ASEAN(東南アジア諸国連合)
第16回ASEAN+3(日中韓)外相会議
平成27年8月7日
8月6日(木曜日)午前9時10分から10時50分まで,マレーシア・クアラルンプールにおいてASEAN+3外相会議が開催され,我が国から岸田外務大臣が出席したところ,概要次のとおり(議長:アニファ・マレーシア外務大臣)。なお,岸田大臣は時間の関係で途中退席し,以下の発言は同席の城内副大臣から行った。
1 ASEAN+3協力のレビューと将来の方向性
(1) 質の高いインフラパートナーシップ
城内副大臣から,アジアの膨大なインフラ需要に効果的に応えることは重要な課題であると述べつつ,他のドナー国及び国際開発金融機関と共に,これまでに発表した「質の高いインフラパートナーシップ」に基づく今後5年間で約1100億ドルの質の高いインフラ投資のアジアへの提供,及び3年間で7500億円規模の日メコン協力を通じて,本年の共同体構築及び来年以降の統合の努力を力強く支援していく旨発言し,複数の参加国から日本のイニシアティブに謝意が表明された。(2) 金融協力
城内副大臣から,日本は,5月15日にASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO(アムロ))設立協定の国会承認手続を終え,6月26日に締結したことを紹介し,本協定の早期締結を期待する旨発言したのに対し,多くの国が,金融協力に関する取組に言及しつつ,AMRO設立協定の早期締結の重要性につき述べた。(3) 食料安全保障
城内副大臣から,ASEAN+3緊急米備蓄協定の枠組みを通じて,日本はフィリピン,カンボジア等に対して米の支援を実施していること及び日本が「フードバリューチェーン構築」のための官民連携協力を推進していることについて説明した。さらに,城内副大臣からは,日本産品に対する輸入規制撤廃につき要請した。複数の国が,日本の「フードバリューチェーン構築」の取組に謝意を表明した。(4) 観光協力
城内副大臣から,2016年のASEAN+3観光大臣会合において「ASEAN+3観光協力強化に関する覚書」を署名予定と承知しており,本覚書がASEAN+3域内における観光協力の推進に寄与することを期待する旨発言した。(5) 今後の協力の分野・方向性(東アジア・ビジョン・グループII)
民間有識者の提言を取りまとめた「東アジア・ビジョン・グループII」との関連で,各国外務大臣から,今後の協力の方向性について発言があった。城内副大臣からは,日本は,「高等教育」,「公衆衛生」及び「研究機関・産業界との連携強化」の3分野を主導しており,今後も各国と連携して,本年の首脳会議において「最終報告書」を提出したい旨発言した。(6) その他
城内副大臣から,気候変動,捕鯨等の日本の取組や考え方を説明した。2 地域・国際情勢
(1) 日中韓協力
城内副大臣から,本年3月,約3年ぶりに開催した日中韓外相会議において「日中韓サミットを最も早期で都合の良い時期に開催すること」で一致し,日中韓協力が回復軌道に乗っており,日本としては,引き続き,中韓両国と一層の意思疎通を重ねるなどして,日中韓サミットの早期開催に向けて努力していく考えである旨表明した。韓国からは,本年中の日中韓サミット開催に向けて努力したいと述べた。(2) 北朝鮮
城内副大臣から,(1)北朝鮮の核・ミサイル能力の進展は,地域及び国際社会にとって重大な脅威であること,(2)北朝鮮に対し,挑発行動の自制,非核化等に向けた具体的行動を強く促すことが重要であること,(3)輸出管理を含め,各国が安保理決議を厳格に履行することが重要であること,(4)拉致問題は日本の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり,基本的人権の侵害という国際社会全体の問題であるところ,各国の理解と協力を期待する旨発言した。多くの国から,北朝鮮は挑発行為を自制し,安保理決議を遵守し,六者会合に復帰するべしとの発言があった。(3) 南シナ海
城内副大臣から,各国が緊張を高める一方的な行動を慎み,「法の支配」の原則に基づき行動することが重要である,「海における法の支配の三原則」,即ち,(1)法に基づいた主張,(2)力や威圧を用いない,(3)紛争の平和的解決を今こそ徹底すべきである旨並びに2002年の行動計画(DOC)の完全な実施及び行動規範(COC)の早期の妥結を強く期待する旨発言した。多くの国から,DOCの完全な実施,COCの早期締結,自制と平和的解決の重要性につき説明があった。- 議長声明(骨子)(PDF)(56KB)
- 議長声明(英文)(PDF)(417KB)