5月21日,岡田外務大臣は,訪日中のクリントン国務長官との間で日米外相会談(16時25分から約70分間)を行ったところ,概要以下のとおり。
1.日米関係
- (1)総論
- 岡田大臣から,訪日を歓迎する,本年1月,3月の日米外相会談に続き,二国間関係をはじめ,地域やグローバルな課題について,中身の濃い議論を行いたい,特に,本日は,韓国哨戒艦沈没事案や,中国の問題,イランの核問題に重点を置いて議論したい旨述べた。クリントン長官から,日米同盟が50周年を迎えることは米国及びオバマ政権にとって重要な事実であり,日米関係を更に強化し,今後50年に向けて更に高いレベルに引き上げたい旨述べた。
- (2)普天間飛行場移設問題
- 岡田大臣より,本日も日米実務者協議が行われた旨言及しつつ,日本側の考えを説明した。引き続き日米間で精力的に協議が行われており,5月末の決着に向けて,日米双方で更に努力することで一致した。
- (3)子の親権問題
- クリントン国務長官から,子の親権問題につき提起があり,岡田大臣より,ハーグ条約締結の可能性については,様々な論点につき検討を行っており,できるだけ早く結論を得たい旨述べた。
2.アジア太平洋地域
- (1)韓国の哨戒艦沈没事案
- 岡田大臣から,昨20日,韓国が発表した調査結果を踏まえ,我が国として,1)韓国支持,2)北朝鮮の行為に対する非難,3)日米韓の緊密な連携・協力,を柱とする総理コメントを発出し,19日,鳩山総理は李大統領との電話会談で,日韓両国が貴国とともに緊密に連携していくことを確認した旨紹介し,今後,北朝鮮の反応等によっては,様々なシナリオが想定されるが,クリントン長官と引き続き緊密に協力したい,今後,北朝鮮によるさらなる挑発行為の可能性をも念頭に,日米間で,警戒態勢を高めると共に,外交,防衛,インテリジェンス面での協力を一層強化していきたい旨述べた。
クリントン長官から,本件を非常に懸念している旨述べ,鳩山総理のコメントに感謝する,韓国の46名の水兵の命を奪った北朝鮮の行為は休戦協定に違反するものであり,強く非難する旨述べ,日米韓が緊密に連携していくことで一致した。 - (2)中国
- 今回の訪日後,中国を訪問するクリントン長官に対し,岡田大臣から,先般の日中外相会談,日中韓外相会議に触れつつ,現下の日中関係等につき説明した。
クリントン長官から, 米中戦略・経済対話に臨むにあたっての米側の考え方につき説明があり,引き続き,日米で緊密に意見交換していくことで一致した。 - (3)地域のアーキテクチャー
- クリントン国務長官から,米国のアジアへの関与への強いコミットメントが示され,米国の基本的な考え方について紹介があった。岡田大臣から,オバマ政権が,EASを含め,東アジアの関与を強化する姿勢を示していることを歓迎する旨述べた。また,両外相は2010~2011年に両国が議長を務めるAPECについても協力していくことで一致した。
- (4)東南アジア情勢
- このほか,タイ情勢及びミャンマー情勢につき意見交換を行い,引き続き日米が緊密に連携して行くことで一致した。
3.グローバルな課題
- (1)イラン
- 今般のイランとトルコ・ブラジルの合意の展開は注視する必要があるが,イランは約20%のウラン濃縮活動の継続を公言するなど,懸念すべき状況は変わりないことで認識が一致した。岡田大臣から,新たな安保理決議に向けた議論において,我が国としての役割を積極的に果たしていく旨述べた。
クリントン国務長官より,イランの核問題への対処にあたって,日本の役割は重要である旨述べ,両大臣間及び両国の国連常駐代表間で緊密に連携することを確認した。 - (2)気候変動
- 両大臣は,「コペンハーゲン合意」を踏まえ,メキシコ・カンクーンで開催されるCOP16に向けて日米で引き続き緊密に協力していくことを確認した。