核軍縮・不拡散

平成28年9月24日

 20年前の9月24日に包括的核実験禁止条約(CTBT)が署名開放になったことを記念し,CTBTフレンズの6か国の外相により,以下のメッセージを発出した(英文(PDF))別ウィンドウで開く

核実験を確実に終わらせる時

ビショップ・オーストラリア連邦外相,ディオン・カナダ外相,岸田外相,クーンデルス・オランダ外相,ソイニ・フィンランド外相,シュタンマイヤー・ドイツ連邦共和国外相

50年以上の間,数千回にのぼる核実験が地表・地下・大気中・大気圏外・水中で実施された。各国は,核爆発の知識や核弾頭の設計を改良するために核実験を行った。それと同時に,核実験によって生じた放射能は,人々の健康や社会,環境に永続的な被害を与えた。

幸いにも,今日では,核実験は異常なことと見なされている。今世紀に入ってなお核実験を実施してきた唯一の国である北朝鮮が行った9月9日の核実験に対し,全世界から直ちに非難がなされた。これは,核実験が世界の平和と安全を弱めるという国際社会の確信を示している。しかしながら,核実験に対する事実上の規範は依然脆弱である。核兵器の危険を減らし,これら大量破壊兵器のない世界という目標に向け前進するために不可欠な条約である包括的核実験禁止条約(CTBT)が具現化する永続的で法的拘束力があり,かつ検証可能な禁止が早急に求められている。

国連総会での採択から20年が経過したものの,CTBTは依然として発効していない。CTBTが効力を持つために条約への参加が明確に必要な8か国(中国,エジプト,インド,イラン,イスラエル,北朝鮮,パキスタン,米国)が存在する。この行き詰まりが続く限り,核実験の法的拘束力のある検証可能な禁止という目標は実現されない。

我々は,CTBTの発効の実現という責任において結束し,最も高い政治レベルでこの条約の重要性についての認識を高めることを目指している。CTBTにより確立される核兵器の実験的爆発及びその他の核爆発の全面的禁止は,核兵器の開発や質的改良を制限することにより,共通の安全保障に不可欠であり及び核兵器の廃絶に向けた根本的なステップとなる。

我々は,この条約の普遍化に向けたこれまでの進展を歓迎し,各国が遅滞なくこの条約に参加するよう奨励する。この取組により,それらの国々は,核不拡散・核軍縮とともに国際的な平和と安全に対するコミットメントを明確かつ具体的に示すことができる。CTBTの発効は,核軍縮に関する核兵器不拡散条約(NPT)第6条の下での極めて重要な効果的措置となる。我々は,中東や南アジアといった地域については,これらの地域の緊張を緩和することに資する可能性のある方法として協調された批准を推奨する。

我々がCTBT発効の達成に向け活動している一方で,CTBTの強固かつ最高水準の検証システムは完成に近づいている。300か所以上の観測所や実験施設・,分析者,科学者や各国専門家で構成される世界的ネットワークは, 2006年,2009年,2013年及び2016年の2回の北朝鮮による遺憾な核実験に関する迅速な探知と詳細な情報提供により,すでにその価値を示している。

この重要な検証機能に加えて,国際監視制度は,地震,津波,核事故に関する正確かつタイムリーなデータを収集することに加えて,科学的研究のための研究機関が使用可能な類のないデータを提供すことにより大きな価値を有する。ウイーンのCTBT機関(CTBTO)により監督されるこの制度への積極的な関与によって全ての国々は利益を受ける。

核兵器の拡散防止や核軍縮の推進におけるこの条約の重要性のため,我々は,この目標を達成するよう全ての国が努力することを求め続けなければならない。本年9月21日,ニューヨークにおいて,我々は,第71回国連総会の機会に2年に1回の閣僚級会合を開催した。同会合に参加した閣僚は,CTBTが極めて重要であることを確認しその発効を求めた。本年が署名開放から20周年ということは,祝賀のための機会ではなく,むしろ追加的アクションを早急に取るべきという警鐘である。

今は,我々は20年前に始めた取組を終える時である。我々は,核実験の終了をもたらすための国際社会の断固たる決意を確実にするためのステップをとらなければならない。特に,条約の発効のために署名・批准が求められている国々が遅滞なく署名・批准することが求められる。CTBTの発効はグローバル・ゼロ,すなわち,核兵器のない世界であり,また,全ての国家や人類にとってより安全な世界,に向けた重要なプロセスである。



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