ASEAN(東南アジア諸国連合)
第26回ASEAN+3(日中韓)首脳会議
令和5年9月6日



現地時間9月6日午後1時30分(日本時間午後3時30分)から約80分間、ASEAN議長国インドネシアの首都ジャカルタにて第26回ASEAN+3(日中韓)首脳会議が開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。
1 開会挨拶
岸田総理大臣から、インド太平洋地域が成長の中心(Epicentrum of Growth)であり続けるためには、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することが不可欠である旨強調した上で、次の取組を紹介するとともに、日本は、ASEAN中心性・一体性及び「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の主流化を一貫して支持している旨述べました。
- チェンマイ・イニシアティブを一層強化すべく、緊急融資の仕組みの迅速な創設等の議論を積極的に主導。
- ASEAN+3緊急米備蓄(APTERR)を通じた支援を実施。
- 新型コロナからの回復を支援するため、日本は33億ドル相当の緊急支援円借款等を供与。
2 ASEAN+3協力
- 岸田総理大臣から概要以下を発言しました。
日本は、引き続きAOIPの4つの優先分野における具体的協力を推進していく。- 海洋協力:船舶の通航を支援する管制官の育成や、海洋プラスチックごみ対策の実施などを引き続き支援。
- 連結性:ハード・ソフト両面で連結性を一層強化すべく、本日、「日ASEAN包括的連結性イニシアティブ」を新たに発表。
- SDGs:達成に向けて直面している様々な困難を乗り越えるべく、以下を発言。
- APTERRへの支援、ASEAN食料安全保障情報システム(AFSIS)の組織強化への貢献、強靭で持続可能な農業及び食料システムの構築に向けた「日ASEANみどり協力プラン」の打ち出し。
- ASEAN感染症対策センター早期稼働に向けた支援。
- 経済・金融:自然災害リスクに対する財務強靱性の強化、アジア債券市場の育成や金融デジタル化の域内への影響の議論にも貢献。
- これに対し、他の参加国から、それぞれの取組や、パンデミック後の経済回復、保健、食料安全保障、金融協力、デジタル経済等を始めとする、優先すべき協力分野について発言がありました。
3 地域・国際情勢
- 岸田総理大臣から、北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化を深刻に懸念し、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、国際社会が一体となり、安保理決議を完全に履行することが不可欠である旨を強調しました。また、拉致問題の即時解決に向け、引き続き理解と協力を求めました。加えて、ミャンマー情勢について深刻に懸念し、国軍に対し安全で阻害されない人道アクセスを認めるよう改めて求め、事態の打開に向けたASEANの取組を引き続き後押ししていく旨述べました。
- これに対し、他の参加国からは、ミャンマー情勢への言及や、朝鮮半島の非核化の重要性等の指摘がありました。
- 岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出は、国際基準及び国際慣行に則り、安全性に万全を期した上で実施されており、IAEA包括報告書においても人及び環境に対する放射線影響は無視できる程度とされていること、先月の放出後もモニタリングしたデータを迅速かつ透明性高く公表しており、科学的観点から何ら問題は生じていないこと、今後も、IAEAや第三国分析機関の関与を得て、データの信頼性を客観的に確認していくことを説明しました。その上で、これらの点については、国際社会において広く理解が得られているが、中国は、今回の海洋放出を受けて日本産水産物の輸入を全面的に一時停止するなど突出した行動をとっているとし、日本としては、今後とも、科学的根拠に基づく行動や正確な情報発信を求めていく旨述べました。また、日本は引き続きIAEAとも緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って国際社会に丁寧に説明していく旨述べました。