外務本省

外交史料館報 第21号(平成19年12月)
目次と概要

口絵

ハーグ平和宮に日本政府が寄贈した壁飾綴錦(金地花鳥模様)縮尺略図(甲、乙)

パネルディスカッション

  基調報告者:黒沢 文貴
  パネリスト:細谷 千博、波多野 澄雄、戸部 良一

 2006年(平成18年)9月15日、外交史料館において開催されたパネルディスカッションの記録。日本外交史上に特筆すべき一時代を築いた幣原喜重郎外相による「幣原外交」の意義について、基調報告者より「幣原外交」の成立を可能にした国際的および国内的要因の分析がなされた。これに対しパネリストからは、当該期の国際環境や政軍関係、対中国外交の問題点など様々な角度からコメントがなされた。

(参考リンク)
 特別展示「幣原外交の時代」

論評

  細谷 千博、本宮 一男、原口 邦紘  25ページ

 昭和10年および11年の対欧米・国際関係を編纂した標記巻の項目のうち、「カナダに対する通商擁護法発動問題」および「オーストラリアとの通商問題(通商擁護法発動問題を含む)」所収の文書について論評したもの。諸外国との貿易摩擦問題は当該期における日本外交の重要課題であり、これに対処するために実行されたカナダ・オーストラリアへの通商擁護法の発動は、日本の通商政策の重要な転換点となった。本論評では1930年代前半を中心とした通商問題の流れを通観した上で、その帰結点となった通商擁護法の発動要因、両国に対する発動から交渉妥結までの経緯および同法発動の意義について様々な観点から検討した。

(参考リンク)
 昭和期II第二部第五巻(昭和11年対欧米・国際関係)

史料紹介

 国際連盟脱退後の日本外交の方向性について諸外国は強い関心を抱いていた。そうした中、1935年(昭和10年)4月16日になされた広田弘毅外相のレコー・ド・パリ仏紙記者に対する談話は、日仏の政治経済関係にとどまらず、脱退後における日本の国際連盟との関係にも言及するなど、第一次世界大戦後の「開かれた外交」の流れに対する日本の対応を検討する上で好個の史料である。本稿では、時代背景とともにその概要を紹介した。

 終戦直後、日本を占領した連合国軍は、情報収集の目的で日本各地の軍事施設や政府機関等から大量の印刷物、フィルム、公文書等を接収し、それらはワシントンDCへと送られた。その数は42万点ともいわれる。本稿では、当該文書のうち、外務省文書の接収および返還の経緯を明らかにするとともに、現在も米国議会図書館に所蔵されている戦前期「外務省調書」の概略について紹介した。

 外交史料館では、2006年(平成18年)10月に社団法人・霞関会より寄贈を受けた図書等の整理を終え、「霞関会文庫」として閲覧室にて利用に供することとなった。本稿では同文庫のうち、明治期に大臣秘書官、政務局長などを務めた中田敬義旧蔵と確認できた図書、資料、漢籍などを一つの史料群として整理した「中田敬義文書」について紹介した。

活動報告

 2007年(平成19年)4月、閲覧室にコインベンダーおよびデジタル複合機が導入されたことにより、当館所蔵のマイクロフィルム、CD-R等のセルフプリントが可能となった。本報告では、開館から今日に至るまでの閲覧室の整備状況について紹介した。

『日本外交文書』概要

 2007年3月に刊行した本巻の概要をまとめたもの。本巻は、1950年(昭和25年)9月から1951年(昭和26年)8月までの、サンフランシスコ平和条約の締結に向けて行われた対米交渉およびその準備作業に関する関係文書150文書を採録した。

本巻の概要は、こちらでもご覧いただけます。

 2007年3月に刊行した本巻の概要をまとめたもの。本巻は、1936年における我が国の対欧米・国際関係に関する文書391文書を採録した。

本巻の概要は、こちらでもご覧いただけます。

外交史料館利用状況  157ページ

 2006年度の外交史料館利用状況。利用統計、団体見学者、所蔵記録の出陳・掲載・放映などについて簡潔にまとめたもの。

外交史料館ニュース  176ページ

 2006度の外交史料館における主なニュース。具体的には、(1)開館時間の延長、(2)所蔵記録のマイクロフィルム化、デジタル化の実施、(3)「外交史料Q&A」の掲載、(4)特別展示、(5)企画展示、(6)人事短信の各項目について簡潔にまとめたもの。

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