生物・化学兵器
2015年生物兵器禁止条約(BWC)専門家会合
平成27年9月9日
1 概要
- (1)8月10日から14日まで,生物兵器禁止条約(BWC)専門家会合がジュネーブ(スイス)において開催され,我が国を含む締約国100か国が参加しました。また,署名国3か国(コートジボワール,シリア,タンザニア),未署名国1か国(ギニア),国連(国連軍縮部(ODA),1540委員会を含む),欧州連合(EU),国際赤十字委員会(ICRC),国際刑事警察機構(ICPO),国際赤十字赤新月社連盟(IFRC),化学兵器禁止機関(OPCW),国際保健機関(WHO),国際獣疫事務局(OIE)がオブザーバーとして参加しました。
- (2)今次会合では2011年12月に開催された第7回運用検討会議の決定を受け,1)国際協力・支援,2)科学技術の進展のレビュー,3)国内実施強化,の3つの常設課題と,条約第7条(防護の支援)の実施強化(2014,2015年)の課題について,締約国専門家,国際機関及び関連団体によるプレゼンテーションが行われたほか,バイオセキュリティの強化にかかる取り組みや生命科学分野のデュアルユース研究に対する国内措置等,種々のサイドイベントも行われました。
- (3)我が国からは,専門家として齋藤智也国立保健医療科学院健康危機管理研究部上席主任研究官・東京工業大学大学院総合理工学研究科連携准教授が参加しました。齋藤上席主任研究官は,日本のエボラ出血熱対応とその経験から得られた国際協力・支援にかかるBWCとも共有されうる教訓に関するプレゼンテーションを行いました。
2 評価
- (1)今次会合に,各国から政府関係者に加えて多数の専門家が参加し,上記4つの議題について,活発かつ率直な議論が行われたことは,条約の実施強化に向けた各国の積極的な姿勢を示すものであり,12月の締約国会合において更に議論が深まることが期待されます。
- (2)我が国は専門家によるプレゼンテーション実施により,エボラ出血熱を契機に見直した感染症準備態勢の維持・強化の必要性,国際保健規則で求められているコア・キャパシティを達成するための国際協力の重要性,発生国のみならず周辺国への支援の必要性,条約第7条実施にあたって派遣専門家のセーフティ・セキュリティの確保を検討する必要性等について参加者と認識を共有し,生物兵器使用による感染症発生は初期には生物兵器によるものか自然発生によるものかの区別が困難で,各国内また国際社会で様々な機関が協力して対応することが求められる中,BWCとしてどのように対応していくべきかという議論に貢献することができました。
3 今後の予定
今次会合の議論を踏まえ,12月(14日から18日)に締約国会合が開催される予定です。