東アジア首脳会議(EAS)
第15回東アジア首脳会議(EAS)
令和2年11月14日
11月14日午後8時から午後10時20分頃まで、東アジア首脳会議(East Asia Summit(EAS))がオンラインで開催され、我が国から菅義偉総理大臣が出席したところ、菅総理の発言を中心に概要は以下のとおり(一部は代理出席)。(議長:グエン・スアン・フック・ベトナム首相。)
1 冒頭発言
議長国ベトナムに引き続く各国発言において、菅総理から以下のとおり述べた。
- (1)初めてEASに参加でき光栄。EASは地域の政治・安全保障を首脳たちが直接話し合う重要な枠組み。創設15周年を歓迎。
- (2)ASEANが発出した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)には、法の支配、開放性、自由、透明性、包摂性がASEANの行動原理として力強く謳われており、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)と多くの本質的な共通点を有している。日本はAOIPを全面的に支持。各国にも支持を呼びかけたい。
- (3)12日の日ASEAN首脳会議では、AOIPとFOIPに沿って、日本とASEANが具体的なプロジェクトを進めていくことを確認できた。「インド太平洋国家」である日本として、地域の平和と繁栄への取組を引き続き主導していく考え。
2 地域及び国際情勢
- (1)菅総理から、地域及び国際情勢について以下のとおり発言。
- ア 東シナ海及び南シナ海問題
(ア)地域では法の支配や開放性とは逆行する動きが起きている。東シナ海では、日本の主権を侵害する活動が継続、南シナ海では、弾道ミサイル発射や地形の一層の軍事化などの緊張を高める行動や国連海洋法条約に整合しない主張が見られる。
(イ)2016年の比中仲裁判断は最終的であり、紛争当事国を法的に拘束するものである。南シナ海において、航行及び上空飛行の自由を含む国連海洋法条約上の正当な権利が尊重される必要がある。「南シナ海に関する行動規範」(COC)は、国連海洋法条約に合致し、全ての利害関係国の正当な権利と利益を尊重すべきである。南シナ海の現状について各国と深刻な懸念を共有するとともに、法の支配と平和的手段の重要性を改めて強調。
- イ 香港情勢
国家安全維持法の制定等、一連の動向に重大な懸念を有している。香港が一国二制度のもとに自由で開かれた体制を維持し、香港市民や各国の国民・企業の自由と権利が尊重され、民主的、安定的に発展していくことが重要。 - ウ 北朝鮮
北朝鮮による全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である。
また、拉致問題の早期解決に向け、引き続きの理解と協力をお願いする。 - エ 新型コロナウイルス感染症
12日に設立を発表したASEAN感染症対策センターを力強く後押ししていく。ASEAN各国への医療物資・機材の供与や技術協力なども進めていく。
- ア 東シナ海及び南シナ海問題
- (2)参加国による地域及び国際情勢に関する発言の概要は以下のとおり。
- ア 多くの国が、新型コロナウイルス感染症への対応として、安全で安価なワクチンへの公平なアクセスについて発言し、日本を含むEAS参加国による貢献を歓迎する発言があった。
- イ 多くの国が、AOIPの重要性を指摘した。また、南シナ海問題については、航行及び上空飛行の自由や、国連海洋法条約に反映された国際法に従った紛争の平和的解決の重要性に多くの国が言及した。また、現場における最近の情勢への懸念を表明した上で、非軍事化と自制の重要性に言及した国が複数あった。
- ウ 多くの国が、朝鮮半島の完全な非核化の実現及び安保理決議の履行の重要性を強調した。
3 結語
最後に、菅総理から、来年の夏、日本は、人類が疫病に打ち勝った証として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する、安心安全な大会を実現するために、今後も全力で取り組む決意を述べた。