(1)第二次プノンペン市洪水防御及び排水改善計画
供与限度額(国庫債務負担行為) 25億9,500万円
(平成19年度 3億7,500万円、平成20年度 13億2,500万円、平成21年度 8億9,500万円)
(イ) 本計画の内容
・ プノンペン市において、①トンレサップ川沿い護岸の補強・改修(2か所/70m、60m)、②ポンプ場及び貯留槽、並びに排水路などの排水施設の改修・新設を行うための資金を供与する。
(ロ) 本計画の必要性
・ カンボジアでは、1970年代より20年にわたって続いた内戦の間、プノンペン市内の洪水防御・排水施設の維持管理がなされないまま放置されたため、それら施設の機能が著しく低下している。その結果、市内を流れるトンレサップ川の堤防は毎年越水の危機にさらされていることに加え、降雨の度に浸水被害が市内各所で頻発している。
・ 一方、国内の政治的安定と治安回復に伴い、プノンペン市の人口は急増しており、首都機能の保全や経済活動への悪影響の軽減、衛生改善等の観点から、同市の洪水・浸水に対する早急な対応策が喫緊の課題となってきた。
・ このような状況の下、カンボジア王国政府は、プノンペン市の治水・排水能力の改善を図る目的で、本工事に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ) 本計画の効果
・ 本計画での排水施設の改修・新設により、対象地区における2年確率以下の大降雨による浸水被害規模が減少する(これまでの最大浸水深60cm→浸水深20cm以下、最長浸水継続時間12時間→浸水継続時間1時間から2時間未満)。
・ 護岸補強工事の実施により、既往最大洪水(約30年確率)に対して破堤・越水を生ずることがないといったプノンペン市の洪水防御機能が強化される。
・ 北部3排水区の汚水排水をプノンペン市南部の湿地に排水し、湿地の浄化作用で浄化された水を河川に戻すこと(遮集方式)により、河川汚染の低減効果が期待される。
・ 間接的効果として、経済的被害発生の防止、衛生環境の改善、浸水による交通遮断時間の縮小に寄与する。
(2)人材育成奨学計画
供与限度額(国庫債務負担行為) 3億6,400万円
(平成19年度 3,700万円、平成20年度 1億6,500万円、
平成21年度 9,400万円、平成22年度 6,800万円)
(イ)本計画の内容
・ カンボジアの若手行政官等25名を対象に、日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して必要な経費を支援するものである。
(ロ)本計画の必要性
・ カンボジアでは、1970年代から20年にわたる内戦の結果、多くの有能な人材が喪失し、内戦後の復興・開発の中核を担うべき行政機関等の人材が不足している。また、近年の市場経済化や国際情勢に対応しうる人材の育成が必ずしも十分でない部分がある。
・ このような状況の下、カンボジア政府は、人材育成において留学の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」に対する我が国の無償資金協力を要請してきたものである。
(ニ)本計画の効果
・本計画の実施により、カンボジアの将来を担う指導者の輩出が期待され、今後の日・カンボジア両国間の友好関係の架け橋となることが期待される。
(参考)
カンボジア王国は、面積約18万平方キロメートル、人口1,380万人(2005年)、人口一人あたりのGDPは454ドル(2005年)である。