アジア

東アジア首脳会議(EAS)

平成28年9月8日

英語版 (English)

9月8日,ラオス・ビエンチャンにおいて,東アジア首脳会議(EAS)が開催され,日本から安倍総理が出席したところ,概要次のとおり(議長:トンルン・ラオス首相)。

1 EAS内の協力のレビューと将来の方向性

(1)テロ対策

(ア)安倍総理から,以下のとおり述べた。

EAS参加国のテロ・暴力的過激主義対策のため,日本は水際対策を含むテロ対処能力向上支援に向けて,今後3年間で450億円の支援と2000名の人材育成を実施する。また,テロの根本原因である暴力的過激主義にも対処するため,人的交流や啓発活動等を通じた穏健主義の促進,更には穏健な社会を下支えする社会・経済開発支援等,包括的なアプローチをもって,一層積極的に貢献したい。

(イ)EAS強化

EASは,地域のプレミア・フォーラムとして更に機能を強化すべき旨強調するとともに。「EAS10周年記念クアラルンプール宣言」を着実に実施し,EASでの政治・安全保障分野の議論の更なる活性化を推進したい。

(ウ)海洋協力

日本は,海洋協力をEASの優先協力分野に追加するとの提案を支持。海洋協力に関する議論を深めたい。
特に,海洋協力分野での人材育成は極めて重要。日本はASEAN各国において,2014年に表明した3年間で700名の人材育成を既に達成。新たに,今後3年間で1000名の人材育成を実施予定。

(エ)東アジアの持続可能な経済発展

TPP協定は,大きな意義を有しており,その早期発効に向け,最大限努力したい。RCEP交渉は,東アジア経済統合の重要な柱であり,包括的でバランスの取れた,高いレベルの協定の妥結を目指す。

(オ)成長と繁栄の大動脈

サプライ・チェーンは,アジアからアフリカに広がり,一つの経済圏になりつつある。インフラ整備や人材育成を進めることにより,「生きた連結性」を伸ばし,アジアからアフリカに及ぶ一帯を成長と繁栄の大動脈にしていく。

(2)多くの首脳から,EASの重要性を指摘する発言があった。同様に,多くの首脳が最近のテロ事件を強く非難するとともに,テロ対策とEAS参加国間での連携の重要性を訴えた。また,複数の首脳からEASにおいて海洋協力を優先分野に加えていくべきとの指摘がなされた。

2 地域・国際情勢

(1)海洋安全保障

(ア)安倍総理から,以下のとおり述べた。
航行及び上空飛行の自由を始め,国際法の原則に基づく海洋秩序は,地域の平和と繁栄にとり死活的に重要。この観点から,本年5月のG7伊勢志摩サミットでは,(A)国家は国際法に基づいて主張を行うこと,(B)主張を通すために力や威圧を用いないこと,(C)紛争解決には仲裁を含む平和的手段を追求することについて一致した。
他方,ここ数か月を見ても,東シナ海及び南シナ海において一方的な現状変更の試みが続いており,深刻に懸念している。法の支配こそ,国際社会において貫徹されなければならない普遍的な原則。全ての当事国が,地域の緊張を高めるような行動を自制し,国連海洋法条約を含む国際法に基づき,平和的解決を追求すべき。
南シナ海をめぐり,ASEAN各国が幾多の困難に直面する中,日本は常にASEANの中心性・一体性を支持してきた。昨日発出されたASEAN首脳会議の議長声明は,「法的・外交的プロセスの完全な尊重」等を明記しており,高く評価。
中国とASEANとの対話を歓迎するが,対話は,国際法に基づき,また,現場における非軍事化と自制が維持されることを前提として行われるべき。軍事化しないとの昨年のこの場でのコミットメントが履行されることを期待。比中仲裁判断は,国連海洋法条約上,当事国を法的に拘束する。この仲裁判断は,領土主権に関するものではなく,国連海洋法条約の解釈という普遍的なもの。両当事国がこの判断に従うことにより,南シナ海を巡る紛争の平和的解決につながっていくことを期待。

(イ)ほとんど全ての首脳が南シナ海問題を取上げ,比中仲裁裁判又は国連海洋法条約に言及しつつ,国際法に従った紛争の解決を求める発言をした。比中仲裁判断は無効だと主張した国は,一つもなかった。多くの国が緊張を高める行為の自制を求め,また,複数の国が非軍事化を求める発言をしたことも評価に値する。

(2)北朝鮮

(ア)安倍総理から,以下のとおり述べた。
本年に入ってから,北朝鮮は約20発の弾道ミサイルを発射。G20開催中の5日にも,3発の弾道ミサイルが我が国の排他的経済水域に落下。これはかつて例のないことであり,許しがたい暴挙。中距離弾道ミサイル,SLBM等のミサイル能力は,我が国及び地域の安全保障に対する深刻な脅威。北朝鮮の相次ぐ挑発行動は,国際社会への明確な挑戦。安保理決議の厳格な履行等を通じ,圧力を強化していく以外にない。北朝鮮の人権・人道問題は深刻。特に拉致問題は,我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる最重要課題。早期解決に向けて,各国の理解と協力を期待。

(イ)多くの首脳が北朝鮮情勢を議論し,核兵器及び弾道ミサイル開発に対する懸念を表明するとともに,一連のミサイル発射が国連安保理決議違反であり,地域の安定を脅かす行為であるとして,北朝鮮に国連安保理決議を遵守するよう求める旨の発言を行った。

(3)「不拡散に関するEAS声明」

安倍総理を含む多くの首脳が,「不拡散に関するEAS声明」の重要性を指摘し,同声明が採択された。北朝鮮が先のG20のさなかに弾道ミサイルを発射した直後である今回,中・露・ASEAN諸国を含むEAS18か国が一致してこの声明を発出できたことは,非常に有意義であった。

(4)日中韓協力

安倍総理から,以下のとおり述べた。
日中韓3か国は地域の平和と繁栄に大きな責任を共有している。日本は本年の議長国として,先月東京で開催された日中韓外相会議を踏まえ,日中韓サミットを開催し,3か国の協力を強化したい。

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