軍縮・不拡散・原子力の平和的利用

平成27年1月19日
 2014年12月1日~5日,化学兵器禁止条約(CWC)第19回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され,我が国を含む締約国132か国が参加しました。また,未締結国であるミャンマー及びイスラエル(署名済み)がオブザーバーとして出席しました。我が国からは,辻優駐オランダ大使を団長とする代表団が出席しました。

1 概要

  • (1)ウズムジュ化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長は,ステートメントにおいて,国外搬出されたシリアの化学兵器の98%の廃棄の検証を完了した旨,化学兵器生産施設の廃棄等を含め,引き続きシリアの化学兵器の全廃に向けた取組を継続する旨述べました。また,全世界の申告済のストックパイル(保有)化学兵器の87%の廃棄が完了した旨述べるとともに,現在ミャンマーが条約批准につき議会の承認手続中であること等に触れ,非締約国の加入に向けた取組の進展について述べました。
  • (2)辻駐オランダ大使は,一般演説において,シリアの化学兵器の国外での廃棄プロセスが完了に近づいていることを歓迎するとともに,シリアにおける化学兵器の廃棄には未だ多くの課題が残されており,OPCWとして引き続き本件に密接に関与していく必要がある旨述べました。また,条約の国内実施強化,国際協力等の重要性について指摘しました。最後に,我が国がCWCに基づき実施している中国遺棄化学兵器の廃棄について,その成果を説明し,今後とも条約及び関連決定に基づき誠実に廃棄を実施していく旨述べました。
  • (3)ストックパイル化学兵器について,2011年の第16回締約国会議で採択された決議に基づいて保有国による廃棄の進展状況に関するブリーフィングが実施されました。
  • (4)執行理事会理事国(2015年5月12日から2年間の任期)の選出が行われ,アジア地域からは我が国,中国,インド,韓国,イラク及びサウジアラビアが選出されました。
  • (5)総額約6,932万ユーロ(対前年比-5.4%)の2015年予算が採択されました。

2 評価

  • (1)今次締約国会議においては,2013年9月から開始されたシリアの化学兵器廃棄に向けた国際的な取組の成果が確認されるとともに,シリアの化学兵器を含む化学兵器の全廃に向けたOPCWの努力の継続が再確認されました。このことは,化学兵器の軍縮・不拡散においてCWCが果たす役割の重要性を示すものです。
  • (2)我が国は,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。

3 今後の予定

 2015年においては,3回のOPCW執行理事会(3月17~20日,7月7~10日,10月6~9日)及び第20回CWC締約国会議(11月30~12月4日)が開催される予定です。


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