核軍縮・不拡散

平成28年7月26日
 平成28年2月23日~25日,東京において,約30か国・地域と国際機関,シンクタンク等から約170人の参加を得て,第23回アジア輸出管理セミナーが経済産業省及び外務省の協力の下で一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)の主催により開催された。

1 セミナー開催の背景

  • (1)アジア諸国・地域,特にASEAN諸国においては,経済発展に伴い,大量破壊兵器の開発に転用可能な物資・技術の生産能力を獲得してきていることに加え,第三国への中継貿易地として発展を遂げているところもあり,これらの国・地域が拡散者による違法な調達活動に意図せずして関わる危険性が高まっている。
  • (2)本セミナーは,このような状況を踏まえ,アジア地域の不拡散体制整備のためにはこれら諸国・地域の協力が必要不可欠との認識の下,平成5年から毎年開催してきているものであり,輸出管理の重要性に対するアジア諸国・地域の共通認識を高め,輸出管理制度を強化することにより,アジア地域及び国際的な不拡散への取組の強化に資することを目的としている。

2 今次セミナーの概要

(1)輸出管理と経済発展

 輸出管理と経済発展の関係につき様々な角度から考察するとの問題意識の下,米国国防総省,国際的な輸出管理レジーム(ワッセナー・アレンジメント),フィリピン政府,シンクタンク(SIPRI),我が国経産省(貿易管理部長)の代表がパネリストとなりパネルディスカッションを実施。

(2)国際的な輸出管理レジームの活動

 国際的な輸出管理レジーム(原子力供給国グループ,ミサイル技術管理レジーム,オーストラリア・グループ,ワッセナー・アレンジメント)の代表が,それぞれのレジームの活動や課題につきプレゼンテーションを実施。

(3)迂回輸出の防止

 国連の制裁パネル専門家が国連安保理の対北朝鮮制裁決議の実施状況につきプレゼンテーションを実施するとともに,世界税関機構の専門家が,同機構の活動及び支援内容に関するプレゼンテーションを実施。

(4)アジアにおける輸出管理制度の発展

 ASEAN諸国の輸出管理制度の現状と課題が報告された他,インド,中国,パキスタンの各政府の代表から自国の輸出管理制度を国際的基準に沿ったものとすべく行っている取組や当該制度の現状につきプレゼンテーションを実施。

(5)輸出管理法制度,輸出許可審査の運用及び関係省庁の連携等

 輸出管理法制度の導入に関する問題,輸出許可審査の運用,関係省庁の連携等執行に関する問題について3つの分科会を開催。

(6)輸出管理に関連するその他のトピック

 産業界の取組につきCISTEC,ヤマハ,韓国や独から紹介。無形技術移転に関する取組につき,オランダ政府,群馬大学,三菱電機,ニューヨーク州立大学といった異なる視点からのプレゼンテーションが行われた。また,通過・積替え等に関する取組につき,UAE,マレーシア及び米国からプレゼンテーションを実施。

3 参加国・地域・機関

(1)アジア(20か国・地域)

 バングラデシュ,ブルネイ,カンボジア,中国,香港,インド,インドネシア,韓国,ラオス,マレーシア,モンゴル,ミャンマー,パキスタン,フィリピン,シンガポール,スリランカ,台湾,タイ,ベトナム,日本

(2)アジア以外(9か国・地域)

 豪,欧州連合,独,メキシコ,オランダ,トルコ,アラブ首長国連邦,英,米

(3)国際輸出管理レジーム(4レジーム)

 オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),原子力供給国グループ(NSG),ワッセナー・アレンジメント(WA)

(4)国際機関,大学等

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI),世界税関機構(WCO),国際連合安全保障理事会1874委員会専門家パネル,ニューヨーク州立大学,群馬大学等


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