通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組
対人地雷禁止条約(オタワ条約)第21回締約国会議


11月20日から24日まで、対人地雷禁止条約(オタワ条約)の第21回締約国会議がスイス・ジュネーブで開催されました。我が国からは、小笠原一郎・軍縮会議日本政府代表部大使を団長とする代表団が出席しました。独が議長を務めた今次会議において、仏、イラク、オランダ、イタリア、スイス、タイ、トルコ、ウガンダが副議長を務めました。
1 全体
今次第21回締約国会議において、2019年の第4回検討会議で採択されたオスロ行動計画(OAP:条約の普遍化、地雷の廃棄・除去、被害者支援、国際協力等の各分野の課題について、2020年から2024年の5年間に締約国が実施すべき行動指針を記したもの)の締めくくりの一年を迎えるにあたり、2024年に予定される第5回検討会議に向けて、OAPの実施状況の包括的な確認、課題等について建設的な議論が行われました。会議のオープニングにおいて、コイル独国務大臣、ミルアド・ラアド・ザイイド・アル・フセイン・ヨルダン皇太子、中満国連事務次長他がそれぞれスピーチを行い、対人地雷のない世界に向けて強いメッセージを発出しました。
2 敷設地雷の除去
今次会議においては、エリトリア及びウクライナが第5条に基づく対人地雷除去期限の延長要請を行い、各国の除去に係る努力及び今後の除去計画についての報告を受け、これらの要請がコンセンサスで承認されました。第5条不履行の状態にあるエリトリアに関しては、2024年3月31日までに期限延長要請を提出することを前提として、2024年12月31日までの期限延長が認められました。また、ウクライナに関しては、2028年第25回締約国会議への詳細な進捗報告の提出等を条件に、2033年12月1日までの10年間の期限延長が認められました。また、第5条履行委員会が提出した「地雷除去期限の延長申請プロセスに関する勧告」内容が全締約国により支持されました。
3 国際協力・支援、「協力・支援強化委員会」委員としての取組
会議に出席した各国は、対人地雷対策の取組への国際協力・支援について議論を行いました。我が国は、国際社会における対人地雷除去支援として、OAPの下で、第一に深刻な地雷・不発弾被害を受けている国の除去活動に対する継続的な支援、第二に地域協力・南南協力の推進、第三に地雷・不発弾の被害者に対する包括的な被害者支援、を支援方針としていることに言及しつつ、2022年度において日本は、22か国において、総額約5,200万米ドル以上の対人地雷・不発弾対策に係る支援を実施している旨を発表しました。更に我が国は、地雷除去や復興に協力してきた経験・知見を活用し、カンボジアと共に、ウクライナにおける地雷対策への協力を本年1月から開始しており、こうした南南協力の実例を会議において紹介しました。また、日本は、協力・支援強化委員会の委員として、タジキスタン、トルコ、ソマリア向けの個別支援会合(IA会合)に参加し、これらの締約国への国際社会からの支援強化に向けて積極的に後押ししました。2024年においても、日本は引き続き、協力・支援強化委員会委員を務めることとなっています。
4 その他の議論
今次会議において、対人地雷分野での被害者支援、リスク低減教育、透明性と情報交換、ジェンダー支援等が議論され、我が国は、これらの分野においても我が国の取組を紹介すると共に、積極的に議論に参加しました。更に、我が国は、議長である独のイニシアティブで進められる条約の非公式普遍化調整グループのメンバーとして、アジア太平洋地域をはじめとする未締約国の条約加入に向け、継続した働きかけを行ってきており、今次会議においても、締約国と共に有意義な議論を行いました。
5 今後の会議(2025年第22回締約国会議における我が国の議長職選出)
2024年は5年に一度開催される検討会議に当たる年であり、カンボジアが第5回検討会議をシェムリアップで開催することに決定しました。また、今次会議において、2025年第22回締約国会議議長職に、我が国から市川とみ子・次期軍縮代表部大使が立候補し、右議長職にコンセンサスで選出されました。更に、翌2026年第23回締約国会議については、ザンビアが議長職を務めることで決定しました。