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平成17年度21世紀パートナーシップ促進招聘
FEALAC・環境と開発若手関係者招聘
概要と評価
平成18年1月
- 本プロジェクトは、「東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)」の枠組みの下、東アジア、ラテンアメリカ両地域の関係強化のため、日本のイニシアティブにより実施。「FEALAC若手指導者招聘」は今回で5回目となる(毎回テーマを変えて実施)。
- 2005年12月7日から17日まで、東アジア及び中南米28か国より各国1名ずつ、計28名の環境と開発に携わる若手関係者を招聘し、環境問題、特にクリーン開発メカニズム(CDM)をテーマとして各種プログラムを実施。
- CDMに携わる国内関係者を招いて「環境と開発セミナー」を開催。「FEALAC加盟国間におけるCDMに関する協力」について、招聘参加者とパネリストとして参加した日本側関係者が意見交換し、最終的に「ヤングリーダーによる10の提言(10 Suggestions from Young Leaders)」を作成。
- その他、環境問題関連機関訪問、日本企業視察、地方旅行等を実施。一部参加者と日本側関係者の間では、具体的なCDM案件について協議も行われ、今後案件が具体化することが期待される。
- 2004年1月のFEALAC第2回外相会合で採択された「マニラ行動計画」に明記された「持続可能な開発」という課題に対し、CDMに関する協力を推進することで、日本として具体的に貢献するという意義に加え、被招聘者間の交流促進及び対日理解の促進という観点からも、非常に有効なプログラムとなった。
1.今次研修の概要
(1)プログラム概要
(イ)環境と開発セミナー
- 12月15日に外務省にて開催。
- 本件招聘のメインテーマである「FEALAC加盟国間におけるCDMに関する協力」に関する提言について、参加者が4グループに分かれ、それぞれ個別の分野(再生可能エネルギー、キャパシティビルディング、植林)について招聘期間中にプレゼンテーションを準備。セミナー当日には、各グループがプレゼンテーションを行った後、パネリストとして参加したCDMに携わる日本側関係者と意見交換を行い、最終的にすべてのグループの提言を纏めて「ヤングリーダーによる10の提言(10 Suggestions from Young Leaders)」を作成した。
(ロ)国内関係機関訪問、視察、講義
- 環境省、東京都庁、日本カーボンファイナンス、JBIC、JETRO、JICA等を訪問し、それぞれの機関のCDMへの取組についての講義を受けた。
- 環境に配慮した技術・施設等を視察した。
(ハ)地方視察
京都、広島を視察し、日本の歴史、文化、風土等に触れ、日本に対する理解を深めた。
(2)被招聘者
- 中南米諸国より16名
ブラジル、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、メキシコ、キューバ、コスタリカ、パナマ、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア
- 東アジア(及び大洋州)諸国より12名
韓国、豪州、ニュージーランド、ASEAN諸国(タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシア、カンボジア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
2.今次研修の評価
(1)環境と開発セミナー
セミナーには、CDMに携わる政府及び民間企業を含む様々な関係者が参加し、CDMにおける能力開発、プロジェクト発掘、ファイナンス等それぞれの専門分野の立場から意見を述べ、CDMに関する包括的な意見交換を行うことができた。また、これら日本側関係者からは、東アジア及び中南米各国の環境問題関係者から各国のCDM事情について生の声を聞く良い機会になったとの評価を受けた。議論を進めていく過程で、CDMプロジェクトを推進して行く上での課題(キャパシティビルディングのための資金拠出等)が浮き彫りになり、それらを参加者全員が共有できたことは、今後のCDMに関する協力を円滑に進めるための一助となると考えられる。
(2)国内関係機関訪問、視察、講義
参加者一同は、各訪問先では非常に有意義な講義を受けることができ、日本政府及び企業の環境問題に対する熱意と技術に感銘を受けたと評価。また、参加者は講義等の後に積極的に講師等と連絡先を交換しあい、中には、招聘期間中に参加者が個別に日本側関係者と具体的なCDMプロジェクトについて協議を行う場面もあった。本件招聘が、象徴的な交流促進にとどまらず、具体的なプロジェクト進展のための交渉の場として機能したと言える。今後、参加者が各国から日本側関係者と連絡を取り合い、具体的なプロジェクトが一つでも多く成立することが期待される。
(3)総括
(イ)2004年9月の中南米訪問時に小泉総理が表明した「日・中南米 新パートナーシップ構想」において、日本は今後FEALACにおいて主導的な役割を担う旨明らかにしたが、本件招聘の実施は日本のイニシアティブ発揮の一つと位置づけることができる。
(ロ)本件招聘は、2004年1月のFEALAC第2回外相会合で採択された「マニラ行動計画」に明記された「持続可能な開発の促進」という課題への取組の一つでもある。セミナーで作成された「ヤングリーダーによる10の提言」は、2006年5月に東京で開催予定の第4回FEALAC経済・社会ワーキンググループにて紹介する予定であり、今後のFEALACの活動拡大に向けて注目される分野の一つである環境問題に関し、協力を進める上での議論の基礎を提供するものとなる。