経済外交
EPA(経済連携協定)活用セミナー(平成26年)
兼光達也 ブライアンケーブインターナショナルコンサルティング社駐日代表 講演「EPAを利用するビジネス戦略の着眼点と活用法」概要
兼光達也ブライアンケーブインターナショナルコンサルティング社駐日代表の講演「EPAを利用するビジネス戦略の着眼点と活用法」の概要は以下の通り。
ASEANの事例から学ぶFTA活用方法、FTA/EPAを利用したサプライチェーン事例、原産地証明方法の今後を紹介する。
ブライアンケーブインターナショナルコンサルティング社は、米国の国際法律事務所ブライアンケーブLLPの子会社で、関税、貿易、輸出入等に特化したコンサルティング会社であり、アジア地域7カ国8都市に拠点を有する。
FTA/EPAがもたらす効果としては、関税の撤廃や低減のメリットがあり、またFTA域内の物品流通は非FTA参加国よりも有利に取り扱われる。ASEAN諸国はAFTA(ASEAN自由貿易地域)によって、(1)輸出を増やし、(2)ASEAN域内で人件費の安い国に生産拠点を移し、(3)一方で生産拠点を集約化し効率化を図る等の恩恵を受けている。現在、ASEANをハブとした経済連携が進んでおり(注:ASEANは域内だけでなく、日本、中国、韓国、豪州、NZ、インドとFTAを発効済み)、2015年にはASEAN経済共同体が発足しCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)を含めた域内の関税は原則撤廃される。
ASEANのFTA活用事例の中には、第3国インボイス(FTAの原産地証明書による関税優遇をFTA締約国でなくても受けられる)、Back-to-Back Certificate of Origin(B2B C/O)(連続する原産地証明書:FTA域内の中継地で最初のオリジナル原産地証明書を再発行することにより再輸出する)、ASEANで部品は生産、日本へ輸出し、日本で完成品を製造して輸出するという活用法もある。
FTAを利用する際、HSコード分類の問題、原産地規則の違い等、導入の入口でつまずくことはある。さらに、今後、原産地証明方法については、北米或いは欧州地域の潮流もあって第三者証明制度から自己証明制度に移行していくと考えられ、各企業のコンプライアンス対応が一層重要になる。米国やEUとのEPAが発効した際にはEPAの利用は企業にとって最低条件になることが予測されるため、今の段階から既存のFTAに慣れておいてFTA活用方法を習得しておくことが望ましい。