アフリカ開発会議(TICAD)

令和元年8月29日,パシフィコ横浜

令和元年8月29日

 皆さま,ご参集,ありがとうございます。

 ナイロビでのTICAD VIから3年で,最大の進歩は,「アフリカビジネス協議会」の発足です。

 TICADは,生まれ変わりました。

 私たちのNew TICADは,ダブルEダブルI,すなわちアントレプレナーシップとエンタープライズ,インベストメントとイノベーションを高みへ持ち上げます。

 タンザニアの,電気のない家々が,夜の灯を手に入れつつあります。

 この国に何千とある小店舗,キオスクに行くと,ソーラーランタンを借り出せます。昼間貯めた電気で灯るLEDの灯りは明るくて,煤煙を出すケロシン・ランプと大違いです。

 1,100を超えるタンザニアのキオスクでソーラーランタンのレンタルを実施し,連日,数万人が借りにくるまでに育てた会社。それが東京のWASSHAです。

 創業CEOは,この方,秋田智司さんです!

 秋田さんに着目したのが,日本で有数のユーティリティ会社,関西電力です。京都や大阪の,発電とグリッドを賄う巨大企業が,今度WASSHAと組みます。

 関電はWASSHAに,大量のランタンを提供し,WASSHAはそれを配って,ランタン・レンタルを手がけるキオスクを1万店に増やします。関電には,レンタル料の一部が還流するモデルです。

 夜が明るくなって,本が読めると喜ぶ子供たちの笑顔を思いましょう。

 10万単位のユーザーと,1万店舗のアウトレットは,ビッグデータを生み,それがまた未知のビジネスを生んでいくでしょう。

 秋田さんのような起業家に腕を揮ってもらうため,政府は何をすべきか。

 日本政府が問う問いは,この一点に集約されます。

 ひとつには,ヒトづくり。また,質の高い,インフラの提供。

 そして資金を手に入れやすくすることでしょう。

 JOGMEC,貿易保険のNEXI,それにJICAも,現地の力を借りながら,使い勝手のいいファイナンスを提供します。

 相手国が借金漬けになっては,皆さまの進出を妨げます。

 重点国を毎年10カ国選び,向こう3年,延べ30カ国の担当者に,公的債務や,リスク管理の研修をします。

 ガーナとザンビアには,債務管理とマクロ経済運営のアドバイザーを送ります。

 アフリカにとって重要な農業の競争力をつけるにも,日本政府の出番はあります。

 日本の地方自治体で活躍した農業専門家には,アフリカのためならと,腕を撫(ぶ)す人が少なくありません。そんな方々に,これから現地へ行っていただきます。

 2030年までに,各国と協力しつつ,アフリカ全土におけるコメの生産量を今の倍,5,600万トンにしたいと考えています。

 私には,3回目のTICADです。皆さまが主役となった様子を見て,勇気づけられました。

 アフリカには,仕事のしやすさで,世界有数の地位に躍り出た国がありますし,市場規模は拡大の一途。大陸全土が巨大経済圏になる日が見えています。

 AUには,野心に満ちた長期計画があります。目標年は2063年。

 今,二十歳台の方には,ご自身の目標にできる未来です。

 さあアフリカへ。可能性の大地へ。皆様の勇躍を,強く念じてやみません。

ありがとうございました。


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