日本の領土をめぐる情勢

平成24年11月9日

尖閣諸島 Senkaku Islands

ポジション・ペーパー:尖閣諸島をめぐる日中関係

1.冒頭

・日本は隣国である中国との関係を重視してきている。1972年の国交正常化以降,日本は中国の改革開放政策を一貫して支持し,国際社会において大きな役割を果たすように協力するとともに,二国間関係の発展に努めてきている。特に,経済面では,中国の対外開放政策が進められる中で,日本は率先して援助や投資を行う等,大きな貢献を果たしてきている。1979年以降,日本が450億ドルものODAを供与したのも,そのような中国の役割を重視してきたからである。また,中国のWTO加盟も強く後押しした。

2.中国による現状変更の試み

・残念ながら,現在,日本の領土である尖閣諸島をめぐって日中関係には緊張が生じている。

・中国は近年,とりわけ2008年以降,この島の周りでの活動を活発化させてきている。このような動きを受け,本年4月には石原・東京都都知事が島を購入して各種構築物を建設する計画を公表した。尖閣諸島が我が国固有の領土であることは,歴史的にも国際法上も疑いのないところであるが,日本政府は大局的観点から,日中関係への悪影響を可能な限り小さくするため,島を購入し,日本国内の民法上の所有権を,民間人から国に移した。

・しかしながら,中国側はこれに過剰に反応している。島の周辺海域に政府船舶を派遣し,領海への侵入を繰り返している。中国各地では大規模な反日デモが発生し,日本人に対する暴力行為,日本企業に対する放火,破壊,略奪がなされた。いかなる理由であれ,暴力行為は決して許されるものではない。また,中国政府は,日本は第二次世界大戦の敗戦国であり,戦勝国の意思に反して戦後の国際秩序を壊そうとしているといった,尖閣諸島とは全く関係のない,事実に反する議論も持ち出している。

・日本は,力による現状変更,暴力行為,そして国民感情を逆なでするような宣伝に反対する。

3.アジア太平洋における日本の政策

・尖閣諸島が日本の領土であるという日本の基本的立場は不動である。現に日本が同諸島を有効に支配している。日本の同盟国である米国は,日米安保条約第5条に基づき日本の施政下にある尖閣諸島の防衛に完全にコミットしている

・同時に,日本は大局的観点に立って冷静に対応していく。緊張緩和のために中国政府とのコミュニケーションを続けていく用意がある。

・日本は第二次世界大戦後,一貫して平和愛好国家としてアジアの平和と繁栄に大きく貢献してきた。これは国民に支持された日本の国是であり,今後とも変わらない。アジア太平洋地域の責任ある民主主義国家として,引き続き地域の平和と繁栄のために貢献していく考えである。

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