よくある質問集 外務省ホームページ
ASEM
- 問1 「ASEM」とは何ですか。
- 問2 ASEMにはどのような国が参加していますか。
- 問3 ASEMはどのような経緯で成立しましたか。
- 問4 ASEMにはどのような特徴がありますか。
- 問5 ASEMはどのような仕組みになっていますか。
- 問6 ASEMの事務局はどこにありますか。また、ASEMはどのように運用されていますか。
- 問7 ASEMはどのような成果を出してきていますか。
- 問8 ASEMはなぜ日本にとって重要なのですか。
- 問9 ASEFとはどのような組織ですか。
- 問10 ASEMは、「政治の柱」において、どのような活動を行っていますか。
- 問11 ASEMは、「経済の柱」において、どのような活動を行っていますか。
- 問12 ASEMは、「社会・文化その他の柱」において、どのような活動を行っていますか。
問1 「ASEM」とは何ですか。
「ASEM」とは、「Asia-Europe Meeting」の略称で、日本語で「アジア欧州会合」といいます。相互尊重と平等の精神に基づき、アジア・欧州両地域の協力関係を強化することを目的として、政治、経済、社会・文化その他の3つの柱を中心として、様々な活動を行っています。
問2 ASEMにはどのような国が参加していますか。
ASEMはアジア側参加メンバー(21か国と1機関)及び欧州側参加メンバー(30か国と1機関)の合計51か国と2機関によって構成されています(2017年2月現在)。
なお、それぞれの内訳は以下のとおりです。
- アジア側
- :日、中、韓、ASEAN10か国、モンゴル、インド、パキスタン、露、豪、ニュージーランド、カザフスタン、バングラデシュ、ASEAN事務局
- 欧州側
- :EU28か国、欧州委員会、ノルウェー、スイス
問3 ASEMはどのような経緯で成立しましたか。
ASEMの成立の背景には、1990年代の新たなグローバル化の流れと21世紀への展望の中で、それまで地域間の交流が盛んであったとは言えなかったアジアと欧州の両地域に、2地域間の関係が強化されるべきであるという認識がそれぞれにあったことがあります。
1994年10月に、シンガポールが当時の次期EU議長国フランスに対して提案し、その提案を受けたフランスがEU各国に働きかけた結果、1996年3月にバンコクで「アジア欧州会合第1回首脳会合」が開催され、ASEMが成立しました。
2016年3月、ASEMは設立20周年を迎え、同年7月にウランバートルで行われた第11回首脳会合において、第1回首脳会合が開催された3月1日を「ASEMの日」とすることが決定されました。
問4 ASEMにはどのような特徴がありますか。
ASEMには以下の4点の特徴があります。
- 非公式性
アジアと欧州の各国が、政治的、経済的又は社会・文化的な共通の関心事項について、形式にとらわれずオープンに議論ができる。 - 多次元性
アジアと欧州という二つの地域間の共通の関心事項の全てについて、同等の重点が置かれている。 - 平等なパートナーシップの強調
援助国と被援助国という「上下関係」ではなく、相互尊重及び相互利益に基づく対話や協力が重視されている。 - 首脳レベル及び国民レベル双方の重視
各国家の首脳同士の交流及び国民同士の交流の双方が重視されている。
問5 ASEMはどのような仕組みになっていますか。
ASEM首脳会合を頂点として、外相会合、経済閣僚会合、財務大臣会合及びその他の閣僚会合並びに各分野での実務者レベルの会合が開催されてきています。
ASEM首脳会合は2年毎に開催され、政治、経済、社会・文化、その他の幅広い課題について、率直に意見交換し、また、ASEMへの新規参加など、ASEMの枠組み全体に関わる事項についてASEMとしての意思決定を行っています。
ASEM外相会合は、首脳会合が開催されない年に開催されています。外相会合では、政治、経済、社会・文化その他の3つの柱に加え、首脳会合の付託を受け、ASEMの枠組み全体に関わる包括的な課題について議論を行っています。
問6 ASEMの事務局はどこにありますか。また、ASEMはどのように運用されていますか。
ASEMには常設の事務局は存在しません。その代わりに、アジア・欧州それぞれから2か国ずつ合計4か国が調整国としてASEMの様々な活動を運用しています。アジア側はASEAN参加国グループと北東・南アジア(NESA)グループそれぞれから選ばれた1か国ずつが、欧州側はEU議長国と欧州委員会が、それぞれ調整国を務めます。
