国連外交

平成26年9月29日
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1.概要

 本件会合は,昨年の国連総会で採択された決議において,9月26日が「核兵器の全面的廃絶の国際の日」と指定することが決定されたことを受け,核兵器廃絶に向けた国際社会の認識を喚起するために国連の主催で開催された。
 本件会合は,クテサ国連総会議長が議長を務めた。イラン,コスタリカ,カザフスタン,オーストリアなどから外相が出席し,我が国を代表して,岸田外務大臣が出席し演説(日本語(PDF)英語(PDF))を行った。また,国連からは,ケイン国連軍縮担当上級代表が出席した。

2.岸田外務大臣の演説のポイント

  • (1)世界に依然として16,000発以上の核兵器が存在し,北朝鮮やイランの核不拡散や,テロリスト集団等による違法な拡散活動の懸念が高まる中で, その対処のためには「非人道性についての正確な認識」と,「多様化する核リスクに直面していることへの冷静な認識」の2つの認識を基礎に置くべき。
  • (2)こうした認識の上に,世界が核兵器の数,核兵器が果たす役割及び核兵器を保有する動機の低減という3つの低減とともに,新たな核兵器国出現,核兵器に寄与しうる物資・技術の拡散,核テロという3つの阻止に向けて取り組むことが必要。
  • (3)日本は,軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)を通じて,NPT体制を強化のために,積極的に取り組んでおり,本年4月には被爆地広島でNPDI外相会合を主催し,「広島宣言」を発出。被爆の実相を知るために,世界の政治指導者たちにも広島・長崎の訪問を呼びかけたい。引き続き,核軍縮を着実に進展させるべく,ブロックを着実に積み上げる努力を重ねる所存。
  • (4)来年は,原爆投下から70年の節目の年であり,また,NPT運用検討会議が開催。NPDIとして,積極的な貢献を行う。

3.評価

  • (1)昨年の国連総会決議での採択以降,初となる「核兵器の全面的廃絶の国際の日」を記念する行事であったが,多くの国やNGOが参加し核廃絶に向けた意識を高める上で有益な機会となった。
  • (2)唯一の戦争被爆国である我が国から岸田外務大臣が出席し,国際社会や市民社会に対して,我が国の「核兵器のない世界」に向けた考え方や,来年のNPT運用検討会議に向けた我が国及びNPDIの決意を示すことができたことは有意義。

(参考)核兵器の全面的廃絶のための国際の日
 昨年の国連総会に非同盟運動(NAM)が提出し,採択された決議(68/32)において,9月26日が「核兵器の全面的廃絶の国際の日」と指定することが決定された。


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