科学技術
第10回日英科学技術協力合同委員会 共同プレスリリース



2016年11月28日,英国ロンドンにて,日本国政府と英国政府間の科学技術協力協定に基づく第10回日英科学技術協力合同委員会が開催された。
合同委員会は,マーク・ウォルポート英国政府首席科学顧問,及び中根猛日本外務省科学技術協力担当大使が共同議長を務めた。委員会には,内閣府の原山優子総合科学技術・イノベーション会議常勤議員,及び日本と英国の政府の代表者と科学関連機関が幅広く出席した。
合同委員会は、科学技術・イノベーション政策,国際協力と関係する事項について意見交換を行った。特に,英国において策定中の産業政策や日本における第5期科学技術基本計画及び同計画で提唱された「Society5.0」などの新しい展開に焦点があてられた。
合同委員会はまた,主要な課題における将来の共同作業を両国の利益となる形で推進する上で大いに役立つ日本と英国の機関間の新しい戦略的連携の最近の発展について留意した。委員会は,ミュオン研究,医療・ライフサイエンス,海洋科学,災害と強靱性,デジタル社会の機会と課題等について詳細に議論した。
合同委員会は,医療・ライフサイエンス分野での進展を歓迎した。この分野では,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)と英国医療研究評議会(MRC)との間で新しい協力覚書の協議が行われており,またAMEDのロンドン事務所開設の準備が進められている。委員会はまた,海洋研究分野での展開を歓迎した。この分野では,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と英国自然環境研究評議会(NERC)との間で研究協力の共同公募を新たに開始することが協議されており,この協力を確認する書簡の交換が文部科学大臣と英国ビジネス・エネルギー・産業戦略大臣の間で準備されている。委員会では技術が社会に与える影響が重要なテーマとなり,英国王立協会が人工知能,ロボテイクス及びモノのインターネットの分野において更なる議論を行うイニシアチブを歓迎した。更に議論を行い,両国における科学技術・イノベーション政策の展開,両国間の協力関係の継続的強化,並びに日本及び英国が将来の研究優先課題として検討している将来のテーマなどが強調された。
日本と英国の代表らは,日本と英国の研究機関,研究所と大学の間で現在実施されている価値ある研究協力を概観し,これらの研究のレベルと質が非常に高いことに満足して留意した。
両国が多くの関心を共有し補完的な強みを持ち,協力のための貴重な機会が存在することは明らかである。この文脈で,委員会は研究者に対して助成金や協力に関する情報をよりアクセスし易くするために更に取り組むこと,助成機関間でより緊密に連携すること,第三国における作業の調和のための議論を継続すること,災害リスク低減と強靱性,医療・ライフサイエンス,海洋研究,デジタル社会の影響に関する連携を構築すること,並びにホライゾン・スキャニング活動に関する情報共有を継続することを奨励した。
次回の合同委員会を日本で開催することが提案され,具体的な期日は外交経路を通じて調整されることとなった。
(注)独立行政法人日本学術振興会(JSPS)は今次合同委員会に先立って,日本と英国間の共著研究についての分析結果(PDF)を発表した。