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TICADIV 議長サマリーの概要
平成20年5月
1.概観
(1)2008年5月28日から30日まで51カ国のアフリカ諸国、74の国際機関・地域機関、の代表、G8及びアジアを含む34のパートナー諸国、民間セクター、市民社会、著名人の参加を得て、第4回アフリカ開発会議(TICADIV)が横浜に於いて開催された。
(2)福田総理は、開会式における基調演説において、ODA倍増や投資倍増支援等今後のアフリカ支援に関するイニシアティブを発表した。AU議長国を務めるタンザニアのキクウェテ大統領から日本のアフリカ支援に対するコミットメントを評価し、日本との貿易・投資への期待が表明された。
(3)TICADプロセスが国際社会の関心とコミットメントを結集するために果たす重要な役割が再確認され、成果文書として横浜宣言が採択され、横浜行動計画及びTICADフォローアップメカニズムが発表された。また、G8北海道洞爺湖サミットにTICAD IVの結果を提示するという日本のコミットメントを示した。
(4)野口英世アフリカ賞の第一回授賞式が天皇皇后両陛下ご臨席の下行われ、医学研究と医療・保健活動の推進に貢献するとして第一回授賞が歓迎され、この賞の一層の発展が期待された。また、会議と並行して夫人プログラムが実施され、母子保健等につき意見交換がなされた他、多くのセミナーやシンポジウムが開催された。
2.開発課題
(1)経済成長の加速化
- アフリカの順調な経済成長について共通理解
- 平和、グッド・ガバナンス、人権の尊重、法の支配は持続的成長の前提
- 経済成長と感染症、教育、食料・燃料価格高騰、気候変動、環境問題等の関連を再確認
- 後発開発途上国、内陸発展途上国、島嶼国に対する特別な配慮の必要性
- 技術移転、官民連携、南南協力、三角協力に関する共通認識形成
(イ)インフラ
- 道路、港湾、電力等のインフラの重要性、貿易・投資、ICTへのアクセス拡大の重要性を確認
- 貧困層のためのインフラ、インフラの維持管理、承認プロセスの迅速化
(ロ)貿易・投資・観光
- 民間セクターの重要性、投資拡大のための官民連携、投資倍増支援基金への歓迎
- 農産品への付加価値の付与、特に雇用との関係
- ドーハ開発ラウンドの早期・公平・バランスのとれた妥結への期待
- 中所得国、供与条件緩和への注目
- アフリカ・シンポジウムやアフリカン・フェアを開催
(ハ)農業及び農村開発
- 経済成長、食料安全保障のための農業及び農村開発の重要性
- 食料価格高騰問題対応の重要性、日本の緊急食料支援を歓迎
- 食料価格高騰に関するハイレベル・パネル・ディスカッションの開催
- 農業生産性の向上と南南協力、三角協力
- 農村開発の重要性、女性の経済的エンパワメントを強調。
(2)人間の安全保障の確立
(イ)コミュニティ開発
- TICADのMDGs達成に向けた貢献を評価。参加型のアプローチの重要性、MDGs関連の課題がG8北海道洞爺湖サミットで議論されることを期待。
- 金融支援、債務削減、農業生産性向上、失業及び頭脳流出への考慮、ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトはよきモデルと指摘
- 分権化を進め、女性の能力を向上させる点を含め一村一品運動の重要性の強調
(ロ)教育
- 「万人のための教育」実施、教育の質向上とアクセス改善
- 学校建設、人材育成の重要性を強調
- 職業技術教育、中高等教育及び研究の推進が重要と認識。科学技術にも留意。
(ハ)保健
- 政治的リーダシップの必要性、マルチ・セクター・アプローチ、結果重視型、アフリカのオーナーシップ尊重
- 市民社会との連携強化
- 課題の優先順位付け、母子保健改善、エイズ・結核・マラリア等感染症対策の強化
- 保健システム強化、感染症対策がバランスよく包括的に行われる重要性の確認
(3)平和の定着とグッド・ガバナンス
(イ)平和の定着
- アフリカの平和の進展を強調、平和の配当が全人口に行き渡ることを重視
- 安全確保のためのアフリカのオーナーシップとAUのイニシアティブを歓迎
- 継ぎ目のない支援の重要性を強調
- TICADプロセスの貢献を評価、各国に支援継続を要請。平和構築委員会の設立を歓迎。
- 紛争予防、リスク管理の重要性を強調
- 市民社会の重要性及び若者の失業対策の重要性を強調
(ロ)グッド・ガバナンス
- APRMを成功例と認識。UNDPのAPRMへの貢献を歓迎。行政、立法、司法、公務員、選挙実施機関の能力向上を強調。人権の保護も重要。
(4)環境・気候変動問題への対応
- 気候変動に脆弱なアフリカ諸国への支援の必要
- 持続可能な開発のための教育の重要性を認識
- 適応・緩和・クリーンエネルギーへのアクセスが重要
- コンゴ盆地を含む森林保全・砂漠化防止等への具体的対応の必要性
- 京都議定書におけるクリーン開発メカニズム(CDM)改善の必要
- 洪水等の早期警戒体制構築
- アフリカ諸国は、日本の「クールアース推進構想」を評価。「日・アフリカ・クールアース・パートナーシップ」を歓迎。
- 水と衛生の重要性を指摘
(5)パートナーシップの強化
- 南南協力に資するアフリカ開発に係る戦略的パートナーシップの拡大への努力支持
- アジア・アフリカ協力に関するJICAシンポジウム開催。今後のアフリカ・アジア・ビジネスフォーラム開催を歓迎。今後の更なるアジア・アフリカ協力推進についての期待。
- AU・RECs等を通じたアフリカ域内協力、官民連携の重要性について確認
- アフリカ開発のフロンティア、市民社会との対話推進の強化