アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
午前10時、赤坂のJETRO本部で、島国の首脳、森元総理、御法川大臣政務官の出席を得て、第5回太平洋・島サミットの公式行事である、「太平洋諸島展 2009」のテープカットが行われました。「太平洋諸島展」は「太平洋・島サミット」の恒例行事として定着していますが、これまでの「太平洋諸島展」は貿易と投資の促進を主な目的としていました。今回は、文化交流の側面も強調すべく、太平洋諸島センターと在京大使館が中心となって準備した、「ビバ・パシフィック・アイランダーズ」
も赤坂のアークヒルズで同時に開催されました。島国の物産を紹介すると共に、歌やダンスなど島国の文化も紹介されました。クック諸島からは2名のダンサーが招待され、在京パプアニューギニア大使館の招聘したダンシングチームや映画「フラガール」で一躍有名になった「スパリゾートハワアイアンズ・ダンシングチーム」
の協力を得て、島国の様々なダンスが紹介されました。
また、会場には、島国から日本への留学生40名程が集まり、各国のブースで母国の首脳と挨拶をかわしました。
午後3時、宮殿内にて御茶会が開かれ、島国の首脳御夫妻は天皇皇后両陛下、皇太子殿下等とご歓談されました。
担当は、島国のマスコミ関係者十数名に同行し、御茶会の始めの部分と御茶会終了後の天皇皇后両陛下によるお見送りの取材に立ち会いました。
マスコミ関係者が待機する会場「連翆」にタランギ議長夫妻を先頭とする島国の首脳御夫妻が入場して整列しました。首脳御夫妻の整列後、天皇皇后両陛下、皇太子殿下、皇族の方々が入場し、御挨拶されました。御挨拶が済むと御歓談となりましたが、こうした取材の決まり事で三分後にはマスコミ関係者は退場となり、お見送りが行われる「南車寄」に移動しました。
島国のマスコミ関係者は、宮殿内での取材に緊張したためか、取材終了後は一転して観光客気分となり、自分たちの記念撮影をしたいと言い出しました。宮中の取材終了後によくあることです。取材規則の厳しい皇居内ではありますが、宮内庁の担当者の御配慮もあって、マスコミ関係者は、富士見櫓や宮殿を背景にゆっくりと記念撮影を行うことができました。
午後7時、港区麻布台の飯倉別館で外務大臣夫妻主催のレセプションが行われました。島国の首脳御夫妻、在京大使、島国の友好議員連盟に所属する国会議員の方々、有識者の方々に加え、日本でラグビー選手として活躍している若者達も招待されました。
中曽根大臣が挨拶し、24年前に御父君の中曽根総理(当時)の秘書官としてパプアニューギニアを訪問した際に、当時のソマレ・パプアニューギニア首相にお会いしたが、今日もまたソマレ首相にお目にかかれて大変喜ばしいと述べると、会場の招待客は、ソマレ首相の長期にわたる政治家としての職歴に感嘆していました(ソマレ首相は現在4回目の首相を務めています。)。
島国の首脳御夫妻、随行員、在京大使館関係者、日本政府関係者131名は、午前9時30分、羽田発のチャーター便で北海道とかち帯広空港に向かいました。担当も急流に巻き込まれるように機内の人となりました。島国の首脳が宿泊しているホテルからバスに乗ったのが午前8時。寝過ごしてはいけないと、徹夜明けで、座席に座ったとたんに睡魔に襲われました。政府関係者のほとんどが同じような状況で、バスの中で寝られたのは、そのまま事務所で働くよりはましなようでした。
空港到着は午前10時56分。このあたりの分刻みの時間付けはこうした行事の決まり事です。出迎えは橋本副大臣と帯広市の小学生、113人。子供達が小旗を振る中、タランギ議長を始めとする一行はタラップを降り、バスでトマムへ向かいました。バスの上空には、警備のためでしょうか、ヘリコプターがバスの動きに会わせて飛行していました。天気はあいにくの小雨模様。バスが占冠村に入ると、住民の皆さんが沿道で出迎えてくれ、旗を振ったり、手を振ったり、小さなお子さんからお年寄りまで、とても暖かい雰囲気の出迎えでした。疲れ気味の一行も、微笑みながら、歓迎に応えて手を降っていました。同行した島国のマスコミ関係者は小型のムービーで住民の皆さんの出迎えを撮影していました。
午後12時28分、タランギ議長一行は会場であるアルファリゾート・トマムに到着しました。担当にとっても、雪のないトマム(山頂は未だ白いのですが)は初めてです。首脳一行の宿舎であるガレリアタワーの玄関で出迎えてくれたのは、高橋はるみ北海道知事、小旗を手にした住民、そして巨大な雪だるま、それも2体。この雪だるまは、ホテルの従業員がトマム山頂に貯蔵していた雪で製作したもので、高さ2メートル、重さ3トン、迫力の立ち姿で、前に立つ警護官が小さく見えました。島国の首脳も御夫人方も随行員も、驚いて、恐る恐るといった風情で雪だるまに手を触れていました。
