ASEAN(東南アジア諸国連合)
第23回ASEAN+3(日中韓)首脳会議
令和2年11月14日

(写真提供:内閣広報室)

(写真提供:内閣広報室)
1 冒頭発言
議長国ベトナム、韓国の発言に引き続いて、菅総理から概要以下のとおり発言。
- (1)総論
初めてASEAN+3首脳会議に参加でき、嬉しく思う。 - (2)新型コロナウイルス感染症を受けた対ASEAN協力の進捗
- ア ASEAN感染症対策センターについては、12日の日ASEAN首脳会議において正式に設立が発表された。地域の感染症対策の中核として、ASEANの人々を感染症の脅威から守る組織へと育てていくべく、日本は継続的に後押ししていく。
- イ 医療支援について、2億ドル以上の医療物資・機材の支援、医療研究機関等に対する技術協力などを通じた支援を更に進めていく。
- ウ 経済再生支援について、ASEAN各国に総額約25億ドルの財政支援円借款を供与している。「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」の下、質の高いインフラ等民間セクターへの投資も拡大。今年7月には「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」を策定し、強靱なサプライチェーン構築や、産業のデジタル化を支援。こうした取組を通じてASEANの経済強靱化に協力していく。
- (3)ASEAN+3特別首脳共同声明のフォローアップ
- ア 日中韓が連携し、「新型コロナウイルスに関するASEAN対応基金」にASEAN+3協力基金から30万ドルを拠出したことに加え、日本独自の貢献として100万ドルの拠出も決定。これにより、ASEANの感染症対応能力が一層強化されることを期待。
- イ ASEAN+3緊急米備蓄についても、新型コロナウイルス対応に効果的に活用できるよう、運用を改善。更に有効活用できるよう、各国と協力していきたい。
2 ASEAN+3協力のレビューと今後の方向性
- (1)菅総理からASEAN+3協力について以下のとおり発言。
- ア 経済的課題(貿易・エネルギー)
- (ア)地域の経済成長のためには、自由で公正な経済ルールに基づく自由貿易の推進が重要。RCEP協定の早期発効に向け、引き続き協力していきたい。
- (イ)デジタル化が加速する中、「信頼性のある自由なデータ流通」に基づくルール作りを推進。
- (ウ)地球温暖化対応は一刻の猶予も許されない。日本は、イノベーションによる経済と環境の好循環を目指すとともに、アジアの事情に即した、現実的で持続可能な脱炭素化・エネルギー転換の取組を全面的に支援する。
- イ 社会課題
- (ア)保健医療
高齢化は地域にとって避けられない課題。日本は、「アジア健康構想」の下、アジアにおける医薬品やヘルスケア産業の振興に取り組む。 - (イ)海洋プラスチックごみ
日本は、「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクション・イニシアティブ」の下、国別行動計画の策定等を通じて各国の取組を支援。
- (ア)保健医療
- ウ 東日本大震災に係る輸入規制
東日本大震災からまもなく10年になる。日本産食品の安全性は科学的な根拠により確保され、必要なモニタリング・管理措置が採られている。速やかな規制撤廃を求める。
- ア 経済的課題(貿易・エネルギー)
- (2)これに対し、多くの国からASEAN感染症対策センターへの協力を含む、日本からの具体的な支援やASEAN+3協力について謝意が表明された。また、多くの国からコロナ禍における金融協力、経済強靱化、貿易・投資の活性化に向けたASEAN+3の枠組みの重要性がさらに高まっている旨の発言があった他、人の往来再開や連結性強化の必要性に関する発言があった。
3 地域・国際情勢に関する意見交換
- (1)地域情勢について、菅総理から以下のとおり発言。
北朝鮮による全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である。拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指すとの我が国の方針に変わりはない。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意である。また、拉致問題の早期解決に向け、引き続きの理解と協力をお願いする。 - (2)これに対し、多くの国が朝鮮半島の完全な非核化の実現及び安保理決議の履行の重要性を強調した。