G7/G8
2015 G7エルマウ・サミット首脳宣言(骨子)
平成27年6月8日
前文
- G7 首脳は, 2015 年6 月7日及び8 日にエルマウで会合を開催した。自由及び民主主義の価値,並びにその普遍性,法の支配及び人権の尊重,そして平和と安全を促進することにコミット。G7諸国として,自由,主権及び領土の一体性を堅持するとのコミットメントにおいて一致団結する。
- 2015年は,国際協力及び持続可能な開発問題にとって節目となる年。パリでの気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)は,世界の気候の保護にとって極めて重要であり,ニューヨークにおける国連サミットは,今後にわたる,普遍的で,世界的で,持続可能な開発アジェンダを設定する。
世界経済
- 前回のG7首脳会合以降,世界経済の回復は進展。成長のため更なる取組が必要。機動的な財政戦略の実施に同意。
- 女性の起業家精神はイノベーション,成長及び雇用の推進力。女性の起業家精神の促進のための共通原則に合意。日本主催のWAW!シンポジウムを歓迎。
- 保護主義と闘うコミットメントを再確認。多角的貿易体制(WTO)の強化に加え,自由貿易協定(FTAs)締結の取組,複数国間交渉を重視。可能な限り早期のTPP妥結,望むらくは本年末までの日EU・EPA/FTAの大筋合意のため努力する。
- 世界的なサプライ・チェーンにおいて労働者の権利,一定水準の労働条件及び環境保護を促進する。
外交政策
- 我々G7は,自由,平和及び領土の一体性と,国際法及び人権の尊重の重要性を強調する。
- ロシアによるクリミア半島の違法な併合への非難を改めて表明。ウクライナ東部における紛争の,外交的解決を見いだす努力への完全な支持を改めて表明。全ての当事者に対し,停戦及び重火器の撤去の完全な尊重及び履行を改めて呼びかける。制裁の期間はロシアによるミンスク合意の完全な履行及びウクライナの主権の尊重に明確に関連されるべきことを想起。ウクライナ政府による包括的で構造的な改革実施のための措置を支持。
- 国際法の諸原則に基づく,ルールを基礎とした海洋における秩序の維持にコミット。東シナ海及び南シナ海での緊張を懸念。平和的紛争解決,世界の海洋の自由で阻害されない適法な利用の重要性を強調。威嚇,強制又は武力の行使,大規模な埋立てを含む現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対。リューベックにおいてG7外相が発出した海洋安全保障に関する宣言を支持。
- 第9回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議において,多くの実質的な問題について合意に至っていたにもかかわらず,最終文書に関するコンセンサスに達することができなかったことは極めて遺憾。NPTは核不拡散体制の礎石。
- 4月2日に,EUによって促進され,EU3+3とイランとの間で到達した,包括的共同作業計画の主要な要素に関する政治的了解を歓迎。包括的解決策を6月30日までに実現するための,EU3+3とイランによる継続的な努力を支持。
- シリア,リビア及びイエメンの平和と安定のための恒久的解決策を探るための,現在行われている国連主導のプロセスを支持。
- 北朝鮮による核及び弾道ミサイル開発の継続,並びに甚だしい人権侵害及び他国の国民の拉致を強く非難。
- 外国人テロ戦闘員の現象を踏まえ,テロと暴力的過激主義に対する闘いは,全ての国際社会にとって引き続き優先課題。
- その首脳達がエルマウ城における議論に参加したイラク,チュニジア及びナイジェリアを含めて,野蛮なテロ行為に苦しむ全ての国や地域とともに結束。
- ネパールで壊滅的な被害をもたらした地震によって引き起こされた人命の喪失と破壊に深く悲しみ,ネパールの国民及び政府に対し,継続的な支援を行っている。
保健
- 保健システムの強化に焦点を当てて保健分野に引き続き関与。エボラ出血熱の発生をゼロにすることにコミット。薬剤耐性に係る国別行動計画を策定・見直す。顧みられない熱帯病(NTDs)との闘い,予防可能な子供の死亡をなくすこと及び妊産婦の健康改善にコミット。
気候変動,エネルギー,環境
- 今年12月のCOP21で合意を採択するとの強い決意を確認。2050年までに2010年比で最新のIPCCの提案の40%から70%の幅の上方に削減するという目標をUNFCCCの全締約国と共有することを支持する。
- 全てのG7メンバーからの2020年以降の削減目標の公表又は原案,及び約束草案の提出を歓迎する。
- 2020年までの官民双方から年間1,000億米ドル動員というコペンハーゲン合意に対する我々の強いコミットメントを再確認。2015年中に緑の気候基金の完全な運用開始等の野心を再確認。
- 持続可能なエネルギー安全保障のための G7 ハンブルク・イニシアティブを歓迎。ウクライナ等におけるエネルギーシステムの改革と自由化の取組を引き続き支援。エネルギー構成並びに燃料,エネルギー源及び流通経路の更なる多様化を目指す。
- 情報共有等の場として,資源効率性のためのG7アライアンスを設立する。国連環境計画(UNEP)国際資源パネルに対して統合報告書の準備を,OECDに対して同報告書を補完する政策指針の作成を求める。
- 海洋ごみが提起する世界的課題を認識。国際海底機構に対して持続可能な深海底鉱業のための規範作りの継続を要請。
開発
- 2015年は持続可能な開発にとって節目となる年。野心的で人間中心で普遍的なポスト2015年開発アジェンダの達成にコミット。新たなアジェンダを後押しするため,資金的・非資金的実施手段の促進を支援。
- 2030年までに開発途上国の5億人を飢餓と栄養不良から救出することを目指す。食料安全保障及び栄養に関する広範なG7開発アプローチを促進する取組を強化。
- 女性の経済的な参画を支援。2030年までの開発途上国における職業技術教育・訓練を受けた女性・女児の3分の1増加にコミット。G7諸国における性別による労働力参加格差の2025年までの25%削減に取り組む。女性に関する新たなG7作業部会を通じた取組で連携。
ドーヴィル・パートナーシップ
- 移行期にあるアラブ諸国とのドーヴィル・パートナーシップに改めてコミット。
G7による説明責任
- G7がオープンかつ透明性のある方法でなされた約束に対し,説明責任を持つことに引き続きコミット。
結び
- 日本議長の下,2016年に会合することを楽しみにしている。