外務副大臣・外務大臣政務官
岸外務副大臣のエルビル訪問
1 岸信夫(きし のぶお)副大臣は,15日及び16日に,我が国政務レベルとして初めてイラク・クルディスタン地域(Kurdistan Region of Iraq)の首都エルビルを訪問しました。
2 15日,岸副大臣は,ネチルヴァン・バルザーニーKRG(クルディスタン地域政府)首相(H.E. Mr. Nechirvan Idris Barzani, Prime Minister, KRG)主催夕食会に出席しました。また,16日には,ファラーフ・ムスタファーKRG外務庁長官(H.E. Mr. Falah Mustafa, Head of the Department for Foreign Affairs, KRG)と会談したほか,マスウード・バルザーニーKRG大統領(H.E. Mr. Masoud Barzani, President, KRG)と会談しました。
3 これらKRG要人との会談において,岸副大臣より,冒頭,我が国の政務レベルとして初めてエルビルを訪問した旨述べつつ,エルビルの発展ぶりに強い印象を受けた旨述べました。続いて,現在イラクが様々な課題を抱えている中,KRGがクルディスタン地域の発展に努力していることに敬意を表する,我が国としては今後もKRGの努力を支援していく旨述べました。また,比較的治安が安定しているクルディスタン地域への日本企業の関心の高さに言及しつつ,日本企業による投資促進のため,基礎インフラの整備や治安の維持への引き続きの努力を要請しました。 更に,安倍政権が,積極的平和主義の下,国際社会への更なる貢献を行っていく方針であり,その一環として,明年4月のイラク国民議会選挙への支援につき検討を行っていく旨述べました。また,KRGのシリア難民支援の努力を評価するとともに,我が国としても,総額約2.8億ドルの対シリア人道支援にコミットしていること,加えて,シリア難民の人道状況改善等を目的に,国際機関経由での支援を新たに準備していることを伝達しました。
4 これに対し,KRG側からは,これまでのJICAや国際機関を通じたクルディスタン地域への日本の支援に対して,深い感謝の意が表明されました。バルザーニーKRG大統領は,重要な国である日本から岸副大臣というハイレベルが来訪したことを歓迎する,日本企業のクルディスタン地域への更なる進出に期待したいと述べました。KRG側からは,経済のみならず政治や文化等の様々な分野における日本との関係強化についての強い期待が表明されました。また,KRG側は,シリア難民支援にかかる取組について説明するとともに,日本政府から引き続きの支援を得たいとの発言がありました。
5 なお,我が国が12月10日に実施を決定したクルディスタン地域のシリア難民支援のための物資供与(テント800張,給水容器10,000個)に関し,今回のエルビル訪問の機会を活用して,岸副大臣からマイク・ピリンジャーIOM(国際移住機関)イラク代表に対して,支援物資の目録を贈呈しました。贈呈式にはムスタファーKRG外務庁長官も同席しました。
(参考)国際平和協力法に基づくシリア難民向け物資協力
(1)2011年3月以降のシリア情勢の悪化及びその長期化を受け,シリア国内からイラク,トルコ,レバノン,ヨルダン等のシリア周辺国に流入する難民が増加(210万人超)。
(2)我が国は12月10日の閣議で,IOMからの要請を受け,国際平和協力法に基づき,イラク国内及びトルコ国内のシリア難民に対して行われているIOMの活動に協力するため,人道支援物資を供与することを決定。イラク向けには,テント(800張り),給水容器(10,000個)の物資を無償譲渡し,輸送に必要な役務を無償で提供する。これらイラク向け物資は,エルビル国際空港に12月14日到着し,今後クルディスタン地域内のシリア難民キャンプに順次配布予定。