ASEAN(東南アジア諸国連合)
ASEAN+3(日中韓)首脳会議
平成28年9月7日

(写真提供:内閣広報室)

(写真提供:内閣広報室)
9月7日,ラオス・ビエンチャンにおいて,ASEAN+3(日中韓)首脳会議が開催され,日本から安倍総理が出席したところ,概要次のとおり(議長:トンルン・ラオス首相)。
1 会議冒頭
安倍総理から,以下のとおり述べた。
- ASEAN共同体が,法の支配や民主主義といった価値を共有するパートナーとして発展し,統合を深めていくことは,地域の安定と繁栄のために重要。
- 明年のASEAN設立50周年及びASEAN+3の創設20周年を念頭に,日本はASEANの対等なパートナーとして,ASEANの中心性・一体性を強く支持しながら,ASEAN共同体の更なる統合を引き続き力強く支援していく。
- 8月24日に日中韓外相会議が開催され,防災,環境,青少年交流,経済など幅広い分野における協力及び北朝鮮をはじめとした地域・国際情勢について議論を行った。年内に日中韓サミットを開催すべく,中国及び韓国と協力する。
2 ASEAN+3協力のレビューと将来の方向性
(1)安倍総理から,以下のとおり述べた。
2017年までの協力作業計画に基づき協力を深化させており,これまでの成果につき適切にレビューし,その後の作業計画を検討したい。日本は,特に高等教育や公衆衛生等の分野で協力を深化させてきた。
金融の分野では,英国のEU離脱や米国の金融政策の正常化に伴うリスクを最小限にするためにも,金融セーフティ・ネットの強化が重要であるとし,国際機関化を果たしたASEAN+3マクロ経済調査事務局の能力強化やチェンマイ・イニシアティブの発動要件及びIMFとの連携の明確化につき,日本としても引き続き貢献していく。
RCEP交渉についても,包括的で,バランスのとれた,高いレベルの協定の妥結を目指し,各国と連携しながら引き続き精力的に交渉を進めたい。
東日本大震災から5年以上が経過しており,日本産食品に対する輸入規制を維持している国に対しては,科学的根拠に基づく速やかな規制撤廃を求める。
ASEANの持続的成長にとって,人材育成が重要。産業人材育成やASEANと日本を結ぶ高度人材育成のための留学事業等により,ASEANの人材育成や人的連結性を後押ししていく。そのために,青少年・学生・研究者交流の促進などにも積極的に取り組んでいく。
(2)韓国・中国の首脳からも,それぞれのASEANとの協力の状況について説明があった。
(3)これに対し,ASEAN諸国全ての首脳から,日中韓のASEANとの協力を評価する発言があった他,多くの首脳から,金融危機に端を発した金融協力を基礎にASEAN+3の協力が始まり,今日に至るまで協力を拡大させてきたことを振り返る発言があった。また,同様に多くの首脳から,貿易,投資を拡大することの重要性や,インフラ整備の重要性につき発言があり,その中で,日本の「質の高いインフラ・パートナーシップ」への評価が述べられた。また,複数の首脳から,伝統的・非伝統的安全保障分野への協力の拡大につき指摘があり,その文脈で,テロや暴力的過激主義対策の重要性についての発言があった。
2017年までの協力作業計画に基づき協力を深化させており,これまでの成果につき適切にレビューし,その後の作業計画を検討したい。日本は,特に高等教育や公衆衛生等の分野で協力を深化させてきた。
(ア)経済
本年5月,日本は今後5年間の目標として,世界の質の高いインフラ案件に約2000億ドルの資金を供給する「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」を発表した。特にASEANに対して,インフラ整備とともに,貿易円滑化等制度改善や回廊周辺の開発を通じて,域内のインフラがつながり活用される「生きた連結性」の実現に向け取り組んでいくことを表明した。今後も,本年のG7で合意した「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」に沿って,持続可能なインフラ投資を進める。金融の分野では,英国のEU離脱や米国の金融政策の正常化に伴うリスクを最小限にするためにも,金融セーフティ・ネットの強化が重要であるとし,国際機関化を果たしたASEAN+3マクロ経済調査事務局の能力強化やチェンマイ・イニシアティブの発動要件及びIMFとの連携の明確化につき,日本としても引き続き貢献していく。
RCEP交渉についても,包括的で,バランスのとれた,高いレベルの協定の妥結を目指し,各国と連携しながら引き続き精力的に交渉を進めたい。
(イ)食料安全保障
日本は本年,フィリピン及びカンボジアに対するコメ支援を実施した。今後,フード・バリュー・チェーンの構築のための官民連携協力を更に拡大する。東日本大震災から5年以上が経過しており,日本産食品に対する輸入規制を維持している国に対しては,科学的根拠に基づく速やかな規制撤廃を求める。
(ウ)人と人との連結性
本年1月,ASEAN+3観光協力に関する覚書を署名。観光協力の推進に寄与することを期待する。ASEANの持続的成長にとって,人材育成が重要。産業人材育成やASEANと日本を結ぶ高度人材育成のための留学事業等により,ASEANの人材育成や人的連結性を後押ししていく。そのために,青少年・学生・研究者交流の促進などにも積極的に取り組んでいく。
(2)韓国・中国の首脳からも,それぞれのASEANとの協力の状況について説明があった。
(3)これに対し,ASEAN諸国全ての首脳から,日中韓のASEANとの協力を評価する発言があった他,多くの首脳から,金融危機に端を発した金融協力を基礎にASEAN+3の協力が始まり,今日に至るまで協力を拡大させてきたことを振り返る発言があった。また,同様に多くの首脳から,貿易,投資を拡大することの重要性や,インフラ整備の重要性につき発言があり,その中で,日本の「質の高いインフラ・パートナーシップ」への評価が述べられた。また,複数の首脳から,伝統的・非伝統的安全保障分野への協力の拡大につき指摘があり,その文脈で,テロや暴力的過激主義対策の重要性についての発言があった。
3 地域・国際情勢
(1)安倍総理から,以下のとおり述べた。
(2)多くの首脳から,北朝鮮の核やミサイル開発につき懸念が表明され他,一部首脳は,海洋安全保障協力や,日中韓三か国協力への評価に言及した。また,多くの首脳から,来年はASEAN+3の枠組みが20周年を迎えるので準備していきたいとの発言があった。
(ア)テロ・国境を越える犯罪
我々の地域にもしのび寄るテロに対し,日本はテロ資金対策やテロ及び暴力的過激主義対策に関する取組を進めてきた。ASEAN+3各国とも緊密に協力しつつ,こうした国境を越える犯罪の脅威に立ち向かっていきたい。(イ)北朝鮮
北朝鮮の明白な安保理決議違反に対しては,安保理を含む国際社会が断固たる対応をとるべき。拉致を含む北朝鮮の人権・人道問題の解決に向け日本は全力を尽くす。各国の理解と協力を求める。(ウ)海洋安全保障
開かれた自由で平和な海を守るため,以前から主張してきている「海における法の支配の三原則」を徹底し,国際社会が連携していくことが重要。(2)多くの首脳から,北朝鮮の核やミサイル開発につき懸念が表明され他,一部首脳は,海洋安全保障協力や,日中韓三か国協力への評価に言及した。また,多くの首脳から,来年はASEAN+3の枠組みが20周年を迎えるので準備していきたいとの発言があった。