島国首脳は、歓声を上げる子供達に近づき、手を差し伸べました。
担当のトマムでの担当分野は二国間会談。ガレリアタワーの作業室(「サブ室」)で準備開始です。サブとはサブスタンスの略語で、今回のサミットの協議内容や二国間会談の内容について準備するための作業室です。北海道庁の職員の方からも準備作業の側面支援をしていただきました。この間に麻生総理が到着し、午後2時30分から打合せです。
トマムで最初のトラブル発生!総理が到着するとエレベーターがブロックされ、二国間会談の会場である30階に上がれないのです。機転を利かせた関係者が従業員用のエレベーターを発見し、会談への出席者も裏口から入場。ルームサービスのワゴンを押したホテルの従業員も通用路に突然現れたダークスーツの一団に驚かされたようでした。準備が整うと、ソロモン諸島、サモア独立国、ナウル共和国、ツバルの順で立て続けに会談が行われました。テーブルに置く国旗を取り替えるのも一作業です。会談の中で、スティーブン・ナウル大統領が、ナウルのような小さな島国に対してまでこうして個別の会談の機会を設けていただいてことは光栄であり、ご配慮に感謝しますと述べていたのがとても印象的でした。
二国間会談は、本会合の休憩時間等も活用し、マーシャル諸島共和国、トンガ王国、クック諸島と順次実施され、最近訪日されたミクロネシア連邦とパラオ共和国の大統領も晩餐会で麻生総理と同席し、麻生総理は、全ての島国の首脳と親しく話す機会を持ちました。
天気によってどのように行事を行うか、晴れの場合が「晴儀」、雨の場合が「雨儀」と言われています。雨模様のこの日の天気は決断が難しいところです。幹部職員は何度も何度も窓から外を眺め、上空を仰いで考え込んでいました。結論は屋外での撮影。麻生総理の決断もあったと聞いています。トマムの山と木々を背景として良い写真が撮れました。北海道まで来て屋内での撮影では残念です。首脳達が羽織った「はっぴ」の青は島国の海と空の青を象徴しているのでしょうか。
第5回太平洋・島サミットは、22日の午後に第一セッション「環境、気候変動問題」、23日の午前に第二セッション「人間の安全保障の視点を踏まえた脆弱性の克服」と第三セッション「人的交流の強化他」で協議(概要と評価にリンク)が行われ、閉会セッションにおいて、麻生総理が今後3年間で500億円規模の支援を行うことを表明し、「北海道アイランダーズ宣言」が採択されました。
首脳会合が行われている一方で、22日の午後と23日の午前に夫人プログラムが実施されました。占冠村コミュニティ・プラザで首脳夫人一行を出迎えた約40個の「ミニ雪だるま」は占冠村の子供達が冬の間に作って保存しておいたものだそうですが、予想外の暖かさに雪だるまが溶け出し、目鼻が落ちたり、旗が倒れたり、占冠村のスタッフは補修するのに一騒ぎだったそうです。
夫人プログラムの内容は、22日が「着物の着付け体験」、「着物モダン・リメイク・ファッションショー」、「茶道体験」等、23日が「アイヌ舞踏体験」、「巻き寿司体験」等で、移動には環境に配慮したトヨタの燃料電池ハイブリッドバスが用いられ、島国の首脳夫人やマスコミ関係者の関心を呼んでいました。
ミクロネシア連邦のモリ大統領夫人は、「着物の着付けは初めての体験で大変興味深く、とても楽しかった。麻生総理夫人から、着物をお召しになると日本人のように見えますね、と言われました。」と嬉しそうに感想を話されていました。
午後7時37分、ニニヌプリ・レストランで総理主催晩餐会が催されました。この日の料理(PDF)は鷲野 高(わしの たかし)トマム総料理長が北海道産の食材の色や香りに気を配りながら、北海道の豊かな四季を表現したものです。後日、首脳夫人の一人は、「あまりにも美味しくて、1、2パウンドは太ってしまったわ。」と笑いながら仰っていました。
晩餐会の最後は、地元帯広市郷土芸能平原太鼓のメンバーによる勇壮な和太鼓の演奏とYOSAKOIソーランチーム「旭川北の大地」のメンバーによる踊り「雅心天響」が島国の首脳達を魅了しました。
本会合での「北海道アイランダーズ宣言」採択後、午後12時42分、VIZスパハウス(波の出る室内プール、かなり迫力のある波なのです。)で麻生総理とタランギ議長による共同議長記者会見が行われました。壇上に並んだテレビのスタッフに波を出せば雰囲気がでるのにと言うと、総理の声が拾えなくなると、たちどころに却下されました。
この後、総理は昼食をとってトマムを発ち、島国の首脳夫妻は、「北海道知事主催昼食会」、「地元交流プログラム」に参加してから午後3時44分にトマムを発ち、午後5時18分発のチャーター機でとかち帯広空港を発ち、北海道を後にしました。
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。