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フン・セン・カンボジア首相の公賓訪日
(結果概要)

平成19年6月18日


【ポイント】

  • フン・セン首相にとって、公賓として初の訪日(15回目の訪日)。
  • 天皇陛下の御引見、首脳会談、総理晩餐会、無償資金協力二案件に係るE/N署名式、カンボジア経済投資セミナーの実施、福岡県訪問等、充実した日程。
  • 日カンボジア首脳会談要旨

1.カンボジア側代表団

 フン・セン首相にとり初の公賓としての訪日。チャム・プラシッド上級大臣兼商業大臣、チャン・サルン農林水産大臣、リム・キアンハオ水資源・気象大臣、スン・チャントル公共事業大臣、ロン・ヴィサロ外務国際協力省長官等全8名の公式随員、各省幹部を含む23名の非公式随員が同行。

2.日程(6月13日~16日)

(1)天皇陛下が御引見になった。

(2)首脳会談に引き続き、共同声明及び投資協定への署名式を実施。また、総理主催でカンボジア代表団、我が国国会議員、財界、学界、文化・芸術関係者等約70名が出席する盛大な晩餐会を開催。

(3)経済団体共催による歓迎昼食会及び日ASEANセンター主催のカンボジア経済・投資セミナーにて、日本の経済界・投資家に対し積極的に投資誘致。

(4)麻生外相と懇談し、無償資金協力二案件に関する交換公文署名式に同席。

(5)日カンボジア友好議連主催の朝食会に参加。

(6)福岡県を訪問し、農業総合試験場を視察。

3.首脳会談

(1)冒頭発言

 安倍総理より、フン・セン首相一行の公賓訪日を歓迎。カンボジアが和平・復興を達成し、着実に発展していることを評価。続いて、両国は協力の歴史が培った信頼の絆で深く結ばれており、二国間関係を更に強化し、地域的・国際的課題に共に取り組むことを内容とした「共同声明」に署名したいと発言。フン・セン首相より、公式招待への謝意表明があり、歴史で培われた二国間関係を更に強化するため「共同声明」に署名したいと応じた。

(2)基本的価値の実現

 安倍総理より、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値の実現に向けたカンボジアの着実な進捗を評価し、日本は選挙支援や法制度整備支援等を通じてカンボジアの努力を後押ししたい旨述べた。安倍総理より、クメール・ルージュ裁判の立ち上げを歓迎し、同裁判の迅速かつ厳正な実施の期待を表明。フン・セン首相より、クメール・ルージュ裁判に対する日本の支援と参加に感謝が表明された。

(3)経済協力

 安倍総理より、カンボジアの開発努力を力強く後押ししたいと述べ、今後3年間、メコン地域を経済協力の重点地域とし、カンボジア及び地域全体に対するODAを拡充する旨表明。また、安倍総理より、第二東西回廊の開通は、地域全体の経済発展にも重要であり、第二メコン架橋を最重要案件として、貴国と共に必要な準備を進めたい旨表明。

 フン・セン首相は、今までの日本の支援に対する評価と感謝を表明。また、メコン第二架橋について早期の着工を要請。カンボジアの更なる発展のため円借款の増額を要請。更に、日本のメコン地域への支援を評価するとともに、開発の三角地帯に対する支援の要請があった。

(4)貿易投資促進

 安倍総理より、経済成長には貿易投資が重要であり、本日署名する投資協定は大きな前進であり、7月に官民ビジネス・ミッションを派遣する予定であると述べた。フン・セン首相は、投資を積極的に誘致したい、特に経済特区の投資の促進に協力して欲しい旨述べた。

(5)観光

 フン・セン首相より、両国間に直行便があれば日本からの観光客が更に増えるとの見解を表明。これに対し安倍総理より、日本は「アジア・オープンスカイ構想」を打ち出しており、同首相の提案を同構想の中で検討していきたい旨回答。

(6)相互理解の促進

 安倍総理より、両国の相互理解を深めるため、今後5年間で千人を超えるカンボジア人青少年を日本に招聘したい旨表明。

(7)北朝鮮情勢

 フン・セン首相より、六者会合の進展を支持し、北朝鮮は国連決議に従うべきである旨発言。続いて、拉致問題に対する日本の懸念を承知しており、次回の国連北朝鮮人権状況決議を支持する旨表明。

 安倍総理より、北朝鮮は、六者会合において自らコミットした「初期段階の措置」を実施していない。国際社会が、北朝鮮が非核化に向けた具体的行動をとるよう求めていくことが重要であると述べた。また、安倍総理は、拉致問題についての日本の立場への理解に謝意を示し、北朝鮮人権状況決議への支持表明に感謝した。

(8)日中関係

 安倍総理より、日中両国は「戦略的互恵関係」の構築で一致している、地域の安定・繁栄のためには、日中両国の協調が重要と考える旨述べたのに対し、フン・セン首相は、地域の安定のために日中関係の更なる発展を期待すると述べた。

(9)国連安保理

 フン・セン首相より、日本の国際社会における大きな役割を支持しており、カンボジアはこれまで一貫して日本の安保理常任理事国入りを支持している旨述べた。

 安倍総理よりは、改革の早期実現及び常任理事国入りを目指すので協力を得たいと応じた。

(10)気候変動

 安倍総理より、2050年までに世界全体の排出量を半減する目標を含む新提案を発表したところ、本提案への貴国の賛同を得たいと述べたのに対して、フン・セン首相は、安倍総理のイニシアティブを評価しカンボジアとして支持すると述べた。

(11)東アジア地域協力

 安倍総理より、「オープンでイノベーションに富むアジア」構築のため、エネルギー安全保障、青少年交流、東アジア経済連携、東アジア・アセアン経済研究センター設立等をASEANと協力して実施したい旨述べた。

(12)安倍総理に対するカンボジアへの招待

 フン・セン首相より、安倍総理に対しカンボジア訪問を招待したのに対し、安倍総理より、招待に感謝し、良い機会があれば訪問を検討したい旨発言。

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