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平成19年4月
(1)4月8日~11日、マーリキー首相は、石油大臣、電力大臣、地方公共事業大臣、鉱工業大臣、外務担当大臣とともに来日した。滞在中、マーリキー首相は天皇陛下の御引見、安倍総理との会談・夕食会、麻生外務大臣、久間防衛大臣、甘利経済産業大臣、中川自民党幹事長、太田公明党代表、イラク特委、経団連副会長との会談を行った。また、イラク外務担当大臣は、麻生大臣、浅野副大臣と個別に会談を行った他、イラク経済関係4大臣は経団連や日本の各企業との会談を精力的に行った。
(2)円借款について、安倍総理よりマーリキー首相に対し、「バスラ上水道整備計画」及び「クルド地域電力セクター復興計画」の2案件につき、新たに供与することを伝達した。また既にプレッジした4案件につき、麻生大臣・イラク外務担当大臣立ち会いの下、交換公文の署名式が行われた。
(1)イラクの安定は、中東地域から原油の約9割を輸入する我が国の国益にとって不可欠であり、我が国はこれまでに自衛隊による人的貢献、約50億ドルのODA、人材育成、約60億ドルの債務救済等でイラクの復興を積極的に支援。また、イラクは原油埋蔵量世界3位を誇る国(1位:サウジアラビア、2位:イラン)であり、今後はこれまでの我が国の支援を糧に、友好国であるイラクと長期的・戦略的パートナーシップを構築し、お互いに利益を得るような関係になることが重要。
(2)3月21日から24日に来日したハーシミー・イラク副大統領ともこのような関係の構築を確認したが、マーリキー首相の訪日の目的は、このような関係を一層強化すること。首相に同行する経済関係閣僚と我が国経済界の関係強化も目的の一つ。
(3)イラク情勢打開のためには治安対策の成功とともに、イラク政府の国民融和促進に向けた努力も重要。このような考えから、我が国は、先般ハーシミー副大統領(スンニー派)に対し、国民融和促進に向けた働きかけを行った。また、3月26日から30日までハキーム国民融和担当大臣を団長に各派のバランスに考慮した形で13名の国会議員等有力者を招聘し、「イラク国民融和セミナー」を開催し、高い評価を得た。このような流れを踏まえ、イラクの最高実権者であるマーリキー首相(シーア派)に対し国民融和促進に向け働きかけを行うことが重要。
(1)今後もイラクの復興努力を積極的に支援。イラク特措法の2年延長の閣議決定を伝達。
(2)イラクとの長期的・戦略的パートナーシップの構築を確認。
(3)マーリキー首相を全面的に支持。
(4)治安対策が奏功することを期待する。
(5)各派の意見に耳を傾け、イラク全体の指導者として国民融和促進に向けて一層のイニシアチブを発揮することを期待。
(6)イラク・コンパクト完成に向けた一層のイニシアチブを期待。
(1)安倍総理からマーリキー首相に対し、上記3.のメッセージを確実に伝達し、マーリキー首相からこれまでの日本の支援に深い謝意が表明されるとともにイラク側と長期的・戦略的パートナーシップの構築を確認できたことは極めて有意義であった。
(2)治安については、マーリキー首相は、安倍総理及び麻生外相との会談で、「治安改善に向けた努力をイラク政府は強化している」旨述べた。治安の回復は、我が国を含む国際社会が復興支援を進める前提であり、努力が奏功することが期待される。また、国民融和については、マーリキー首相より、「イラク政府として最大限の優先順位で取り組んでいる。これなくしてイラクの発展はありえず、治安の安定のための基礎中の基礎である。」との発言があり、国民融和促進に向け強い決意が表明された。いずれも我が国からの強いメッセージの効果として評価できる。
(3)イラク石油大臣を始め経済関係閣僚は、滞在中、我が国の経済界と個別に精力的な会談を行った。長期的・戦略的パートナーシップを具現化するものであり、有意義であった。