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平成20年5月30日
(1)全体会合
(イ)5月28-30日、横浜において第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)が開催された。「元気なアフリカを目指して-希望と機会の大陸」との基本メッセージの下、経済成長の加速化、人間の安全保障の確立及び環境・気候変動問題への対処を重点事項として、アフリカ開発の方向性について活発な議論が行われた。
(ロ)41名の国家元首・首脳級(ジャン・ピンAU委員長を含む)を含むアフリカ51カ国、34カ国の開発パートナー諸国及びアジア諸国、74の国際機関及び地域機関の代表並びに民間セクターやNGO等市民社会の代表等3000名以上が参加し、TICAD IVは我が国外交史上類を見ない大規模な国際会議となった。
(ハ)本会合は福田総理が全体議長を務め、開会式の基調演説において我が国の対アフリカ支援策を発表し、対アフリカODAの倍増、対アフリカの民間投資の倍増支援等を打ち出した。また、我が国の現職総理として最初にアフリカを訪問し、TICAD III時に議長を務めた森元総理が全体会合の審議をとり進めた。
(ニ)最終成果物として、今後のアフリカ開発の取組・方向性に関する政治的意思を示す「横浜宣言」、同宣言に基づき今後のTICADプロセスの具体的取組を示すロードマップである「横浜行動計画」、TICADプロセスの実施状況の検証を行うための「TICADフォローアップ・メカニズム」の三つの文書が発出された。また、TICAD IVで行われた議論の内容を総括した「TICAD IV議長サマリー」が全体議長である福田総理の下、まとめられた。
(ホ)参加者からは、TICAD IVにおいて表明されたアフリカの声が1ヶ月後に開催される北海道洞爺湖サミットの議論に反映されることに対する強い期待が表明され、福田総理はその決意を表明した。
(2)個別会談等
(イ)全体会合と並行して、福田総理は、40名の首脳級参加者全て及びAU委員長並びに6名の個人招待者等47名との間で個別会談を行うとともにアフリカ諸国の首脳との間で昼食会を行った。
(ロ)また、高村外務大臣は、首脳級参加者、国際機関代表及び個人招待者等23名と個別会談を行い、アフリカ諸国の外相との間で昼食会を行った。更に、森元総理、小野寺外務副大臣、中山外務政務官も多くの個別会談を行った。
(ハ)これらの会談等では、アフリカ開発、地域情勢、国連安保理改革等、幅広いテーマにつき意見交換を行い、短期間で記録的な規模のハイレベルによる交流が行われた。
(3)その他の会議・行事等
(イ)27日には、高村外務大臣を議長として閣僚級事前会合が行われ、閣僚レベルで成果文書についての議論を深め、翌日よりの本会合に備えた。
(ロ)28日には、野口英世アフリカ賞授賞式・記念晩餐会が天皇・皇后両陛下ご臨席の下行われ、グリーンウッド博士とウェレ博士に第一回野口英世アフリカ賞が贈られた。
(ハ)28日、29日には、母子保健等に関して総理夫人主催のワーキングランチを含む様々な夫人プログラムが行われ、総理夫人と各国首脳夫人との友好が深まった。
(ニ)29日には、世銀、FAO、WFP、IFAD主催による食料価格高騰に関するハイレベル・パネルディスカッションが行われ、福田総理、高村大臣が出席、食料価格高騰問題への対応が議論された。
(ホ)30日には、アフリカよりの首脳級出席者及び同伴夫人が宮中お茶会に参加し、天皇皇后両陛下に御拝謁した。
(ヘ)その他数多くのイベント、レセプションが行われた。
(1)アフリカ各国からは、これまでのTICADプロセスの貢献を評価する旨の発言が相次いだ。「元気なアフリカを目指して」というテーマや議論の重点事項も時宜にかなった適切なものであるとして高い評価を受けた。TICADはアフリカ開発を扱う世界最大級の政策フォーラムとして、その役割を果たすことができた。
(2)また、横浜行動計画に共催者、開発パートナー諸国のみならずアジア諸国及び国際機関からの支援策を具体的に盛り込むなど名実ともに国際社会の知恵と資金を結集することができた。
(3)本会合に参加したアフリカ首脳級の出席者数は、前回をはるかに上回る40名にのぼり、アフリカ諸国のTICADプロセスに対する高い期待感が明確に示された。また、全体会合の場には欧州・アジア諸国からもハイレベルの参加があり、今次会合に対する国際社会の関心の高さがうかがわれた。また、数多くの国際機関のトップも参加した。TICADが15年の歴史を経て、アフリカ開発に関する真の国際的プラットフォームとしての地位を確立できた。
(4)対アフリカODA倍増や対アフリカ民間投資倍増支援等の我が国が打ち出したイニシアティブに対して、各国首脳から歓迎する、高く評価する等の発言が相次ぎ、ドナー諸国や個人招待者として参加したボノ氏等からも、素晴らしいとの発言があった。
(5)福田総理がTICAD IVに参加するために訪日した40名の元首・首脳級参加者すべて及びAU委員長並びに6名の個人招待者等と個別に会談をもつことができたことは、TICAD IVの成功に大きく寄与した。首脳会談によって我が国とアフリカ諸国の良好な関係が確認された。
(6)各種のセミナーやシンポジウムなどのイベントやレセプションを通じて、アフリカのハイレベルの代表団と我が国国民各層との交流が深まった他、これらの開催を通じて我が国におけるアフリカに対する理解が深まった。