核軍縮・不拡散

令和7年3月26日

1 PSIとは

  • (1)国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器・ミサイル及びそれらの関連物資の拡散を阻止するために、国際法・各国国内法の範囲内で、参加国が共同してとりうる移転(transfer)及び輸送(transport)の阻止のための措置を検討・実践する取組。
  • (2)従来は、各国が自国の領域内において、国内管理、輸出管理等の措置を実施してきたが、PSIの下では、各国が、自国の領域内に限らず、自国の領域を越える範囲でも他国と連携して大量破壊兵器等の拡散を阻止する。また、国内においても、法執行機関、軍・防衛当局、情報機関等、関係機関の間の連携を重視する。
  • (3)こうした阻止活動の原則は、政治的文書である「阻止原則宣言」(Statement of Interdiction Principles)(PDF)別ウィンドウで開くにまとめられ、PSIにおける活動の指針として機能している。
  • (4)令和7年3月現在、日本、アメリカ、イギリス、イタリア、オランダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、カナダ、ノルウェー、デンマーク、トルコ、ギリシャ、ニュージーランド、アルゼンチン、韓国、チリの21か国(注1)をはじめとする116か国(注2)が、PSIの活動の基本原則や目的に対する支持を表明し、実質的にPSIの活動に参加・協力している。
  • (注1)これら21か国は、オペレーション専門家会合(OEG:Operational Experts Group)に参加している。なお、デンマーク、トルコ、ギリシャ、ニュージーランド、アルゼンチン、韓国を除いた14か国は、PSI発足後の一定期間、「コア・グループ」としてPSIの発展に中心的な役割を果たした(2005年に廃止)。
  • (注2)アジア地域のPSI参加国は、ブルネイ、カンボジア、日本、韓国、モンゴル、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、マレーシア、ベトナムの11か国。平成21年5月に韓国がPSIに参加(平成22年11月の東京OEGからOEGに参加)、平成24年11月にはタイが、平成26年4月にはマレーシアが、同年5月にはベトナムが、PSIへの新規参加を表明。

2 PSI発足の経緯

  • (1)ブッシュ政権は、北朝鮮、イランをはじめとする、いわゆる拡散懸念国等の大量破壊兵器・ミサイル開発を強く懸念。2002年12月の「大量破壊兵器と闘う国家戦略」において、(ア)拡散対抗、(イ)不拡散、(ウ)大量破壊兵器使用の結果への対処の包括的アプローチを提唱。
  • (2)2003年5月31日、ブッシュ大統領は訪問先のポーランド(クラコフ)で、「拡散に対する安全保障構想(PSI)」を発表。我が国を含む10か国(日本、イギリス、イタリア、オランダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、ポルトガル)に参加を呼びかけ。

3 PSIの主な活動内容

(1)阻止訓練の精力的な実施

 これまで、陸上・海上・航空等、様々な形態の阻止訓練を世界各地域において実施。その結果、(ア)各国の関係機関による大量破壊兵器等の拡散阻止に関する能力の向上、(イ)各国の法執行機関、軍・防衛当局、情報機関等による相互の連携の強化、(ウ)PSI非参加国によるPSIへの理解の深化等の成果が上がっている。

(2)参加国・協力国の拡大に向けた努力(アウトリーチ活動)

 参加各国による連携が鍵となるPSIにおいては、参加国・協力国の範囲を拡大し、大量破壊兵器等の拡散阻止のための網の目を細かくすることが重要との認識の下、PSI参加国は、非参加国に対する働きかけ(アウトリーチ活動)を精力的に展開。その結果、現在では合計115か国が、PSIに対する支持を表明している。

(3)各種会合を通じた活動内容の精査

 PSI発足後、これまで総会(局長級)及び専門家会合(局次長級)を精力的に開催し、その結果、(ア)PSIが行う阻止活動の基本原則を定める「阻止原則宣言」の採択(PSIが行う阻止活動が国際法・各国国内法の範囲内で行われることを確認)、(イ)阻止訓練の効率的な実施計画の策定、(ウ)PSIの実施に伴う法的問題の検討の進展等の成果が上がっている。


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