軍縮・不拡散・原子力の平和的利用
クラスター弾に関する条約第1回検討会議


9月7日から11日にかけてドゥブロヴニク(クロアチア)において,クラスター弾に関する条約(CCM)の発効から5年間の成果,及び,今後の課題につき議論し,コミットメントを新たにするための第1回検討会議が開催されたところ,概要と評価は以下のとおり。
1 概要
(1)参加国等
60か国・地域(全締約国は96か国・地域)及び16の国際機関・NGO等が参加した。また,未締約国のうち,中国,パキスタン,タイ,カンボジア等23か国がオブザーバー参加した。
(2)成果文書
検討会議における議論の結果,締約国のコミットメントを謳う政治宣言である「ドゥブロヴニク政治宣言」,及び,今後5年間の行動指針となる「ドゥブロヴニク行動計画」が採択され,また,第1回締約国会議(2010年)以降の条約の運用・締結状況を記録した「クロアチア履行状況報告書」,ビエンチャン行動計画の進捗状況を評価した「ビエンチャン行動計画評価」等の文書が発出された。これらが成果文書として最終報告書に盛り込まれた。
(3)我が国の対応
- (ア)我が国からは佐野利男・軍縮会議日本政府代表部大使が首席代表として出席し,7日午前のハイレベル・セッションでステートメント(英語)(PDF)
を行った。同ステートメントの中で,これまでの我が国の不発弾対策支援の実績を振り返るとともに,我が国の不発弾対策支援のアプローチとして,今後とも(1)不発弾除去,(2)被害者支援,(3)危険回避教育の3点に重点を置いて,我が国として支援を継続する姿勢を表明した。
- (イ)我が国は,本年2月9日に,クラスター弾に関する条約に基づき実施してきた,我が国が貯蔵するクラスター弾の廃棄を完了したところ,貯蔵弾廃棄のセッションでステートメントを行い,義務の履行完了を報告した。
- (ウ)また,条約の普遍化のセッションでは,第5回締約国会議以降12か国・地域が新たに締約国となり,条約発効後初めてとなる検討会議を96か国・地域で迎えられることを評価しつつ,今後とも普遍化促進に積極的に取り組んでいく旨述べた。
- (エ)さらに,国際協力のセッションでは,クラスター弾を含む不発弾対策における我が国の協力について,不発弾除去,被害者支援,危険回避教育それぞれの具体例を挙げつつ紹介し,我が国の積極的な取組をアピールした。
2 評価
(1)「ドゥブロヴニク政治宣言」の採択により,クラスター弾に起因する苦痛,犠牲及び社会・経済的な影響がない世界の実現に向けた努力を継続するとの強い決意が確認された。また,「ドゥブロヴニク行動計画」では,普遍化,貯蔵弾廃棄,除去及び危険軽減教育,被害者支援,国際協力及び支援,透明性措置,国内実施措置の各分野において締約国が取り組むべき今後5年間の具体的行動が明らかにされた。
(2)我が国は,ハイレベル・セグメントにおける佐野軍縮代表部大使のステートメント及び国際協力のセッションにおけるステートメントにより,世界第二位の地雷・不発弾対策支援国としての貢献を国際社会に広くアピールすることができた。
(3)我が国の不発弾対策支援に関しては,被援助国を始めとする各国政府,国連,NGO等から高い評価の声が寄せられた。