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平成19年2月16日
李肇星中国外交部長は、15日から17日まで外務省賓客として来日したところ概要以下のとおり。李肇星外交部長は、安倍総理及び塩崎官房長官への表敬、日中外相会談を行った他、河野衆議院議長、与党幹事長及び太田公明党代表への表敬等を行った。
(1)総論・温家宝総理来日
昨年10月の安倍総理訪中の成果を確かなものとし、戦略的互恵関係の構築という日中関係の新たな指針を両国国民及び国際社会に示していく上で、4月の温家宝総理の来日が重要な機会であることで一致。
(2)経済閣僚会議
先月のフィリピン・セブでの日中首脳会談で経済閣僚会議立ち上げについて原則的に合意したことを受け、詳細について詰めていくことで一致。
(3)東シナ海資源開発問題
麻生大臣より、我が国におけるこの問題についての国民の関心の高さに言及しつつ、「平和・協力・友好の東シナ海」を具体化するため、迅速な解決が重要であることを改めて強調し、温総理来日に向け協議を加速させたいとの考えを述べたのに対し、李部長から同様の認識である旨述べた。双方は、早期に局長級協議を開催することで一致。
(4)海洋調査
先般、中国海洋調査船「東方紅2号」が、相互事前通報の枠組みに基づく事前通報のあった海域の外において海洋の科学的調査と思われる活動を実施したことに関連し、双方は、相互事前通報の枠組みを堅持していくことで一致。
(5)国連改革
李部長より、日本が国際社会でより大きな役割を果たすことを望んでいる旨述べ、麻生大臣よりは、現在新しい安保理改革の提案を検討しており、また相談したい旨述べた。双方は、国連に関する対話を強化していくことで一致し、李部長から、近く北京で協議を開催し、実りある成果が得られることを期待する旨述べた。
(6)中国の弾道ミサイル発射による人工衛星の破壊
李部長より、科学実験を一度行った、中国は宇宙の平和的利用を一貫して主張しており、今回の実験は如何なる国に対しても脅威とはならないとの立場を強調した。麻生大臣より、中国は国際社会に透明性のある説明をすべきである、それが中国の利益に適う旨発言。
(7)北朝鮮
麻生大臣より、中国の努力により、先般の六者会合が一定の結論に達したことを評価したのに対し、李部長も、日本側も大きな努力を払ったと評価した。また、李部長より、日本側の特別な関心について中国側は良く理解しており、引き続き支援していく旨述べた。麻生大臣が、拉致問題は日本の国民感情にとって重大な問題であり、中国側が拉致問題について必要な協力は提供したいとしていることは重要である旨述べたのに対し、李部長はそれは当然のことである旨発言。
(8)歴史
李部長より、本年は歴史的に敏感な年であり、歴史問題を適切に処理したい旨の発言があったのに対し、麻生大臣より、我が国の立場は従来から述べている通りである、日中歴史共同研究を大いに進めたい旨述べた。
(9)台湾
李部長より、台湾問題についての関心と懸念が表明されたのに対し、麻生大臣より、我が国の立場は日中共同声明にあるとおりであり何ら変更はない旨応答。
(10)文化・青少年交流
双方は、種々の協力を行い「日中文化・スポーツ交流年」を盛り上げていくことで一致。また、李部長より、安倍総理が、先月のセブでの日中首脳会談で「21世紀東アジア青少年大交流構想」により、中国との間で最大限の規模で高校生を中心とした青少年の相互訪問を実現させたい旨言及したことに対し、高い評価と歓迎の意が示された。李部長より、中国側も日本の青少年招請の拡大を検討している旨述べた。更に、李部長より、日本側が、日本からの直行便のある中国の都市との間で二万人の交流を計画していることに関して、協力したい旨述べた。
(11)省エネ・環境等
双方は、エネルギー、環境、金融、ハイテク、情報通信技術等における互恵協力を推進していくことで一致。特にエネルギー、環境に関し、麻生大臣より、戦後の日本の経験について詳しく紹介し、これに対し、李部長より、中国の環境問題は深刻であり、日本の経験に学びたい、また、これまでの環境分野での日本の援助に感謝する旨の発言があった。
(12)コメの対中輸出
李部長より、温家宝総理の訪日の際に成果としたい旨述べ、麻生大臣より、本件は日中友好を促進するとの観点から非常に重要である旨述べた。
(13)羽田-上海虹橋空港チャーター便
麻生大臣より、早期に実現したい旨述べ、李部長から、良い話であると考えており検討を続けたい旨述べた。
(1)李肇星外交部長より、温家宝総理から安倍総理への新年(旧暦)の挨拶のメッセージを伝達した上で、改めて昨年10月の安倍総理訪中の意義を高く評価した。
(2)安倍総理より、戦略的互恵関係の構築のため有意義な来日となるよう期待している、外相会談で率直に議論して欲しい旨述べた。また、安倍総理より李部長に対し、温総理に対して、温総理の訪日を楽しみにしている、日中関係の未来について胸襟を開いて話し合い、戦略的互恵関係の構築という新たな指針を両国国民及び国際社会に具体的に示す機会としたい旨のメッセージを伝達頂きたい旨発言した。
(3)安倍総理より、東シナ海を平和・協力・友好の海とすべく、資源開発問題を早期に解決したい、最近の東シナ海に関する一連の出来事は問題の解決に資さない旨述べた。また、中国の弾道ミサイル発射による衛星破壊について透明性、説得力のある説明を行うことが中国の利益に適う旨述べた。李部長は、東シナ海の問題については、粘り強く、真剣に協議していきたい、3月にも局長協議を開催したい旨述べた。
(4)この他、安倍総理より、経済閣僚会議の早期開催に向け調整したい旨述べ、また、我が国国連常任理事国入りについての中国の好意的対応を求めた。李部長は、中国は、日本が国連等の場でより大きな役割を果たすことを期待している旨述べた。
安倍総理より、六者会合での中国の努力を高く評価し、今後、北朝鮮が合意を誠実に履行するよう注視していきたい旨述べ、双方は、引き続き日中間で緊密に連携しつつ粘り強く努力していくことで一致。また、安倍総理から、拉致問題の重要性を強調し、拉致問題を含む日朝関係が進展を見せれば、我が国は、六者会合においても一層大きな役割を果たす用意がある旨述べ、中国の支援を要請した。李部長より、中国側も日本側の関心は完全に理解しており、できる限りの支援を提供したい旨述べた。