1.日本政府は、イラクに対し、「バスラ上水道整備計画」及び「クルド地域電力セクター復興計画」を実施するために必要な、577億1,600万円を限度とする円借款を供与することとし、4月9日(月曜日)、東京において、我が方安倍晋三総理大臣からカーミル・アル・マーリキー首相に対し通報した。今後、円借款の供与に関する交換公文の署名を行う予定である。
2.対象案件及び供与限度額
(1)バスラ上水道整備計画 429億6,900万円
(2)クルド地域電力セクター復興計画 147億4,700万円
3.供与条件
(1) 金利 :0.75%
(2)償還(据置)期間 :40(10)年
(3)調達条件 :一般アンタイド
4.対象案件の概要
(1)バスラ上水道整備計画
イラク南部バスラ県バスラ市及びハルサ市の上水道施設は、約20年前までに整備された。しかしながら、イラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁等により、上水道施設に対する投資が行われず、維持管理も不十分であったことから、両市の上水は、給水時間が短く需要に対し十分な供給が行えておらず、漏水率が高いほか、水質が満足のいく水準でない等、質・量ともに多くの課題を抱えている。
このため、両市において、上水道施設の整備を行うことにより、両市における上水供給の改善を図ることが必要である。
(2)クルド地域電力セクター復興計画
イラクにおいて、電力セクターはあらゆる経済・社会活動の基盤である。しかしながら、イラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁等により、電力セクターへの新規投資や維持管理が不十分であったことから、イラク北部のクルド地域(ドホーク県・エルビル県・スレイマニア県)においても、イラクの他の地域と同様に変電・配電機能が低下しており、電力供給が不安定になっている。
このため、クルド地域において、変電・配電用の資機材供給や施設整備等を行うことにより、クルド地域における電力供給の安定化を図ることが必要である。