問7 ASEMはどのような成果を出してきていますか。
ASEMは主に以下の3点で成果を出してきています。
- ASEM設立以前には存在しなかった、アジア・欧州の各国が、両地域に共通する関心事項全般について対話ができる場を創出しました。これにより、グローバル化への対応、地域間のビジネスの拡大、市民間交流を通した相互理解の促進などに寄与しました。
- ASEMは非公式な枠組みであるため、オープンで包括的な対話が促進されました。これにより、ASEMは、参加者が将来の政策立案に関する議論ができる場、公式の場での多国間協議の事前協議ができる場、及びアジアと欧州がそれぞれの経験と知識を交換できる場となりました。
- ASEMはアジアと欧州地域の既存の関係を補完してきました。アジア欧州両地域間全体の触媒となり、二国間関係や市民間交流等他のレベルの関係を促進してきました。
問8 ASEMはなぜ日本にとって重要なのですか。
ASEMは主に以下の2点において日本にとって重要です。
- アジアと欧州が、今日の国際社会で増大しつつある役割と責務を認識し、グローバルな課題に共に対応するためのパートナーとして、ASEMを通じて対話と具体的な協力をさらに進展させることができます。これにより、様々なグローバルな課題に積極的に取組んでいる我が国にとっても、既存のグローバルな枠組みや地域協力の枠組みを補完することができます。
具体的には、地域情勢やテロ等の安全保障上の脅威について一致して協力していく方針について意見交換を深めています。経済分野では、環境問題やエネルギー安全保障を含む持続的な開発についての協力も進展しています。また、多様な文化的・歴史的背景を持つASEM各国家間で文化と文明間の対話を進めるための様々な取り組みが行われています。 - 日本がアジアと欧州の間の調整について積極的な役割を果たすことで、ASEMをアジアと欧州の相互の関心と理解を深める場とするとともに、アジア側参加各国間の協力関係を強化し、将来の共同体形成も視野に入れたアジア地域での開かれた地域主義の実現にも寄与することができます。
日本は、2005年5月に第7回ASEM外相会合を開催するなど、ASEMプロセスに熱心に取り組んできており、今後ともアジア・欧州間の対話と協力の深化のため積極的に貢献していく考えです。
問9 ASEFとはどのような組織ですか。
「ASEF」とは、「Asia-Europe Foundation」の略称で、日本語で「アジア欧州財団」といいます。ASEM唯一の常設機関であり(在シンガポール)、社会・文化その他の分野において、2地域間の文化的交流、知的交流、人的交流及び広報活動を促進するための活動を行っています。
2017年2月、ASEFは設立20周年を迎えました。
問10 ASEMは、「政治の柱」において、どのような活動を行っていますか。
ASEMは、アジア・欧州両地域共通の関心事項についての対話が行われ、宣言等の文書が発出される特別な場となっています。その関心事項は、その時々の国際情勢に応じて、主要な地域情勢、安全保障及び国連を含む国際秩序等様々ですが、近年では特に、テロリズム、海洋の安全保障、エネルギー安全保障、防災、移民問題等のグローバルな課題が採り上げられてきています。また、ASEMは形式にとらわれない非公式会合であるため、民主主義、人権、法の支配、言論の自由等、機微な課題についても自由な意見交換が行われてきています。
問11 ASEMは、「経済の柱」において、どのような活動を行っていますか。
ASEMにおいては、グローバル化と持続可能な開発に焦点を当てつつ、アジア・欧州間の経済・金融分野での協力関係の更なる発展や、気候変動問題を始めとする環境問題等グローバルな課題への取組みについて議論が行われてきています。また、例えば、アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF)との連携のように、民間部門との対話の促進も進めてきています。
問12 ASEMは、「社会・文化その他の柱」において、どのような活動を行っていますか。
ASEMでは、アジアと欧州のより深い相互理解のためには、2地域間の文化的つながりの強化、特に市民間の緊密な交流の促進が必要だとされ、文化、芸術、教育の各活動や両地域の若者や学生の交流を支援してきています。