ASEAN(東南アジア諸国連合)

平成29年11月14日
ASEAN+3(日中韓)首脳会議1 写真提供:内閣広報室
ASEAN+3(日中韓)首脳会議2 写真提供:内閣広報室
ASEAN+3(日中韓)首脳会議3 写真提供:内閣広報室
14日午前9時20分から10時40分まで,フィリピン・マニラにおいて,ASEAN+3首脳会議が開催され,我が国から安倍総理大臣が出席し共同議長を務めたところ,安倍総理の発言を中心に概要以下のとおり。

1 冒頭発言

ドゥテルテ大統領の発言に引き続いて,安倍総理から,冒頭以下のとおり発言した。
  1.  本年は,ASEAN+3設立20周年という重要な年。ASEAN+3は,1997年のアジア通貨危機を契機に設立され,その後,食料安全保障,エネルギー,環境,保健等,協力分野を拡大させてきた。
  2. 本年,「ASEAN+3協力20周年に係るマニラ宣言」が合意され,8月の外相会議で「ASEAN+3協力作業計画2018-2022」が採択されたことを歓迎。
  3.  世界で保護主義や内向き志向の台頭が懸念される中で,地域・世界経済の予測可能性を高め,脆弱性を軽減し,自由貿易体制を維持・強化するため,チェンマイ・イニシアティブやASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)の一層の機能強化が重要。同事務局を国際社会から一層信頼される存在にする努力を継続していく。
  4. 「食料安全保障協力に関する声明」が採択される意義を評価。日本は,本年も,ASEAN+3緊急米備蓄協定を通じ,ラオスやミャンマー,フィリピンに米を供給。
  5. 東日本大震災から6年以上が経過。科学的根拠に基づき,日本産食品に対する輸入規制の撤廃を強くお願いしたい。

2 ASEAN+3協力のレビューと将来の方向性

安倍総理より,ASEAN+3協力に関する日本の取組を中心に以下の7点について説明した。
  1. 設立から20周年を迎えたASEAN+3諸国のますますの連帯強化のため,日本は, 「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下,インフラ整備といったハード面での支援と,人材育成といったソフト面の支援を組み合わせ,インド太平洋地域の連結性向上に貢献していく。
  2. 「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」の下,インフラの開放性,透明性,経済性,対象国の財務健全性の確保といった国際スタンダードに則った,「質の高い」インフラ整備を推進。
  3. TPPについては,ダナンで閣僚合意が確認されたが,我が国は,TPPで合意したハイスタンダードなルールを踏まえ,質の高い東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉妥結を達成すべく,積極的に貢献していきたい。
  4. 持続可能な経済成長のため地域のエネルギー安全保障強化も重要。特にアジアのLNGの利用促進のためASEAN諸国に対するLNGに関する法制度整備などの人材育成や,官民で100億ドルのファイナンス支援に取り組む。
  5. 経済発展に伴う環境破壊は懸念。「日ASEAN環境協力イニシアティブ」により,持続可能な都市の実現に向け,ERIA等も活用し,質の高い環境インフラを普及。さらに,防災分野では,新たに立ち上げた「東南アジア災害リスク保険ファシリティ」を通じ貢献する。
  6. 人と人との連結性向上では,本年より開始した「イノベーティブ・アジア事業」で,日本への留学とインターンシップ等の機会により日ASEAN間の高度人材育成と環流に取り組む。また「ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループ」等により,高等教育分野でもASEAN+3の連携を主導。「2017京都宣言」を踏まえ,東アジア文化都市とASEAN文化都市との連携も推進。
  7. 今後各国で深刻化する高齢化社会に向け,日本は,本年,アジア全体の高齢者の生活向上を図る「アジア健康構想」を提案。医療・介護人材の育成や現地の医療・介護サービスの振興を推進。
これに対して,各国からも同様に,ASEAN+3の過去20年間にわたる実務協力の進展を歓迎する旨発言があり,今後も協力を深化させていくことで一致した。

3 地域・国際的な課題に関する意見交換

安倍総理から,以下を述べた。
  1. 北朝鮮は,核・ミサイル開発を執拗に追求。今は我々の側から北朝鮮との対話を求めても,意味ある対話は期待できない。1994年の米朝枠組み合意も2005年の六者会合共同声明も,北朝鮮は核廃棄を約束しながら,我々を裏切ってきたことを想起し,我々の側から北朝鮮との対話を求めるのではなく,圧力を最大限まで高め,北朝鮮の側から核・ミサイル開発を断念するので話し合いたいと言ってくる状況に追い込むべき。
  2. 中国が北朝鮮からの石炭,海産物,繊維製品の輸入禁止等,安保理決議を履行する上での具体的な取組を実施していることを歓迎。北朝鮮と同じ域内に所在する日中韓とASEANが果たすべき責任は大きい。制裁の抜け穴をふせぐべく,安保理決議の完全な履行に向けて連携していきたい。
  3. 拉致問題の一日も早い解決は安倍内閣の最重要課題。
これに対して,多くの国から,核実験,弾道ミサイル発射等の北朝鮮の動向に懸念が示された。
なお,13日には,ASEAN+3首脳と東アジア・ビジネス・カウンシル(EABC)との対話が開催され,安倍総理が出席した。

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