むことを確認した。
5 結語
日本は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化、そして、責任あるグローバル・ガバナンスの再構築に向け、G20メンバーと共に行動していく。


