科学技術
第5回日・ノルウェー科学技術協力合同委員会 共同プレスリリース(仮訳)
2015年2月11日(水曜日),桂誠外務省科学技術協力担当大使及びカーリ・バルケ・オイセット教育研究省(MER)研究局長を共同議長として,日本とノルウェー両政府の各関連省庁,及びファンディング機関や研究機関から多くの代表者が出席し,第5回日・ノルウェー科学技術協力合同委員会がオスロにおいて開催された。
合同委員会は,ノルウェー教育研究省,内閣府及び文部科学省による,日・ノルウェーの科学技術・イノベーション政策における最近の進展の共有から始まり,続いて既存の4つの優先協力分野(「エネルギー・環境」,「ナノテクノロジー・新材料」,「水産物の安全性」及び「極地・宇宙研究」)における進捗状況を振り返った後に,今後の協力の機会や優先事項について議論した。
エネルギー・環境
両代表団は,太陽エネルギー,水素及び洋上風力研究を含む幾つかの専門分野における,数多くの機関及び産業が実質的な協力に関与していることに留意した。産業技術総合研究所(AIST)福島再生可能エネルギー研究所におけるノルウェー科学技術大学(NTNU)及びノルウェー産業科学技術研究所(SINTEF)との戦略的パートナーシップや毎年開催されている「京都国際環境・エネルギー・フォーラム(KIFEE)」等の場がこれに貢献した。代表団はまた,エネルギーマネジメントシステムにおける協働の重要性についても認識した。また,本年5月に東京で開催される「日・ノルウェーエネルギー・サイエンス・ウィーク」が,既存の協力関係を発展させ,新規の研究領域や新たなパートナー間における協力を発展させるための重要なステップになることに同意した。
ナノテクノロジー・新材料
本合同委員会において,本分野における協力は,再生可能エネルギーの応用に焦点を当てて進められてきたことが認識された。NTNUと物質・材料研究機構(NIMS)との間の,研究者の流動性に関する機関間の協力の確立に向けた最近の意見交換及びノルウェー・エネルギー技術研究所(IFE)と東北大学との間のエネルギー貯蔵研究に関する意見交換によってこれらの分野における協力が強化されている。
水産物の安全性(海洋研究)
本合同委員会では,近年の海洋研究協力における発展に対して肯定的な評価が与えられ,2014年6月に東京で開催された日・ノルウェー海洋科学週間が,この協力における一里塚であったと認識された。ノルウェー貿易・産業・漁業省(MTIF),農林水産省(MAFF),文部科学省及びその関連機関によって支援された,海洋研究並びに魚の養殖や飼料研究分野における既存の強力な協力に基づき,代表団は,これらの分野における更なる協力を促進するために,優先分野の範囲を「水産物の安全性」から「海洋研究」へと広げることを決めた。さらに,協力を増大させるための将来的な優先課題や道筋についての議論を促すために,ノルウェー・リサーチ・カウンシル(RCN)は,合同委員会のサイドイベントとして2月12日に海洋研究セミナーを行った。セミナーには,両国の関係省庁,ファンディング機関及び研究機関からの代表者が参加した。
極地・宇宙研究
本合同委員会において,宇宙物理学,衛星地球観測,気候変動,海氷形成及び海洋酸性化等の分野に関連した協力を強化するための継続的な取組の重要性が認識された。日本側は,北極研究に関連した共同・連携の重要性を強調した。文部科学省は,北極評議会のオブザーバーとしての日本の役割を踏まえて,意思決定の過程において利害関係者に科学に根差した情報を積極的に伝達するための国際的な北極研究推進のための新たなイニシアチブを提案した。国立極地研究所(NIPR)は,EISCAT_3DやSIOSを含む北極環境変化や太陽地球物理学に関する日・ノルウェーの研究協力を紹介した。海洋研究開発機構(JAMSTEC)は,北極海が特に地球温暖化に地球全体の気候や海洋生態系に対し大きな影響力を持つことから,北極の気候変動が地球全体の気候や海洋生態系に及ぼす影響等の課題に取り組むための北極海の環境変化に関する研究協力について紹介した。ノルウェー側は極地・宇宙研究における協力を更に発展させる上で,科学者の相互交流・派遣及び研究インフラの共有は重要な要素である旨強調し,日本側と意見が一致した。さらに,合同委員会では 二国間の現行の協力を深化させることにより,両国が極地研究に関する国際的な議論により大きく貢献できることが認識された。
ファンディング機関間の協力に関するセッションにおいて,合同委員会は,日本学術振興会(JSPS)が提供する研究者交流のためのプログラムの活用を奨励した。科学技術振興機構(JST)とRCNは,お互いの事業間における協力を進めるとともに,(CONCERT-Japanの継続としての)ヨーロピアン・インタレスト・グループ・フォー・ジャパンの枠組み及びベルモント・フォーラムにおける協力を進める意図を確認した。
2003年に署名された,日本国政府とノルウェー政府との間の科学技術協力協定の発効以来,日本とノルウェーの機関間の科学技術協力は着実に増加しており,またファンディング機関間の協力も近年強化されていることを踏まえ,両議長は,二国間の関係を深めるのみならず,地球規模課題への対応にも貢献できるような日・ノルウェー両国の協力関係の更なる発展への期待を示した。