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第17回日・EU定期首脳協議
(結果概要)
平成20年4月23日
4月23日午前10時40分より約3時間、我が国より福田総理、EU側よりヤンシャ・スロベニア(EU議長国)首相及びバローゾ欧州委員長が参加し、第17回日・EU定期首脳協議が官邸にて開催された。
協議に続き、双方の首脳による共同記者会見が行われるとともに、共同プレス声明(骨子:別添)及び同声明別添文書(骨子:別添)が発出された。協議概要は、以下のとおり。
(注)本件協議は、1991年より原則として年1回、日欧交互に開催。
ポイント
日・EU関係 戦略的パートナーとしての連携を強化し、特に気候変動、世界経済、開発・アフリカ、WTO、不拡散等のグローバルな課題に対処すべく、北海道洞爺湖サミット成功に向けた取組につき一層協力することで一致。「消費者の安全・安心」に関する文書を発出。
グローバルな課題 気候変動について、2013年以降の実効的な枠組み構築に向けた協力の継続を確認。特に、EUは、我が国が提案するセクター別アプローチを有用と評価。食料価格高騰問題について、強く懸念し、今後の対策について緊密に連携していくことで一致。
地域情勢 中国、北朝鮮を含む東アジア、中東(イラン、中東和平プロセス)、アフガニスタン、ミャンマー等、主要な地域情勢につき幅広い認識が一致。特に東アジア地域の安全保障環境について双方の対話を継続していくことで一致。
1.日・EU関係
- 日・EU双方の首脳の間で、拡大と深化により存在感を一層強めるEUと我が国は、国際社会の平和と繁栄に主導的役割を果たす戦略的パートナーであり、対話から行動志向の協調へと日・EU協力を深めるため、一層連携を強めていくことで一致。特に、気候変動、世界経済、開発・アフリカ、WTO、不拡散といった、国際社会の重要課題について協力を深め、北海道洞爺湖サミット成功に向けた取組に日・EUが一層協力することで一致。
- 経済分野に関し、総理より、日本経済の現状を説明した上で、今後、成長力強化の観点から、対日投資、金融・資本市場の改革等を一層進め、より開かれた日本を実現するとの決意を強調。また、日・EUが、経済関係を強化するとともに、世界経済におけるルール作り、新興経済国へのガバナンス支援等に関し、パートナーとして協力していくことの重要性で一致し、具体的には、世界中で関心が高まっている「消費者の安全・安心」に関し、日・EU協力を一層推進していくこととなった(共同プレス声明別添文書を発出。)。
- また、日・EUが、高齢化等、経済社会分野で類似の課題に直面する中で、双方より構造改革への決意を改めて表明、それぞれの努力を説明し、こうした点に関する対話も有益との認識で一致。また、EU側より国際社会の将来の方向性が不透明になりつつある今こそ、先進民主主義諸国が協力して貢献を行う必要性が大きい、日・EUで協調して行動すべきであるとの発言があり、総理より、資源や食料、環境といった様々な制約が生じている現在、今後の国際社会は世界的な協調によってのみ運営され得る旨述べつつ、こうした点からも日・EUの協調を引き続き重視していきたい旨応じた。
2.主なグローバルな課題
(気候変動)
- 世界全体での排出削減を実現するための2013年以降の実効的な枠組み構築を目指し、EUとも引き続き協力していくことで一致。特に、EU側より、G8サミットに向けた日本の取組を支持したい、日本が提唱するセクター別のボトムアップ・アプローチは有用である旨発言。
(世界経済)
- 世界全体のGDPの約4割を占める日・EUが、国際金融システム強化と実体経済の下支えに向けて協調・協力していくことで一致。G8サミットにおいて、力強いメッセージを発出することで一致。
(開発・アフリカ)
- TICADIV、北海道洞爺湖サミットの流れを踏まえ、協力を強化していくことを確認するとともに、特に、最近注目が高まっている食料価格高騰への今後の対策に当たり、緊密に連携することを確認。EU側は、近年の日本のTICADを通じたアフリカ開発への取組を評価する旨述べ、また、MDGs達成のために援助の質と量を高める必要性に言及。
(WTO)
- ドーハ・ラウンドの早期妥結に向け協力することで一致。
3.地域情勢等
(東アジア(中国及び北朝鮮を含む))
(中東)
- イラン核問題に関する深刻な懸念と、国際社会が一致した取組の重要性が共有された。EU側より、EU3+3による対話と国連安保理決議による圧力の双方を維持するが、まずはイランによる安保理決議遵守が必要である旨述べた。総理より、安保理決議1803号を実施する措置を決定したことを説明。また、イランとの伝統的関係等を活かしつつ、EU3+3の努力と連携・協調し、引き続き取り組んでいく旨発言。
- 中東和平に関し、現在和平プロセスは難しい状況にあるが、アナポリスでの合意の履行に向けた両当事者の和平努力を支えるべきこと、またパレスチナ人が状況改善を実感できるようアッバース大統領の努力を支援すべきことで一致。総理より、「平和と繁栄の回廊」構想を引き続き積極的に進めていく考えを紹介。
(アフガニスタン)
- 国際社会が一致してアフガニスタンの国造りを支えていくべきことや、国民各人が復興の成果を実感できるようにすべきことで意見の一致。アフガニスタン自身の取組が強化されるべきこと、アイダUNAMA代表との協力を通じ国際社会の支援調整強化が図られることへの期待についても一致があった。総理より、6月のパリ会合を含め、G8議長国としてEUとも連携を進めていく旨発言。
(ミャンマー)
- 総理より、民主化プロセスへのスー・チー女史を含むすべての関係者の参加、同女史とミャンマー政府指導部との対話につき、粘り強く働きかけていくべきこと、状況改善にはミャンマーを孤立させ圧力をかけるだけではなく、同時に同国政府が前向きな動きを示せばそれを後押しするとの姿勢を国際社会の一致したメッセージとして発していくことが効果的であるとの考えを説明。双方は、ガンバリ国連事務総長特別顧問の努力を国際社会が一致して支持していくことが重要との点で一致。
(その他)
- 総理より、安保理改革の早期実現と常任理事国入りを目指す我が国として、今次総会会期中に成果を得ることを目指している旨述べた上で、国連における議論へのEU各国の建設的参加を期待している旨述べた。EU側より、安保理改革の問題は、基本的には加盟国が扱う問題としつつ、EUとしてもグローバルなプレイヤーの代表性が確保されるべきと考えており、また日本の常任理事国入りの希望は良く承知している旨述べた。
- 総理より、今週末の訪露において、プーチン大統領、メドヴェージェフ次期大統領との間で会談を行うことを紹介しつつ、幅広い分野で関係を進展させるとともに、領土問題について引き続き粘り強く交渉していくとの我が国の方針を説明。