欧州
「中央アジア+日本」対話・第7回高級実務者会合(概要と評価)
平成25年10月31日
10月22日(火曜日),「中央アジア+日本」対話(注1)・第7回高級実務者会合(SOM)が開催されましたところ,概要と評価は以下のとおりです。
1 日時・場所
平成25年10月22日(火曜日)
於:ビシュケク(キルギス(議長国)の首都)
2 出席者
- (1)中央アジア側
- キルギス(議長国):アダムクロヴァ外務次官
- トルクメニスタン: ハジエフ外務次官
- ウズベキスタン: アスカロフ外務次官
- カザフスタン: アリ外務省全アジア協力局長
- タジキスタン: ノジリ外務省アジア・アフリカ局長
- (2)日本側 丸山中央アジア担当外務省特別代表
3 概要
- (1)昨年11月に東京で開催された「中央アジア+日本」対話・第4回外相会合における議論を踏まえ,また,2014年に10周年を迎える同対話を見据え,各国代表は,「持続可能な成長(環境・省エネ,MDGs,防災)」「貿易・投資促進」及び「アフガニスタンを含む地域安全保障」の3つの分野における地域協力推進について意見を交わしました。
- (2)「持続可能な成長(環境・省エネ,MDGs,防災)」については,防災分野において,日本の協力の下,中央アジア諸国間での地域協力が具体的に進展していることを確認し,各国が各々の取り組みを紹介しつつ,今後の地域協力の可能性について議論しました。
- (3)「貿易・投資促進」については,地域発展の鍵を握る農業分野に関し,専門家会合をはじめとする様々な対話機会を利用し,来年夏にキルギスで開催予定の第5回外相会合に向けて具体的な地域協力プロジェクトを策定していくことで一致しました。
- (4)「アフガニスタンを含む地域安全保障」については,2014年末までのアフガニスタンからの国際治安支援部隊(ISAF)撤収を踏まえ,同国に隣接する中央アジアの安定を一層確保していく重要性につき認識が一致し,更なる地域協力に向けて各国から様々な見解が示されました。
- (5)キルギスの次の議長国(2015~16年を予定)について,トルクメニスタンが務めることで一致しました。また,2014年の「中央アジア+日本」対話10周年記念事業や,第5回外相会合の機会に国際機関を招待することについて,引き続き外交ルートで調整していくことになりました。
- (6)今回のSOMの機会に,中央アジアとアフガニスタンとの国境管理能力強化に関する日本の支援であるウズベキスタン,キルギス及びタジキスタンを対象とした平成24年度無償資金協力「中央アジア国境連絡事務所設立計画(UN連携,実施機関UNODC)」(注2)の交換公文(E/N)等に署名しました。
4 評価
- (1)2014年は,「中央アジア+日本」対話の開始から10周年を迎え,また,アフガニスタンからのISAF撤収が予定されるなど,中央アジアにとって重要な局面を迎えます。このことから,同年に開催される次回外相会合はアフガニスタン情勢を見据えた同地域の安定という観点からも重要なものとなります。このような認識の下,各国代表と地域協力に係る具体的な提案や地域情勢について活発な意見交換が行われ,次回外相会合に向けて有意義な準備を行うことができました。
- (2)特に,中央アジア各国の代表からは,日本との二国間協力のみならず,日本と中央アジアの複数国が参加する具体的な地域協力プロジェクトを実現させていきたいとの意見がこれまで以上に多く表明されました。このことは,対話の開始から約10年が経ち,関係国の間で中央アジアの安定と発展のためには地域協力が不可欠との理念がより深く共有されるようになったことを示すものと言えます。
- (3)この関係で,農業分野に関する「専門家会合」等を通じた議論のプロセスは,「中央アジア+日本」対話を通じて地域協力プロジェクトを策定していく上でのモデル・ケースになることが期待されます。
(注1)「中央アジア+日本」対話("Central Asia plus Japan" Dialogue)
2004年8月,日本と中央アジア全体との対話と協力を推進する枠組みとして「中央アジア+日本」対話を立ち上げ,第1回外相会合をアスタナ(カザフスタン)で開催。その後,第2回(2006年6月,於:東京),第3回(2010年8月,於:タシケント(ウズベキスタン),第4回(2012年11月,於:東京)を開催。また,同対話枠組においては,外相会合の準備を行う高級実務者会合(SOM),東京対話(有識者等による知的対話),専門家会合(具体的分野における協力進展等について議論)等がある。
現在,議長国はキルギス。2014年夏に同国で第5回外相会合を開催する予定。
(注2)対中央アジア(キルギス,ウズベキスタン,タジキスタン)テロ対策等治安無償資金協力「中央アジア国境連絡事務所設立計画(国連との連携,実施機関UNODC)」
供与額:1.41億円。キルギス・ウズベキスタン国境通過地点1か所,ウズベキスタンとタジキスタンの対アフガニスタン国境通過地点2か所に,関係国の国境管理当局職員が常駐する連絡事務所を設立し,国境管理職員の人材育成と各国間の意思疎通・連携を促進することにより,麻薬密輸,武器密輸,人身売買の対策強化を図る。