外交史料館

平成18年9月15日
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 外交史料館では、外交史知識普及のため、外交史を専門とする国内外の研究者、元外交官などを講師にお招きした講演会などの企画を毎年実施しています。

 平成18年度は、平成18年8月1日から12月27日まで開催の特別展示「幣原外交の時代」にちなんで、同年9月15日午後3時より当館講堂において、「幣原外交」の日本外交史上における意義について討論するパネルディスカッションを開催し、大学教員、大学院生、大学生および外務省関係者など約80名が出席しました。

 パネリストには、基調報告者として黒沢文貴・東京女子大学教授、コメンテーターとして細谷千博・一橋大学名誉教授(『日本外交文書』編纂委員長)、波多野澄雄・筑波大学教授(同編纂委員)および戸部良一・防衛大学校教授(同編纂委員)の4名をお招きしました。

 本パネルディスカッションで黒沢教授は、幣原外交を成立させた要因として、普遍的理念の共有および自由貿易の進展という第一次世界大戦後の国際関係の変化と、大正デモクラシーの進展による国内環境の変化という二つの観点から検討しました。

 黒沢教授の基調報告に対して細谷名誉教授は、幣原外交の特徴として、(1)実務的外交、(2)中国への不干渉政策、(3)経済外交の三点を挙げ、幣原外交は戦後の新しい日本外交の先例になったと指摘しました。また、波多野教授は、外務省の自主性が最も発揮された時代であったのが第一期幣原外相時代(1924年~1927年)であると指摘したほか、戸部教授は、幣原外交における対中国外交の問題点について具体例を挙げて論じました。

 場内からは、幣原とウィルソン米大統領との対比や憲法第九条の発案者をめぐる質問が寄せられるなど、活発な議論が行われました。

 本パネルディスカッションの内容は、『外交史料館報』第21号に掲載されています。

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